第56話 意外な再開
ここまで来ていただきありがとうございます。
「取り合えず、今日の診察が終わるまで待っていてください」
病院の待合室で黒髪の少年と、獣人の女の子が話していた。一方どこかの屋敷の使用人のような服装で、もう一方は白衣をまとい医者のようだ。
「ん、いつまでだ? 」
「えっと、後二人で終わりだった気がするのですぐ終わります」
「分かった、ここで待ってる」
「ありがとうございます」
女の子が離れ病室に戻って行く。何やら話をしていたようだ。
「それにしても、ミキさん結構かかってるな」
そう愚痴をこぼした。時計を見る、未だに見方は何となくでしか知らないが、大体の時間は分かった。
ミーコはすぐ終わるって言っていたが、どれくらいかかるのだろうか? 正直暗くなる前には兵士の方に到着してもらい、あいつが暇になるときには来ていてほしい。
「すいません、――――あ、やっぱり。君は確か……レン君だったっけ? 」
そう突然声を掛けられた。いきなりの事で少し身構えてしまった。そして、なにやら俺の事を知っているようだが……ちょっと思い出せない。確かに会ったことがある気がする。俺は人の名前や顔を覚えるのが苦手なのでこういうことはよくあるのだ。治そうとは前々から思っていたのだが……。それはこの世界でも変わらないようだ。しかし、俺があったことがある人とは限られてくる、そう思えばだんだん見えてくる……はず……。
「えっと、聞こえてる? 」
「待ってください。もうここまで来てるんです」
目をつむり、うんうんうなる。おでこにはハの字を描き、顔はみるみる赤くなる。
「あ、もしかして忘れちゃった? ほら、『はんのき』の道場にいた」
「あ! 気絶した俺を部屋に案内してくれた、えっと確か名前は……」
我ながらすごい説明口調だが仕方ない。
「そう言えばまだ名乗ってなかったね。僕は道場に通う門下生の一人エイル・クロードと言います」
エイルと名乗った少年は、背は170前半でそこまでガタイもよくない、行ってしまえはひょろっちい好青年な人だ。笑うと目は細くなり、人懐っこい笑顔をする人で、髪と瞳は鼠色で何ともイケメンだ。
「どうしたの? 姫様に何かあった? 」
この人はローズについて詳しく知っているのか普通に心配してくれたのか分からない俺はあまり詳しい話は出来ない。
「ああ、ここの、小さい先生に用があって病院に来たんです」
俺は、今ここにいる理由を言うことにした。嘘はついていない。
「フーン。そうか……まさか、この病院の天使、ミーコ様にお前もメロメロにされちまったのか......」
少し怪し気に考えた後、とんでもないことを言い出した。まるで同志を見つけたかのような目をしてくる。圧がすごい。
いやめちゃくちゃ可愛いのは分かるが、みんなから天使って言われてたのか。いやめちゃくちゃ可愛いけど。
「じゃあ、俺はここらで帰るよ。また道場よろしくね」
一応熱い握手を交わした後に俺たちは別れた。
ちなみに口調が前と少し違うのは、俺が道場から帰った後に俺が使用人的な位置にいると聞いて敬語をとったからである。まあ、お嬢様が道場に入れたいって連れてきた人はどっかの偉い人と思われても仕方ないか。
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