第103話 龍と竜
ここまで来ていただきありがとうございます。
「リュウって何個もあるものなのか?」
書斎で俺は本を片手に『リュウ』について質問をしていた。ローズは何やら詳しく知ってそうなのだが……。
「何個もってわけじゃないけど……大きく見たら二種類で、細かく見たら十数種ってところかしら」
勉強に飽きたのか、教材の本を閉じ、ローズはペンを顎に当てながらそう答えた。
「そんなにあるんだ」
「多分レンが考えているのって大きなトカゲみたいで空飛んでて火を噴くような奴の事でしょ」
「あ、そうそう。トカゲの王様みたいなやつ」
「トカゲの王様って……まあ、そんな奴だけど、それが『竜』大きく見た一つ」
「じゃあ、もう一つは?」
ローズはゆっくりと背凭れに体重を傾ける。部屋の天井を見つめながらどこか悲しそうな顔をしていた。なぜそんな顔をするのか俺に分からない。
「…………生き物は時として、その生き物としての範疇を大きく超えた存在を生み出す。突然変異だったり、特別な外的要因のせいで生み出された生物は神と呼ばれることもあるわ。そんな化け物みたいな生物を敬意と畏怖を込めて龍と呼ぶの」
淡々と、物語を子供に読み聞かせるみたいに続けた。
龍とは生物を超越した存在を指す。ローズは確かにそう言った。そんな怪物がこの世界に十数種も跋扈しているなんて聞いたことがなかった。
「今では、もう十数種もいないけど」
「どうして?」
「……私たち人間が殺したから」
「なんで……?」
「なんでって、災害みたいな化け物が私たちの住む直ぐ側にいるのよ。臆病で自分勝手な人間様はそうゆうの殺したくてたまらなくなっちゃったんじゃないの」
「…………」
『臆病で自分勝手』その言葉はまさしく人間だ。身を守るためなら当然だ、そんな奴を殺すことは。日本だってオオカミを殺し尽くしたのだ。この世界でも似たようなことが起こっていても不思議ではない。
「自分から近づいたくせに。都合が悪くなったから殺すなんて……ほんとにバカみたい」
俺は本を机に置く。こんな話を聞いた後に竜の本を読む気にはならなかった。
「でも、まだいくつかは生きているんだろ?」
「そうね、一部では神として祀られているものもあるし、世界を滅ぼさんとする災害となっているのも、傍観主義を決め込んで何もしないものもいる」
「そうか……」
「でも、ソフィアさんがそんなことを……」
「ソフィアさんがどうかしたのか?」
「レンは知らないの? ソフィアさんと言うよりソフィアさん達……メーフス家は龍と切っても切れない関係だし。そこの話はいつか直接本人達に聞くのがいいんじゃないかしら」
「分かった……そうする」
読んでいただきありがとうございました。
もしよろしければ感想、評価、ブックマークもよろしくお願いします。励みやモチベーションの維持につながります。




