第41話 疑惑の枢機卿
ここまで来ていただきありがとうございます。
「お待ちしておりました。どうぞ、おかけになってください」
カエル枢機卿はソファを指をさす。ソファはローズの屋敷にあったどのソファよりも高級感にあふれていて、それでいて清楚で教会にあっても不自然に感じられない。
「ありがとうございます」
そう言って俺とミキさんはソファに腰を掛ける。今までにないフカフカ感だ。ずっと座っていたい。
「で、今日は一体どのような要件でしょうか? 昨日私が訪ねたのと何か関係がありそうだと思うのですが、あまり心当たりがありませんので」
首をかしげながら俺たちが今日訪れた理由を考えているようだ。
「実は、昨日カエル様が訪れた後にローズお嬢様に発作が起こりまして……。今まで治まってきていましたので何か心あたりでもないかとお話をお伺いに来たのですが」
重々しく、それでいて笑顔とそれに見合った声色でミキさんは本題に切り込む。
「そうでしたか……まさか……話をしていた時はそのようなそぶりは見えませんでしたが……」
顔を見るに本当のことを言っているように見えるが……。俺がそんなことが分かるはずもないが。
「何か話した内容でもいいのですが教えていただけませんか……」
藁にも縋る思いだ。何か少しでもいい手掛かりが欲しい所なのだ。
ローズのあの症状は精神的なものだと言っていた。じゃあ、何か会話がきっかけでそのトラウマやらなんやらが刺激されて不安定になってしまったのかも知れないからだ。あの時の顔――――部屋から出てきたローズのあの時の顔は何か暗いものだったから。
「そうですね。……特にこれと言って変わったことは……あ! 」
昨日のことを思い出しているのだろうか上を向きながらうんうんうなっていたその時、突然目を見開いた。
「何か思い出したんですか?! 」
「いえ、もう一度考えてみると何も関係ないように思えました。『このように立派に成長されて、さぞ王妃様もお喜びでしょう』と言ったのですが別にローズ様は容姿を褒められても言われなれていらっしゃいそうですしなんとも思わないでしょう……」
見開かれた目はまた元に戻り、再びうんうんとうなり始められた。が……
「ミキさん……? 」
ミキさんは少し思いつめたように俯くと、すぐ立ち上がった。
「カエル様有難うございました。少し早いですがもうお暇させていただきます」
良く分からないがミキさんは何か分かったようだ。今のところにそんなところは感じられなかったのだが……
「良く分かりませんが、お役に立てて何よりです。もしや私の失言でローズ様が体調を悪くなされたのでしょうか? 」
カエル卿は本当に申し訳なさそうだ。少し疑っていたが普通に優しい人だったんだ。なんか疑ってすいません。
「そんなことはありませんよ。では失礼します」
そんなカエル様をミキさんらしくなく返し、すぐに部屋を出ようとする。ミキさんは少し冷静じゃない様子だ。
そしてそのあとに続いて部屋を出る。
「レン君、……やはり面白い子だ――――」
部屋の扉を閉じる瞬間そんな言葉がカエル枢機卿からこぼれでた。それは蓮の耳には入らない。
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