1話 ソード・アイランド
春うらら。太陽の光豊かな街。
活気にあふれた街に、一人の少女と一人の少年。
二人は恋人……というわけでもないんだけど、まあそんな感じ。
少女は鬼松さくら。少年は黒田理と言った。
「それでさー、楓ちゃん、『刀の知識では私が勝ったな!』とか言ってんの! おかしいと思わない!? キャハハハハハハ!」
笑うさくら。
「そうかそうか。面白いな」
スマホを手に全然興味無さそうな理。
「ちょっとちょっと! 真面目に聞いてよ! 殴られたいの!?」
怒るさくら。
「いやいや。落ち着けよ。ていうか真面目な話をしろよ」
そういう理。
「真面目な話って言ってもなあ…… 何か面白い事無いかな?」
そう聞くさくら。
「無いだろ。……ん? あれは?」
理は、何かに気付いた。
見ると、店舗の一つにシートが敷かれ、何か怪しげな感じになっている。
その前には、ピンク色の軍服を着た怪しげなコスプレおばさんが居た。
「はいはーい! そこのカップル! お熱いね! どう!? ちょっと遊んでいかない!?」
そんなことを言うおばさん。
「カップルって、そんなあ~」
照れるさくら。
「ちなみに何です?」
聞く理。
「ま、新作ゲームの宣伝だね。ソード・アイランドって言うんだけど。どうかな? 遊んでいきなよ」
そう言うおばさん。
「えー、でも、お高いんでしょう?」
聞くさくら。
「ああ、無料ですよ。そりゃそうでしょう。ちなみに見事勝ちますと、より上位の大会に出れますし、賞金だって出ますよ」
そういうおばさん。
「へえ、そりゃいいね。どう? 理。遊んでかない?」
聞くさくら。
「まあ、いいけどな。お前ゲームとかやったことあったっけ?」
聞く理。
「ま、無いけどさ。たまにはいいかなって」
そういうさくら。
「いいんじゃないですか? それでは、2名様ご案内~」
おばさんはそう言った。