果実の長、唇の部屋
唇に、人差し指と思しき細い指が入っていく。
その口に歯は無い。
つるりとした、湿った舌があるだけ。
無限にあるその唇の一つに入った指は、指紋のある側をぬるぬると舐められた後、くるりと半回転して、爪のある側を舐められる。
十分に舐められたその指は、ゆっくりと抜けていく。
もてあそぶように、ゆっくりと。
ちゅっ、と湿った音を立てて名残惜しそうにしながら、唇は指を離す。
「こら、無花果。やめなさい………………ん、柘榴?………………また弾けたのか………………しょうがないなぁ。林檎と、葡萄、蜜柑は……だめか、苺は?………………だめ?じゃあ梨と、あと檸檬も」
唇の表面を指の腹が撫でる。
「だからだめだってば。ほら、いくよ?君にもやってもらう事があるんだから。」
無花果
柘榴
林檎
葡萄
蜜柑
苺
梨
檸檬