第51話 悪の予兆
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馬車が屋敷に着いたのは昼を少し過ぎた時間だった。といっても、まだまだ、夕方には程遠く活動時間であるのは確かだ。昼食をまだ食べていないので体感的にはまだ昼になってはいないが。
ローズは屋敷に着くまでぐっすりと眠っていたが、馬車が止まった時に目が覚めたようだ。
んーっと伸びをしながら目を擦る。
「着いたのね……」
「どうする、また少し眠るか? 」
流石に馬車の中では満足に眠れはしないだろう。今後の事も考え今はまだ休んでほしい。
「いや、大丈夫。まだ、昨日の仕事とかいっぱい残ってるし」
明らかに無理をしているのは分かるのだが、俺にはどうすることもできない。出来ることなら、代わってやりたいが、そんなことは不可能だ、
馬車から降りる。少しふらついた、ローズを支える。正直心配だ。
「取り合えず、昼食にしよう。ミキさんもそう言うだろうし」
「そうね」
心なしかローズの反応は暗い。
ミキさんは馬車を戻しに行き、俺はカレンさんに報告に行く。そしてローズは昼食の準備ができるまで部屋に戻っているようだ。
俺はこの時間外で、洗濯物をしているカレンさんを探しに外に再び戻る。
いつもの場所に向かうと洗濯物が途中まで干されていて、残りがまだ籠の中に残っていた。カレンさんが家事の途中で抜け出すなんて珍しい。お手洗いにでも行ったのだろうか?
「あら、レン君? 帰ってきたんですか? 」
後ろから突然声が掛けられた。その方に振り向くといつものカレンさんがいた。いやどうやって音立てずに後ろに回ったんですか……。
「お疲れ様です。ただいま戻りました。それでローズの件なんですが……」
「やっぱり……駄目だった? 」
これまではカレンさんも病院について行っていたようなのでこれまで通り今回も何も出なかったと思っているのだろう。
「それが、実は原因が分かりました」
「ホント? 一体何が――」
目をぱちくりさせものすごい剣幕で近づいてきた。顔が近いです……。
「それは、魔法や魔術に似たものによることが原因でした」
「似たもの……。でもどうして? この前はそんなこと分からなかったのに」
首を傾げ考えているようだ。
「それが、病院にいた小さな先生に診てもらったんですよ。診察させてくださいって呼び止められちゃって、それがまたかわいいのなんの」
あの小さなケモミミ少女を思い出す。まだ幼いのにしっかり者でとにかくキュートだった。診察は結局してもらってないような気がするが関係ない。
「へー。でも、今まで見つからなかったのにその子はどうしてわかったのかしら? 」
カレンさんはいつになく真剣に聞いてくる。当然の疑問だ。
「ああ、それはその子の女神の聖痕の力によるものでした。こう、左腕に星に瞳が描かれた痣がありました」
腕を指さして伝える。
「そうなんだ……」
「それより、これっパッパッと終わらせちゃいましょう」
そう言って、洗濯籠に手を伸ばす。そしてすぐそばの物干し竿に掛けてから気が付いた。
「――――あれ……カレンさんは? 」
今の一瞬でカレンさんの姿が消えた。一体どこに行ったのだろう。凄まじい悪寒がする。何か嫌な予感がする……。そう思い急いで屋敷に戻った。
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