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特撮ヒーローと魔法少女が同居してみた  作者: 進藤ニカ
第13話「いやんばかん☆ ドスケベウイルスとかサイテー!」
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 天のシャワーが窓を叩く。

 それも生半可じゃない。ホースでばらまくみたいな、いかにも撮影でございって感じのわざとらしい豪雨だ。


 でもって、ここは、クソボロ木造建築アパート。


「んわー! あまもりー!」


 と、なるのは必然ってわけね。

 缶詰めの空き缶、いくらあっても足りないよ~!


「ほい! ほいせ! あっ次はこっちか! ひ~ん!」


 滴り落ちる水滴の着弾予測地点に、私は大慌てで受け皿を配置してゆく。移動魔法だって、惜しみなく使う!


 えっ? 結界魔法はどうしたって?

 あれは変身しないと使えない上に、燃費が悪いのよ!


「そあらくん、もういいぞ。屋根は補強してきた」


 もはやお馴染みパンイチスタイルにて、びしょ濡れのセクスィ~細マッチョ上半身をこれでもかと見せつけるコウシロウが、ドアを開けて入ってくる。工具セットを降ろして、ぞうきんで体を拭きながら、ため息ひとつ。


「ちょっ! あんた、カッパ着てかなかったの?」


「雨に打たれたい気分だったんでな」


「風邪ひいちゃうでしょうよ! ばぁかぁ!」


「俺はサイボーグだ。こういう時こそ、役に立つ」


 しれっと言うけど、いつもの真顔が暗く沈んでいる。


「やけに時間かかるなと思ったら、お隣さんのとこまで補強してきたわね。お人好しバカ!」


 もう、やだ。さっきの事が原因で、彼が落ち込んでるってわかってるのに、なんで憎まれ口しか吐けないの?


「そうだな俺はバカだ」


 泣きそうな目で笑わないでよ、コウシロウ。

 バカは私の方なのに!


「いかん。問題は飯だった。近所のスーパーはあらかた怪人にやられてるし、遠出して買いに行ってもいいが」


「ダメ! 行かないで! ゴハンなんていいよ!」


 腰にしがみついて引き留める。今の彼を独りにして、また敵が来たらどうする? きっと相手がどんな奴でもがむしゃらに戦うに違いない。そして、心の隙がもとで油断して深手を負いでもしたら。後は想像したくない。


「食わんわけにもいかないだろ」


「私が独りのとこに強敵が襲ってきたら責任とれる?」


 まただ。

 もっと言い方あるでしょうに。


「すまない。そこまで考えなかった」


 あんたも謝るとこじゃないってば。


 怒ってよ。言い返してよ。

 私達パートナーじゃなかったの? むしゃくしゃして苦しいなら、気ィ使わないでぶつけてよ。


 あなたが悲しいと、私も悲しいよ。


「致し方ない。こうなれば奥の手だ」


 コウシロウが段ボールから取り出したのは、


「こっ、これは!」


 まさかのカップラーメン!


「こんな高価な代物を! てか、買い置きしてたの? いざという時のためにとっておくべきじゃあ」


「今がいざという時だ」


 うろたえる私を説き伏せ、コウシロウは湯を沸かす。仰向けに寝て、へその上にやかんを置き、沸かすのだ。


「ムネノエンジン省エネ出力!」


 サイボーグの肉体が高温を発した。

 こうやってアパートの光熱費を浮かせるらしい。


「準備完了だ。よし行くぞ、そあらくん」


「何この緊張感? 震えが止まらないわ、コウシロウ」


 湯を注いで、躍りながら待つこと三分。


「ああ、なんと神々しい。簡単に出来上がる文明の宝」


「かやくに幸あれ、粉末スープに幸あれ。救いたまえ」


 私達は感動の涙と共に、祈りを捧げた。


「「いただきつかまつる」」


 合掌。ラーメン。


 ◇    ◇    ◇


 外の雨音はまだ止まない。

 いつも通り、仕切り代わりのカーテンを引き、布団を敷く。これもいつも通りで、私は日記をつけ終えてから床につく。コウシロウは先に横になっているんだけど、寝るのは大抵、私の方が遥かに早い。なんでなのかな?


 時おり、苦しげな呻き声がカーテン越しに聞こえた。

 戦いの疲労?

 傷が痛むの?

 肩凝りで寝苦しいの?

 理由はわからない。聞いても、教えてくれないから。


 思えば、私は彼を知らなさすぎる。

 長い付き合いで、知った気になってるだけ。

 当然よね。私だって、昔の事とか話せてないし。


 アパート脇の道路を通過してゆく自動車のライトが、窓から射し込み、男のシルエットを浮かび上がらせる。


「がっ、ぐっう……」


 いびきじゃない。うなされているんだ。

 同居し始めて間もない頃はこういう声が聞こえても、うるさいなぁってウザがってたっけ。でも、今は違う。


 ほっとけないよ。


「コウシロウどうしたの?」


 邪魔なカーテンをひっぺがし、私は向こう側に行く。布団を乱して、汗まみれで、もがくコウシロウがいた。


 どんな夢に苦しんでるの?


「もう起きて。私はここにいるよ!」


 いつか私がしてもらったように、悪夢から助け出して抱き締めてあげたい。大丈夫だよって言ってあげたい。


 少し間があり、彼は薄く目を開けて、私の手を掴む。


「そあら、抱かせてくれ……」


 はい?

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