第99話 見たことのある特徴
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翌朝、俺は朝食を取った後、国の三大重要施設の一つである、コモン・バーベンに向かったのだ。
どうやら、特訓は一日の午前中のみで、午後は屋敷の仕事をするスケジュールになっているようだ。そして、俺は魔道だけを学ぶのではない。剣術の方も学ぶのだ。それにこの予定は、週ごとでされており、一週間魔道を学ぶと、次の一週間は剣術の道場に向かうのだ。
そうやって、学んでいくのだが、如何せん休みがなさそう。この二か月の予定を見せてもらったのだが休みは一日だけだった。なぜなら、先生や施設、道場の事情で休みなったときはもう一方について学ぶように穴埋めをされていたため、運良く(運悪く)道場も施設も使えない日がないと休みにならないためだ。どうなってるんだこの世界。
そんな嘆きがありながらも俺はコモン・バーベンの前に立っている。
その装いは以前と全く変わらない。上は50メートルはあるだろうか、こんな足元では天辺は見えない。味のある石造りで古くからの威厳を感じる。
この高さはこんな石造りで建てられるのか心底怪しいが、魔法か何かの力だろうと納得する。
そして、俺は魔道施設に入る。
受け付けは思った以上にスムーズだった。入り口で軽く説明すると、事情を知っていたのかすぐに答えが返ったきた。
「えっと、右の廊下の手前から二番目。……と、ここか」
俺の目の前にはただ一つブラウンの扉があった。洋風チックなその扉はふと板チョコみたいだと思った。
壁に番号や名前のようなものが見られない。このような施設で、部屋に名前がないのは不便そうだ。こんなどうでもいいことを考えながら俺は扉を開ける。
「ようこそ。君がレン君だね」
そこには金髪の女性が待っていた。
もちろん美形だ。長い金髪はくせっ毛なのか巻き巻きになっている。瞳は、萌葱色の瞳……。どこかで見た組み合わせだが……。
「まさか、ウィルのお姉さんですか!?」
特徴的な髪と瞳は流石に血縁だろう。
「ああ、この前は僕の不肖の弟がお世話になったみたいだ。礼を言おう。ありがとう」
書類だらけの机にかけている彼女は笑顔でそう言った。
「そんなことありませんよ」などと言いながら部屋に入っていく。
いや、書類だらけなのは机だけではなさそうだ。部屋中が書類や、衣服、本などで、めちゃくちゃになっている。足の踏み場は辛うじて残っているがここも、時間の問題だろう。
「ああ、すまない。何分僕は片すのが苦手でね。適当にそこにでもかけていてくれ」
そう言って、唯一、何も置かれていないソファを指で示していた。その前にある、テーブルには本が積み重なっていたが……。
「えっと、忙しいんですか?」
俺は書類の山を軽く眺めながらそう尋ねた。もしそうなら、そんな忙しい人に才能もない俺が勉強させてもらうのは申し訳ない。
「いや、嫌われているんだよ。みんな口には出さないけどね」
「はあ、嫌われて……」
嫌われていることと書類の山に何の関係があるのか良く分からない。
「みんな、面倒な仕事を振っていくんだよ。例えは……姫様のお気に入りの少年を鍛えろとかね」
彼女は双眸を細めながらそう言った。だが、そこに不快感は見られない。
「す、すいません」
「気にするな。冗談だ。実際、振られる仕事も僕にしかできないことが多いのも確かだ」
そう言いながら立ち上がると、こちらに歩いてくる。よく見ると、スタイルもいい。四肢は細く、そして出るところはしっかり出ている。長い髪は腰の上まで伸びていた。
そして、いきなりテーブルに積み重なっていた本を退かし、そうして空いた所に腰を掛けたのだ。そして、俺の目を上から真っすぐ見つめながら言葉を続ける。
「改めまして、少年。僕の名前はソフィア・メーフス。ソフィア様、ソフィア先生、ソフィア師匠そう好きなように気安く呼んでくれ」
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