第100話 ソフィア先生
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「ああ、君の自己紹介は大丈夫だ。もう、ローズから聞いている」
「……分かりました。えー、ソフィア先生」
「うん、実にいい。『先生』その響きは僕に合ってる」
そう言うとテーブルから腰を上げて、元の机の方に向かった。
「これからどうしたら……」
「そう焦るな。今すぐする訳じゃない。まずは、少し話をしよう」
書類のたまった机の椅子に腰を下ろす。そして、その机の上にある書類をバサバサと地面に落とす。
「話……ですか?」
「そうだな。何から話そうか? ……そうだ、あれからだな」
ソフィア先生は人差し指を唇に当てながら考えているかと思うと、すぐさま答えを見つけたようだ。
「君は魔導を極めたいんだったね」
「魔法と魔術両方ですけど……」
「ああ、それが魔導を習うという事なんだ。……だから嫌われる」
何かに呆れているような声色だった。
「それは、魔法使いと魔術師は仲が悪いって話ですか?」
「厳密に言うと違う。『超』仲が悪いってところだろう。」
「そんなにですか……」
「そんなにだ。だが、気にする必要はない。そんな奴らは無視しておけばいい。実害が出るわけでもないし、出たら出たでこっちもやり様はある」
何かローズに似た危うさを感じる。こっちのやり様って何……?
「……先生はそう言うのを気にしない人だってことは分かりました」
「次は魔法、魔術について教えておこう。明日からは実技だからな今日のうちに基礎の話をしておく」
「基礎ですか?」
「まずは魔力の話だ。魔法や魔術の燃料である魔力はこの世界に漂うマナを体が吸収し、体内の魔力炉で作られる。それを式に載せたり、想像力で形にしたものや意味を持たせたものにすることを魔道と呼んでいる」
「マナを体が吸収するってどういうことですか?」
「マナは空気や物質、あらゆるものに溶けている。それを呼吸や食事で取り込んでいるんだよ」
「へー」
もう良く分からん。
「そして、そんな魔導は一般的には三つの階級のものに分けられて、低、中、高、それぞれは本来必要な魔力の量と構築の複雑さで分けられている。魔術的に言うと低高ってところかな。中は詠唱に付くものは無い」
「一般的ってことはそうじゃないものもあるんですか?」
「……ある。が、君には関係なさそうだ。それらが使えるのはほんの一握りだけだよ。天才程度では至れない」
少し、表情が暗くなった気がした。そ言葉は自嘲めいた言葉の重さは俺には分からない。
「……」
「話を戻すが、その高位魔法、魔術を習得したものが魔術師、魔法使いと名乗ることができる。それでやっと一人前ってことだ。僕の仕事は君をそこまで導くことだから」
「それで、先生はどっちを教えて下さるんですか?」
「? 変なことを言うな君は。僕はどちらか一方しか教えなくていいのか?」
「はい?」
その言い方は……もしかして……。
「え、先生両方使えるんですか?」
「ああ、そうだが……。言わなかったかい。僕が嫌われてるってこと」
「言われましたが……」
「もしかして、僕が嫌われているのは僕の人間性に問題があるからとか思ってない?」
眉を寄せ、非難してくる。
「そ、そんなことありませんよ。やだなー」
正直そうだと思ってました。すいません。
「……魔法使いと魔導士は超仲が悪い。だから、両方使えると両方から嫌われるってこと。君はそれでもいいのかい」
これは最後の忠告だ。本当にいいのかと。これの道を選んだが最後、俺は魔法使いからも魔術師からも嫌われるのだろう。だが、そんなことはどうでもいい。俺は友達を作るためにここに来たわけじゃない。強くなるためだ。
「大丈夫です」
「……ならいい。これから君は僕の弟子だ。よろしく頼むよ」
ソフィア先生は俺の目を見つめた後。瞳を細めそう言った。
「はい、よろしくお願いします」
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