第78話 助けられた後に
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砂埃があたりを覆っていた。
俺は間一髪この騎士様に抱えられて爆発からは免れることができていた。今は庭にいるのだがここは大丈夫と言うことは爆発の範囲は狭かったようだ。と言うよりは、範囲を絞って代わりに威力を上げているのだろう。
「レン大丈夫だったかい? 」
俺を助けた騎士は優しい笑みで俺を見つめる。
月明りに照らされている金髪は美しく揺らいでいる。萌葱色の瞳はどこか安らぎを感じるほどに優しい。
「大丈夫です……」
体を軽く確認する。確かこの騎士の後ろにいたのだが俺にはナイフは一本も刺さっていない。もしかすると俺に当たりそうなナイフも撃ち落していてくれたのかもしれない。
俺はこの世界で助けてもらってばかりだ。何をしているんだろうか。いや、何もしてないのか……。
そんな、俺の自嘲の念を感じたのか騎士は優しく声をかける。
「君がいてくれてよかった。それは確かだよ。エイルさんもそう言っていただろう? 」
「はい……、えっと何でか名前知っているみたいですけど俺の名前はスズキ・レンです」
俺はその空気に耐えられず、すぐに話題を逸らす。
「うん、師範やエイルさんから聞いているよ。私はロメア王国近衛騎士団第8番隊所属ウィルフレード・メーフスです。ウィルって気軽に読んでくれたらうれしいな。よろしくね」
そう言って手を差し出す。
俺はその手を握り握手を交わす。
「えっと、ウィルさん――」
「違う違う、ウィルでいいよレン。同い年のようだし、もしかしたら同門になるかもしれないからね」
初めてあった人を気安く呼ぶのは少し苦手だが、ここは相手に合わせよう。
「じゃあ、ウィル。改めて、助けてくれてありがとう。お前がいなかったら俺は多分死んでた」
「こちらこそ、間に合ってよかった」
俺は一先ず、屋敷に戻ることにした。正直不安はあった。
「なあ、ウィル。あの女、実はまだ生きてるとかないよな? 俺の故郷じゃああいうのはそう簡単に死なないんだよ。安心したと思ったらまた襲ってくるんだよ……ゾンビかよ。全く」
「『ぞんび』とやらは良く分からないけど。そうだね、その不安はなくしておきたいね。気配はしないけど一応僕が見てくるよ」
そう言って俺の前に出て、爆発によって崩壊した壁から中に入っていった。
「レン、大丈夫だよ」
すぐにそう言う声が聞こえてきた。
良かった、お約束はないようだ。と、安心しきれないのは仕方のないことだろう。だが、この騎士の近くが一番安全なのは確かだろう。そう思い俺もその後に続く。
「いや、とんでもない爆発だったな。これ直せるのか? 」
俺は爆発した跡を見ている。
壁は焦げ、いくつか飾っていたはずの花瓶や、絵画はなくなっている。
そして、少し離れたところには一足分の陥没した跡があった。これは確か……
「おい……、これって……お前が踏み出した跡か?」
どんな脚力で踏み込めばこんなことになるんだろうか。
「そうだね。本当に申し訳ないと思うよ……」
言葉通り申し訳なさそうな表情だが、そうではない
「いや、お前すごいな。そういえばエイルさんも自分より強いとかって言ってたっけ……」
「それは言い過ぎだよ。僕はただの騎士だからね」
そう言うウィルの表情は謙虚と言うより何か違う感情の気がしてならなかった。
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