第83話 思わぬ再会
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「クソッ……どっちに行きやがったんだ? 」
カエルが通った扉の先は長い廊下になっていた、その先は右と左に分かれている。あいつは案外足が速いようで俺が扉を開けた時には影も形もなくなっていた。
「いや、もう一人ぐらい部下がいて、そいつに運んでもらったって線も考えられそうか……護衛にもなるしな」
そうなってしまうと俺に勝ち目は無くなってしまうのだが、そこは考えない方針で。
こういう、場合は何となく左に行ってみよう。特に深い意味はないがいつも二択で左右どちらかを選ばなければならないときはほとんど左にしているのだ。勝率が4割を切っていることは黙っておこう。
そして、左に進んでいると、一つの部屋が見えてきた。教会にしては質素な扉に思えるその木の扉を開ける。
中はほこりっぽく、俺は口に袖を当てて、部屋を見渡す。――――そこには多くの鎧や剣、槍などが置かれていた。教会に武器など場違いが極まっているが、あのエセ枢機卿の裏の顔が見えてきたようだ。ほこりっぽい所を見ると最近は使われていないようだが……
そんなことを思いながら俺がふと、視線を下にやる。ただ何となくだ。何かが落ちていた。いや、転がっていると言う方が正しいのかもしれない。部屋に窓はなく扉からの月明りは俺の姿によって遮られてよく見えない。目を凝らしてよく見ると、麻袋を被せられているが確かに人の形をしていた。
人の形はしている。だが、まったくと言っていいほど動いていない。
俺は、今までにないほど寒気を感じた。もしかすると、この人はもう――――
そんな考えが頭を過ぎった。
俺はその思いをかき消すように麻袋に手をかけた。そして力いっぱいに麻袋を取る。案外簡単に取れ、余分に力を加けてしまった俺は後ろにしりもちをついてしまう。
その人の形をしたものは体の形を見るに小柄な女性のようだった。それ以上に服装が目についた。見たことがある。いや、毎日見た服だった。
「メイド服……」
驚愕に震える口がただその言葉だけを発する。
小柄でメイド服。そして、ずっと姿が見えなかった女の子がいた。
「カナ……? 」
俺は急いで抱き上げる。
瞳は閉じられ、手足にも力はなくダラッと垂れ下がっている。
俺はその力のない腕をつかみ、脈をとる。――が、俺にそんな器用なことは出来ず。良く分からない。だから、手っ取り早い方法を取った。
カナのその薄い胸に耳を当てる。
『ドクン、ドクン』
確かに俺の耳には心臓が働いている音が届いた。
「良かった……」
「何がいいんですか……」
弱弱しいそんな声が聞こえた。その声は女性のものだった。聞き覚えのある。いつも、よく怒られたあの――――
「年端も行かない女の子を暗闇に連れ込んで腕をつかんで胸に顔を押し付けるなんて……ローズ様の件で見直そうと思っていたんですが……すぐに退かないと爆発しますよ」
俺に安心する時間は与えられないようだ。取り合えず、いつも通り、調子全開のカナに笑みがこぼれる。
「何が、何がだよ……」
そう言いつつ俺は爆発させられないようにカナから離れる。
「言わないと分かんないんですか? 」
カナはそう言いながら、ハンカチを出してくる。
「……? 」
俺がその行動に困惑していると。
「何泣いてるんですか……そんなに同年代の女の子の胸が恋しいんですか……」
そういう言い終わる前にカナは俺から目を逸らす。
強気な口調だし、あんなことも言っていたが、一応は信用されているのかもしれない。そんなことを考えながらハンカチを受け取った。
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この2、3日熱でぶっ倒れてました。皆さんもお気をつけ下さい




