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神官と加護

ファンタジー世界での僧侶や神官のイメージって、みなさんどうですか?

聖属性の魔法を使う回復職、またはバフやデバフを行う支援職ではないでしょうか?


何故こんなイメージが出来たのかといえば、前回も紹介しましたが「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に登場する「クレリック」という僧侶クラスの存在が起源でしょう。

なぜなら、この「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのテーブルトークRPGに触発されるかたちで「ウィザードリィ」などのコンピューターRPGが数多く生まれたからです。

そしてコンピューターRPGはさらに独自に進化していく訳ですが、現在のゲームやラノベはこの延長上にあると言っても良いと思います。


この原点と言っても良い、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の「クレリック」について紹介します。

そもそも、僧侶が冒険というと現実には無さそう気がします。

まぁ、近所の教会の神父さんが「ちょっと冒険出かけてくる」とか想像できませんよね(笑)

これは十字軍で出征した騎士修道会と呼ばれる騎士団をイメージしているようです。

彼らは騎士であると同時に修道士でもあるのですが、クレリックというクラスについても武器の制限があるものの防具の制限がありません。

見た目は戦士や騎士です。


また彼らはアンデットを許しません。

ターニングアンデットという特殊能力を持っており、レベルが上がればヴァンパイアやリッチさえも退けます。

ダンジョンズ&ドラゴンズ発売前に映画「エクソシスト」が公開されているので、僧侶VS死霊は欧米ではスタンダードな概念なのかもしれません。

ここから僧侶と言えば、「聖」属性となったのでしょう。


特殊能力と言えば、当然呪文も使います。

アメリカ生まれのゲームの為、どうしても僧侶というとキリスト教がベースとなっていますが、キリスト教には秘蹟、礼典、機密、聖奠などと呼ばれる僧侶が行う儀式があります。

洗礼や告解、聖別や癒しなどです。

また、伝承にあるような聖人の数々の奇跡は実にドラマティックです。

それらをベースに冒険で役立ちそうで、また劇的にパワーアップさせた呪文を使います。


このクレリックが使う呪文がパーティ内での回復や支援に関わるものが多かったので、ファンタジー世界での僧侶のスタンダードな役割が回復職あるいは支援職となったのではないかと思います。

中世での騎士修道会は、平時は巡礼者を癒す医療奉仕が義務付けされていた団体もあったようなので回復職というのは間違いないようです。


世界観によるでしょうが、このような騎士修道会のメンバーだけが冒険に出るのも不自然です。

そもそも僧侶は彼らだけではありません。

大航海時代には宣教師たちが新天地での布教に励みました。

日本の修験者は山々を巡ります。

冒険に出る宗教家は一般的ではないかもしれませんが、いつの時代でもどの地方でもいると考えて間違いないと思います。


ファンタジー世界における僧侶や神官の役割は現実世界とほぼ同じ、神と人との仲介者や神々の代行者であり、民衆の指導者的立場です。

ですが違う部分もあります。

なぜならほとんどのファンタジー世界では神は実在し、作品によってはその存在を疑う事が困難なほど強烈な存在感を持っているからです。

場合によっては顕現し、キャラクターや登場人物たちを導き、あるいは敵対する事もあります。

そのため様々な宗教にある「~派」とか呼ばれるような、教義の解釈の違いによる派閥の発生は少ないでしょう。

同じ神を崇めながらも教義が異なる宗教が沢山ある現実世界とは違うので、そういう意味では平和かもしれませんが…


さて、神から与えられる能力は呪文やターニングアンデットだけなのでしょうか?

実際にはこのような特殊能力がなくとも、信心深く敬虔であるだけで僧侶としては成立します。

現実の僧侶の皆さんは、呪文は使えませんしね。

ここで言いたいのは、ゲームや小説の設定として僧侶の特殊能力は呪文にこだわる必要はないということです。

例えば、カンフー映画で出てくる少林寺の僧は呪文は使いませんが、素手で敵を打ち倒します。

呪文によらず攻撃や防御、回復や支援の手段を持っていれば、そういう特殊能力を設定しても良いでしょう。

一日に何回か1レベルごとに1ポイントづつHPを回復させる、戦闘中に味方を鼓舞し士気を高め、命中やダメージにボーナスをつける、とかです。

ほかにも例えば火の神を信仰する僧侶ならば通常の火に対して耐性を持つなど、信仰する神によって得られる加護も様々でしょう。

属性を考えた場合、聖属性や光属性にこだわる必要もなさそうです。


とはいえ神に祈祷しさまざまな状況に対応できる呪文の万能性に比べ、ややバランスを取ることが難しいでしょう。

創作を考えた場合もやはり呪文は便利です。


現実世界において僧侶は戦闘職、回復職、支援職と様々な顔を持っています。

ファンタジー世界を創作する上では現実世界を参考にバラエティを持たせ、特殊能力に関してはバランスに注意して行こうと思います。




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