第63話 命がけの問答
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俺の目の前に立つ男はミキさんだったものだ。どんな能力かは知らないがミキさんに成り代わっていたらしい。背はミキさんの時よりも少し高くなり、服装は黒を基調としていて、肌の露出が多い戦士がきてそうな服とタキシードを混ぜたような奇妙な服だった。野蛮と上品と言う真逆な感じなのだが、清潔感があり変に気持ちが悪かった。
瞳と髪色はともに深い青色で、顔立ちはカッコいい系と可愛い系の間くらいのイケメンで髪は短いが前髪が少し目にかかっている。
「で、どうしたい? 抵抗してくれてもいいよ、ちょっと痛い目見るかもしれないけど。それはまあ、不可抗力と言うことで」
そう言うと謎の男は準備運動をしている。
抵抗してもいいというが飛び掛かったところで気絶やらなんやらで終わるのは目に見えている。どうにか切り抜ける方法を考えなくては……。救助はミキさんがもしかしたら来てくれるかも知れない、見逃してくれたりはくれないだろう。
俺は、ミキさんを信じて時間を稼ごう、来てくれるかは賭けだが1パーセントでも可能性がある方を取ろう。
「一体何が目的なんだ……、どこに連れて行くんだ……」
俺は相手を睨みつける。
「うんうん、そうきたか……目的か、それは上からの命令だから俺知らないんだよね。それにどこって言われても、それは連れて行ったら分かるし、わざわざここで言ったら楽しみがなくなるだろ? だから、行ってからのお楽しみってことで」
男は胸の前で腕を組み、淡々とそう話す。どうやら、話すのが結構好きなのかもしれない。これなら、もう少しは時間は稼げるかもしれない。
「あ! そうそう、君さ何で俺が違うって気づいたの? 分からないんだよね」
次は男から話しかけてきた。これは余裕の表れかそれとも……
「お前左利きだろ? そっからはブラフをまいただけだ」
俺はあえて挑発的に、そう答える。
「あちゃーそれかー、気を付けてたんだがやっちまってたか。ブラフってのは良く分からないが俺はまんまとひかかってばれたのか」
男は納得したのか首を上下に動かし頷いていた。
「どうしても、見逃してくれないのか? 」
俺は少しでも可能性を拾いたい。ゼロだと分かっていてもこう聞くしかなかった。時間のために。
「それは、絶対あり得ないよ。これは命令だからね。失敗すると怒られちゃうんだよ」
首をさっきとは違い横に振り俺の言葉を否定する。
「で、俺はこうやって良く分からない、時間稼ぎに付き合ってあげてるんだがら最後に質問させてね」
男の気配が急に重くなる。より一層冷酷な声色になって。
「君がバラのお嬢さまを直したって言葉、本当なの? 」
男はその冷酷な瞳で俺を見つめる。
「……分からない、多分俺だ。確証はないが治ったときに近くにいたのは俺だった」
この答えによっては俺は死ぬかもしれないという予感の中、俺はそう真実を告げる。
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