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魔法と魔法使い

ラノベやゲームに出てくる魔法使いや魔術師は、どちらかと言えば「呪文使い」あるいは「スペルキャスター」といった感じ。

また、魔法の習得や行使に知力が関連している事が多い割りに、遠距離攻撃、広範囲攻撃、属性攻撃専門の戦闘職といった扱いが多く、呪文以外の魔法は使わない。


知り合いに魔法使いを生業にしている人がいないので詳しくは判らないんですが、どうも違う気がしてしまいます。

魔法的あるいは魔術的なものでよく聞くものは、占いとか伝承や都市伝説にあるような決まった手順で行う儀式的なものでしょうか。

少なくとも呪文を唱えるだけで発動するお手軽魔法は、現実世界では聞いた事がない。

ファンタジー世界にリアリティを持ち込むのは是々非々だと思うんですが、例えばダンジョンズ&ドラゴンズ(初期)の魔法使いなどは結構それっぽいのではないかと思います。



まずは魔法って何でしょう?

占星術、錬金術、陰陽道、神仙術などなど、神話伝説伝承に残っているような派手で実現不可能と思えるようなものだけが魔法ではありません。

効き目の有る無しに関係なく、日常生活で見かけるちょっとしたことに魔法的な要素を見つける事はできます。

盛り塩をされている家は多いですし、人差し指と中指をクロスさせて「バリア!」とか経験ある人は多いんじゃないでしょうか?

こういう些細な事を集め分類し、神様や悪魔、精霊、妖精、妖怪などに力の源を求め、発展させる事で魔法という体系を作り上げる、というのが現実世界における魔法(あるいはその源流)ではないかと思います。

つまり魔法とは知識の集積とその応用。科学と一緒です。(ここで上記の知力パラメーターの話に繋がるわけです)

実際に、錬金術が化学や生化学、占星術が天文学に発展しています。

ファンタジー世界の世界観によりますが、魔法とは本来秘められた技術であり、魔力やMPを消費して行使する超能力ではないという事です。



魔法が目的なのか手段なのか?

というと、やはり手段なのではないかと思います。

だからこその『魔法使い』なのではないかと。

では何のための手段なのか?

魔法でしかできない事というと、現実社会で言うところの科学技術の代わりとなりそうです。


未来予知、天候の予測、水源や鉱物資源の探知法、物質の変化変性の規則性の解明、病気や怪我の治療法、さまざまな薬の作成法、等々。

もちろんファンタジーっぽく、効率的な魔法攻撃の方法や呪いから身を守る方法とかもありそうですが、現実でも研究している人がいそうな事柄が多いと思います。

良いイメージが無いネクロマンサーも、「生命とは?魂とは?」という深いテーマを追い求めていった結果と考えると納得できるのではないでしょうか。


古今東西、優秀な研究者や技術者は稀有な存在です。

中世を題材にしたファンタジー世界においては元々の教育レベルが低い事が多く、このような魔法使いを一人前に育てるのに時間と費用がかかることは簡単に想像できます。

戦う事は武器を取れば一般人でも出来ますから、わざわざ魔法使いのような知的エリートを危険な場に送り込む必要はありません。

魔法使いとは研究職(または技術職)であり戦闘職ではないということです。



ゲームやライトノベル、アニメなどで活躍する魔法は、話の流れや独自の神話体系、ビジュアル的な問題やスピード感といった様々な理由で呪文が主流です。

ほとんどが戦闘用で限定的な範囲で短時間で効果が切れるものばかりです。

ただ、どちらかというと魔法使いでない一般人が求めている魔法の恩恵とは、大きな範囲または長期間というものではないでしょうか?

作品によっては、何らかの儀式やアイテムを用いる事で反映しているようで、リアリティという意味ではしっくりきます。

ただし、非常に地味。

先ほど挙げた研究や技術に関わる魔法であれば、研究室で様々な実験を行う為のものでしょう。

実りを約束する儀式や、無事な航海を祈る儀式、子孫繁栄を願う儀式等々は、世界中の様々な国で、其々のやり方で現実に行われていて、僧侶神官(地域によっては呪術師)が取り仕切っています。

こういう儀式を司るのもファンタジー世界では魔法使いの役割のひとつと認識して良いのではないでしょうか?

もちろん僧侶が取り仕切る場合もあるでしょうから、このあたりは世界観と相談です。


こういう魔法の効果を簡易的したもの、あるいは術者のレベルアップによる結果として大掛かりな儀式をせずにしなくてもよくなったものが、いわゆる呪文と考えるとわかりやすいでしょうか?

魔法のインスタント化といっても良さそうです。

何より冒険中にその場に応じて発動できるのが魅力です。

但し、前述の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのRPGでは大抵の場合持続時間が決まっており、ゲームによっては詠唱の際に精神集中と場合によっては高価な触媒を用意する必要があります。

何よりレベルによって唱える事が出来る呪文が決まっている場合が多いです。

呪文は魔法そのものではなくあくまで魔法の一部であり、二次的な副産物であるという事を忘れると、魔法使いの描写が戦士と同じようになってしまう恐れがありそうです。


同じく呪文を使う職業として代表的なものに、僧侶または神官がありますが彼らが扱うものはここで述べた定義では魔法ではありません。

結果的には同じことが出来たりするので混同しやすいのですが、魔法使いの呪文と僧侶の呪文は成り立ちが異なるのです。

僧侶の呪文はそれぞれの信仰に基づいた「何か」から授かるもので、彼ら自身の知識や経験から得られた技術ではないからです。


魔法使いとは魔法という「技術」を使って真理の探求を行う学者ポジション。

(あるいは手段として魔法を用いる技術者)

冒険中の戦闘は他に任せ、その他の問題解決に呪文を用いるのが、俺の考えるファンタジー世界の魔法使いの立ち位置です。

とはいえ、ファンタジー世界におけるモンスターとの戦闘で、派手な呪文は心惹かれますし、設定上魔法でしかダメージが与えられないモンスターも多いので、戦闘とは無縁ではいられませんが。


自作でファンタジー世界が登場する小説やゲームを作成する場合は、以上を踏まえていこうと思います。

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