第120話 午後からの
ここまで来ていただきありがとうございます。
「ただいま帰りましたー」
俺は屋敷に付いた。いつも通りの玄関だ。シャンデリアや絵画がありながらも華美過ぎない、目に優しい所が俺的には点数が高い。もうすぐ昼食の時間なのですぐに、自室に向かう。着替えて、ダイニングに向う。
今でもこの衣装に着替えるのは少し難しい。実際着始めたのはここ数日の事だが、慣れるのは二か月ほどかかるだろう。この国独特の執事の衣装。黒を基調としている中によく見るとブラウンのアクセントがあり、普段よりかっこよさ二割り増しぐらいに見える。
ふと、クローゼットの中に目が行った。そこにはTシャツがあった。俺の寝間着だった服だ。
この世界に来た時の服装はTシャツ以外は全部捨ててしまった。別に、寝間着として使っていたもので思い入れがあるわけではない。だけど、やっぱりこれだけは捨てられなかった。
俺は出かけて時に来ていた服を畳むと小脇に抱え部屋を後にする。ダイニングに向かう前に洗濯するところに持っておくためだ。メイドの誰かがやってくれるのか朝にはピシッとして戻ってくる。洗濯はホント苦手だ。洗濯機ホシイ。
食堂に向かうとまだローズは来ていないようだった。厨房の方ではリズミカルに料理を奏でている音が聞こえてくる。いつもの席に座る。俺の席の位置はローズがいわゆるお誕生日席だとするとそのすぐ右だ。朝と夜はメイドの人が一人来ているのでその分右にズレるが昼はこうしてすぐそばにいる。ちなみに左はミキさんだ。
「レン来てたのね」
声が聞こえてきた方を振り返るとそこにはローズが立っていた。炎のような紅い髪に瞳、いつも通りの赤いドレスだ。ドレスと言っても舞踏会に行くようなすんごいものではなくてスカートの延長のような服だが。
「お疲れさん」
「そっちはどうだったの。あの人結構変わってるから大変でしょ?」
「いやまだ良く分からないかな。もう少ししたら分かりそうだが……第一印象は『ダメな大人』だな」
会話をしながら食事を済ませた。いつも通りミキさんは殆ど喋らず、俺とローズが午前中にあったことを笑いあう。そんな時間を過ごした。
食事が終われば、俺はローズの勉強を教える……と言うよりは監視をすることになっている。いつかのように勝手に抜け出されてはたまらない。メイドの誰かと交代で見張っているのだ。交代の時間が来ると、その後俺は庭の水やり、洗濯物を干す、掃除などをしている。
ローズの執務室の隣は小さな書斎となっている。そこで、普段はミキさんに教わっている。今も、黙々と机に向き合っていただいている。
「ローズ、龍って見たことある?」
「何、唐突に……」
俺は本を片手にローズに話しかけていた。『龍』ソフィア先生の書類に載っていた空想上の生き物。この言葉を聞いて滾らない漢はいないと思う。早速、この時間の合間に図書室に行って探してきていたのだ。
ローズはペンを持つ手を止めて、めんどくさそうに俺を睨んでいた。もちろん笑顔で返す。
「はあ、そうね、リュウってどっちの方のリュウ?」
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