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特撮ヒーローと魔法少女が同居してみた  作者: 山田遼太郎
第1話「たいへん☆ もっさいオヤジが私の部屋に!?」
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「こらっ!」


「またぶった! 何もしてないのに、ひ~ん」


「脳内でディスられたような気がしたのでな」


 悪びれる様子もなく頭を掻いてフケ飛ばしてる。

 あぁっ、くっせー足のウラでウチのお気にの、よもぎもちクッション踏んづけてるし! つかさ、


「なにナチュラルに私の寝床に押し入ってきてんの!」


 この激ボロでダサいアパートは四畳半一間しかなく、乙女のプライベート空間を守るためにはカーテンつけて区切るしかない。にもかかわらず、こいつというこいつはぁ、なに食わぬ顔で禁忌を犯してくれやがってぇ~!


「いや、アラームがいつまでもうるさいので仕方なく」


「もういやぁ出てってよぉ! このどちゃくそヘンタイ野郎ぉ、パジャマみないでトランクスみせないでぇ!」


 そこらのものを手当たり次第つかんでは投げつける。まくら、ふとん、ぬいぐるみ、掃除機、TV、冷蔵庫。あらゆるものが部屋を飛び交い、とっ散らかってゆく。


「落ち着いてくれ、そあらくん! 出ていけったって、ここは俺達の共有の住みかではないか!」


 舞い上がる埃の向こうから制止の声が聞こえるけど、それは逆効果の台詞だ。


「それ言うんならルールは守れ、アホバカヒーロー!」


 最初は仕方ないと思ってたけどもう限界。なんで私がこんなのとルームシェアしなきゃいけないのよぉ~っ!


 私がようやく落ち着いたのは、数分後の事。


「そろそろ機嫌をなおしてくれないだろうか。さっきは悪かった。とても反省している」


 白地に筆文字フォントで『スマン』とプリントされたTシャツを着て、コウシロウは私の前に正座している。その言葉に嘘はないのだろう。なんせ生真面目な奴だ。でもね、乙女の怒りはそう簡単に鎮まらないんだから!


 そっぽ向いて競馬新聞読んでやろ。


「子供が読むものじゃないだろそれは。あと、あぐらをかくんじゃない。女の子だろ!」


 取り上げられた。すねてやるー!


「え~ん返してよぉ~! そのたいど、さてはやっぱり反省してないのね~!? うそつき~!」


 床に寝転んで足をドタバタさせてたら、コウシロウはため息混じりに、やれやれといった顔で言う。


「じゃあ、お詫びに朝飯は俺が作る」


「えっホント? やったぁー!」


 思わずバンザイしちゃう。武骨なナリしてるわりに、料理だけはものすんごい上手なのよねコイツ!

 ちなみに私はというと聞かないで。


「ただし食うのはゴミ捨ててからだ」


 すっかり忘れてましたがな。急がなきゃ。この区画はなぜか収集車くるのメチャ早いの。


 じゃあ外出の準備しますか。まずは流し台に立って顔洗ってー、まつげ整えてー、クシ通して髪型キメたら。


「おっそーい早く行けー! しかもそこに居られたら、調理ができんだろう!」


 ヒラヒラのエプロン姿でダイコン片手にコウシロウが怒るから、仕方なくジャージ羽織って部屋を飛び出す。

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