第82話 季節外れの紅葉
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「そ、それは……」
カエルの表情からは先ほどの余裕は無くなっていた。その理由は金髪の騎士が右手にしているものが原因だった。
「これは上級の精神耐性を付与された魔道具……だと思います」
騎士はそう優しく微笑みながら答える。
と言うことは。こいつもそういった能力を使っていたのか? 俺は全く気が付かなかった。
「その程度で、私の『神からの寵愛』は妨げられるはずがない! 」
カエルは怒りを露わにし、声を荒げる。
『神からの寵愛』……恐らく女神の聖痕だろう。
「そうですね、とても強力な能力ですよ。私はこの制服にある耐性と合わせることで、彼も何か精神耐性のある魔道具を持っているのでしょう。これであなたの力は無に等しい。ローズ様の居場所……教えていただけますね」
「クソ……。何をしている出て来い! 。お前たちは騎士の相手をするために呼んだのだぞ! 」
そう言って、カエルは自分の後ろにある扉に向かって怒鳴る。
すると、後ろからいかにもな男が何人も入ってきた。服装は統一されており、黒い着物、忍者のような格好で目元以外は指先に至るまで布に覆われていた。手には刀やナイフを持っている。数にして10人ほど、あっという間に囲まれてしまう。
「騎士は殺して構わん、その黒い男は殺すな」
そう言って、カエルは男たちが入ってきた扉に進む。
カエルの事は後回しだ、まずはこの包囲を突破しなければ……。
俺は、使えなくとも武器を持ってくるべきだと少し後悔をしていた。ここで俺は戦いに巻き込まれると分かっていたからだ。
「僕が今からこいつらの相手をするから君はカエル卿を……」
だからその言葉を聞いて耳を疑った。
「おい、いくらお前でもこの数は……」
そう言いかけて、俺は言いきれなかった。もし俺がここにいたとしても何の役にも立たないからだ。もしかすると俺を庇う分不利になる事だって考えられた。だから、俺にはカエルに追うように行ったのかもしれない。
「大丈夫、すぐ僕も行くよ。それに君に今追ってもらわないと追いつけなくなる。君がいてくれて本当に良かった」
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、ウィルはこんな時も笑顔を俺に向ける。
「分かった、任せろ。だけど、早く追いついてくれよ」
そう言った。瞬間だった、扉を塞ぐように立っていた、男二人が俺に目掛けて走ってきたのだった。
早い! 、あの謎の男女に比べるのであれば桁違いに遅いが、俺からするとこいつらの速さでも目で追えなかった。
『死ぬ』そうは思はなかった。今日一日で何度もピンチになった。それに比べれば……
「なんてったって、今の俺には心強い騎士様がいるんだからな……」
その二人を金髪の騎士は一刀で切り落とす。二人は両腕を落とされ、壁に吹き飛ばされていた。
「走れ! レン! 」
その声に応える暇はない。急いで扉を開く。
そして、扉を閉める直前俺は見た。ウィルの髪の金糸を編んだような金髪が、燃えるような赤色に変わる瞬間を。まるで楓の紅葉のような。
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最近いいこと全然ないんです。つかれました




