第97話 情報で頭いっぱい
ここまで来ていただきありがとうございます。
「レン君ここはお願いね」
俺の上司である茶髪のメイドは優しくそう言うとこの部屋を立ち去る。
「はい!」
俺は今日も今日とて働いている。日銭を稼ぐためだ。ここは衣食住が無料で多分給料もいい方のいい職場だ。時間も朝早くからだが、夜も早く終わる。この仕事柄か休みがないが唯一の欠点だろう。まあ、休みと言っても行くところも、一緒に行く友人もいないのだが。
あの事件から数日。俺は退院し、早くも仕事に取り組んでいた。仕事は元から一人暮らしでやっていたということもあり平均的なメイド程度にはできるようになった。洗濯以外は……。文明の利器ってすごい。
そう言えば昨日は大変だった。あの事件の聞き取りがあったのだ。国の一番隊の騎士だとかなんとか言っていたか。騎士もそんなことするのかと驚いたが、こっちもいろいろしれてよかった。
ローズを攫おうとしたのはカエル枢機卿によるものだったらしい。そして、俺たちを襲った謎の男女、スカリとヴァネッサ。二人は世界で指名手配されている奴らだった。
『不死』スカリ。『胡蝶』ヴァネッサ。何とも危険そうな二つ名だ。名前まで分かっているが、恐らく二人が所属する組織については全く分かっていないらしい。活動しているであろう動きは見られているが、規模、目的、何一つ不明らしい。
そんな奴らが、どうして一介の枢機卿の命令を受けていたのかが分かればいろいろ見えてきそうだ。
ケモミミ先生ミーコの方も護衛を付けてもらえたそうで、うちの屋敷の周りにも立っていたりする。実は屋敷の中もすべきと言われたのだが、うちのお嬢様が断っちゃった。騎士の方も納得はしていない様子だったのでもう少ししたら何か手を打ってきてもおかしくはない。
それで、どうしてこんなに早く退院できたかなんだが……。どうやら途轍もない魔法によるものらしい。そして、運ばれてきたときには八割治っていたらしい。八割と言っても大怪我したことには変わりないのだが。そこが問題ではない。問題なのはここまで治ったことらしい。
話を聞くにこの世界の回復魔法、治癒魔術は俺の想像とは違った。この世界ではそれらは回復力の強化にしか過ぎないものらしい。失った腕を生やしたり、傷をすぐさま元通りにするようなものではないらしい。そんなものは神の力にも等しいと言っていた。
と言うことでこの世界では大怪我を負ったら普通に死ぬらしい。何ら元の世界と変わらない。いい教訓だ。これからは自分から腹を貫かないようにしよう。次は、多分死ぬ。生き残れたとしてもローズにまたしばかれる。
ちなみにローズは俺より早く屋敷に戻って、たまった書類を片していたようだ。王女ってそんなに仕事あるのか? 第一や第二でもないのに。
後はミキさんの話だ。あれから大変だった。
「申し訳ありませんでした! 弁解の言葉もありません」
静かな病室にそんな声が木霊する。俺の尊敬する先輩は地面に額を擦り付けていた。
「そんな、頭上げてください。俺は大丈夫ですし、ローズも前より元気なくらいですよ」
ちょっとローズに拳骨されたけど気にしない。
「ミキさんはミキさんで頑張ってくれてたみたいですし、謝ることありません」
「そうよ、ミキ爺。このあほが言った通り、結局私たちはこうして無事なんだし」
そんな会話があったのだ。
何でもあの時、病院から詰所に行き、説明した後、兵より一足先にこちらに向かったらしい。だが、つい先刻通った道は大きな崖崩れで通れなくなってるときた。それで遠回りして病院に着いた時にはもうこの事件の半分くらいは終わってしまっていた。それでも、屋敷に向かおうとしてくれたらしいが、そこで兵士の方に止められてしまったらしい。
だが、無事でよかった。この一言に尽きる。
その崖崩れで道を塞いでいた土砂をある金髪の騎士が一振りで吹っ飛ばしたとかなんとか。ダレノコトダロウ。
そのおかげで、エイルさんが呼んでくれた応援とミキさんが呼んでくれた兵士の方がこれたらいしいのでまたいつかお礼しよう。
読んでいただきありがとうございました。
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最近更新のお休みをいただいていましたが、これからはぼちぼち頑張る予定です。




