第65話 騎士エイル・クロード
ここまで来ていただきありがとうございます。
俺は間一髪誰かに助けられたようだ。その男は俺の方は見ずにあの謎の男を見ている。
この声は……ついさっき聞いた気がする。後ろ姿から分かるのは髪が鼠色なくらいだろうか。助けがきて助かった。なぜここにいるのか――、どうして助けてくれたのか――、そんなことはどうでもいい、助けてくれるその事実だけがあればいい。
「レン立てるね? ……あの子を連れて下がって」
少しこちらに振り向きそう支持をした。そうだ! さっき病院にいた――
「エ、エイルさん……」
「そうだよ、助けに来た」
その笑顔に涙があふれだす。助けられる安堵、助かった安堵、――――そして自分の弱さの悔しさに……。
俺はミーコのいる方に走ったために、俺が横たわるすぐそばにミーコの顔が見えた。俺はミーコを柄にもなくお姫様抱っこをしてすぐ後ろに下がった。ミーコの体はすごく軽く羽のようだった。
「ふーん、そう来たか……。まさか、先に助けを呼んでいたとは……天晴としか言えないね」
謎の男は先ほどから、少し離れた位置からこちらを凝視している。
「そうじゃないよ。僕のお節介が功を奏したってところかな」
エイルさんも剣を構え相手の出方を伺っている。服は鎧などではなく、私服のようだが立ち姿はまさしく、騎士だ。病院では持っていなかったはずだが剣はどうしたのだろうか。
「で、帰ってくれないかな? 俺戦いとか好きじゃないんだよ。隊長と違って……」
「それは、できません。どこぞの騎士様。俺たちの狙いはそこの黒い青年と、小さい獣人の女の子なんですよ……」
二人はそう言葉を交わすと――その姿は一瞬で消えた。――いや、二人は剣を交えていた。
相手の謎の男もいつの間にか短いナイフのようなものを持っていた。剣とナイフが軋みあう音はどこか美しく、まるで曲を奏でているようだった。男のナイフは素早く、エイルさんはすれすれで弾くか、いなしている。
ナイフが頬を掠め、頬を一筋の赤い色が伝う。剣が腕を切りつけ、腕から赤い色が服に滲む。お互いは拮抗しているように見えた。そして二人同時に少し後ろに飛びのいた。
「エイルさん……大丈夫なんですか? 」
俺は近づた鼠色の騎士に声をかけた。
「うーん、ちょっとまずいね。一対一ならまだどうにかできそうなんだけどね……これなら俺が来るんじゃなかったな」
そう言って、俺たちを横目で確認すると。すぐに前を向く。
俺たちが足手まといになっているのだろう
「いいこと聞いた」
そう謎の男がつぶやくと同時にその姿がまた消えた。
謎の男は一直線に俺とミーコに向かってきていた。――――そう気が付いたのはナイフの刃先が俺に突き刺さる瞬間だった。
「そういうことすると思ったよ」
ひときわ甲高い金属の音が聞こえた。ナイフは下から剣によって跳ね上げられ、突き出していたナイフを離さなかったために腕もともに跳ね上がり、そのがら空きの顔面にエイルさんの足が突き刺さる。謎の男が十数メートル吹き飛んだのは当然の結果だ。
「まだ、やる? 」
エイルさんは男が吹き飛んだ方向に向けてそう言い放った。
読んでいただきありがとうございました。
もしよろしければ感想、評価、ブックマークもよろしくお願いします。




