第61話 確信
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俺の眼前でミキさんはロープを使ってものを縛っていた。その一挙一動は、何ら変わりのないいつものミキさんだ。
だが、一度怪しいと思ってしまうとそう見えてしまうのが人間と言うものだ。
「ミキさん、昨日の今日に何か大切なことがあるって言っていたことは大丈夫だったんですか? 」
ブラフだ。確信が持てない以上相手がボロを出すのを待つだけだ。
「……そんなこと言いましたか? 取り合えず、そんなことは置いておいて今の状況に集中しましょう」
こちらを見ず、手を動かしながら答える。
うまくかわされたのか、それとも俺の勘違いだったのかだが……。深く聞きすぎて俺が探っているのがばれたらどうなるか分からない。もし聞けるとしてもあと一度だろう。それだけでミキさんの真偽を見抜けるうまい話しはないだろうか? 俺とミキさんだけが分かるような、それともミキさんが知らないことは……。
――――ある、一つだけ。
「良かったんですか、ローズに俺がローズの催眠を解いたって言わなくて」
その瞬間ミキさんの雰囲気が少し変わった気がした。ほんの一瞬だったがまるで別人のようだった。
「え、ええ、大丈夫ですとも」
――――――どうやらミキさんではないようだ。俺はだれにもそんなことは言っていない。これは俺の憶測だ。このペンダントの力だと思うが確証はまだない。それにしても、このことを聞いた偽物の様子が少しおかしい……まさかばれたのか? いや、でも何か別の事に対して喜んでいるように見える。
荷物を纏め終わり、馬車の中で震えていたミーコも降りてきた。
「それでは、屋敷の中に入りましょう」
率先して前を歩くニセモノ。
俺は後ろを歩き、気取られぬようにミーコの近くに行く。正直この状況はまずい、俺の戦闘力は皆無に等しい。もしも襲われたら戦いでは守れない、かといってここから帰れる気もしない。ミーコに説明して、この子が挙動不審になってばれるかもしれないが、この賢明な子ならば説明しておいた方がいいだろう。
「ミーコ、立ち止まらず何も聞いていないように装って聞いてくれるか? 」
聞こえるか聞こえないような声でつぶやく。獣人であるミーコの耳は頭の上についてあるし、動物の血を引いてあれば聞こえるだろう。そうあってほしい。
「聞こえていたら、左手を閉じてくれ」
ミーコの様子を見るに何一つ変わりのない様子だったが、先ほどまで開かれていた左手は閉じられ、握りこぶしとなっていた。
「あのミキさんは偽物、屋敷へは入らないほうがいい」
気づかれる可能性を少しでも下げるためできるだけ端的に説明する。この子ならば理解してくれるだろう。
俺はそう言い終わるとすぐに前にいるミキさんに追いつく。
説明はしたが、解決には至っていない。どうにかして外に助けを呼ばなければ。
それにしても、ミキさんが呼んだと言っていた。衛兵が遅すぎる。恐らくこれも嘘だったのだろう。よく考えると、適当な理由で丸め込まれていたが、馬車が変わっていたりしたのもおかしい。普通貸したりはしないだろう。いきなり、こんな嘘がつけるのか……。絶対性格悪いだろこいつ。
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