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ギタリスト

作者: 杉将

 ひどく汗を掻いているね。ここまで歩いてきたんだって?

  男は少し笑いながら、私にそう言った。なぜ車を買わないのか、そう言っているように私には聞こえた。成人を迎えた人間が、車を使わずに長い距離を歩くのはおかしいことなのだろうか? 私は男と会話をしたせいで、そんことを考えなければならなかった。一人で生きていたらそんなことは考えずに済むので、私はずっと一人でいたかった。

 私はなぜこの男に会う必要かあったのかを考え、楽器を買うためにここに来たのだと思った。ギターを買いに来たのだと私は男に伝えた。またギターですか、という顔を男はした。確かに私はこの店で四本のギターを立て続けに買っていたが、商売として、ギターがたくさん売れることは良いことであるはずだ。だから、男は私に感謝をし、また来て頂いてありがとうございます、とでも言うべきだろう。それに、私が四本も立て続けにギターを買ったのは、この店のギターが私に馴染まなかったからだ。そう考えると、自分がなぜまたこの店に来たのか分からなくなった。よく分からないまま買い物をするのは、やめておいたほうがいいだろう。私は、やっぱりこの店でギターを買うのはやめておく、と男に伝えた。またお好きな時に買いに来てください、と男は言った。私が店から出ようとすると、物のせいじゃないですよ、と声が聞こえた。それは私に言っているのかもしれないし、知らない人間に言っているのかもしれなかった。私はこういう時、後者であるといつも判断していた。その方が、無駄なことを考えずに済む。

 帰り道、マックに寄り、ビッグマックを六個食べた。

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