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one day record(2月7日)

作者: 神月悠
掲載日:2019/02/27

特になんてことない私自身の日常を描いた作品です。

(ただの日記)

暇つぶし程度に書いているものなので気軽に読んでみてください。

勢いで家を飛び出した僕ではあったがもちろん行くあてなどあるはずもなく。

行く場所など決まっているはずもなく。

仕方なく山など上っては見たものの、道の悪さと暗闇に少々恐怖を覚え、潔く

いや、かっこ悪く戻ってくる僕であった。

だがしかし家に帰るのは無理だ。

こうなったら近所のコンビニで夜を明かすしかない。

僕は車をコンビニに止め音楽を鳴らし購入したばかりのお菓子をほおばり、これはこれていいものじゃないかと思った。

その時は…。

そいつは唐突にやってきた。

寒さだ。

自然現象だ。

今は真冬だ。

しかも時間帯は深夜二時。

そいつがやって来ないわけがない。

僕は甘く見ていたのだ。

家の中の温かさですっかり忘れていた。

僕は無様にも惨めにも、まあるくなってぶるぶる震えながら長い夜をすごすことになった。


事の発端は夕方家に帰宅した僕に母が妹を迎えに行くように頼んだことだった。

その日は今日は平和な一日だった。

穏やかな一日だった。

気分が気持ちが安定している一日だった。

帰ったら自室にこもってゆっくり過ごそう。

そう思っていた。

けれど僕は二つ返事でOKした。

二つ返事とは快く引き受けることらしいのだが、僕の場合は本当に二つの返事だった。

「めんどくさい」

「わかりましたお母様」

僕の帰ったらゆっくりしていようという計画は母の都合によってキャンセルされた。

仕方がないいつものことだ。

子供はいつだって親の言う通りにしなければならない。

僕は引き下がり引きこもり、妹を迎えに行くまでの自由な時間を満喫することに決めた。

決まった。

僕は最近はまり始めたロックをかけおよそ普通の人間には理解できないであろうオチのない、結末のない

ジャンルもなく、意味すらない小説を書き出した。

扉が勢いよく元気よく音を立てて開いたのは筆が乗り出したときだった。

一瞬妹が一人で自力で帰ってきたのではないかと思った。

あるいは弟がゲーム機でも持ってまたやって来たのではないかと思った。

だがどちらでもなく母であった。

言い忘れたことでもあったのだろうか。

僕は走り出していた筆…ではなく鉛筆を無理やり止めて母の方を向く。

話は妹を迎えに行くにあたっての細かくない、大まかな内容であった。


一言であった。


その後はいつも通り自分の勤める会社の愚痴を言いだす。

僕は興味もないし聞きたくなかったけど母は自分の話が出来ないとヒステリーになるので仕方なく聞いていた。

僕は自由な時間を取り戻すため、とりあえず頷き、早く出て行ってくれと心の中で呟いた。

幸いにも母は言いたいことだけ言ってさっさと出て行ってくれた。

そして僕は再び筆…。じゃなく鉛筆を手に取る。

母の来襲ので折角思いついた泣ける話しに使えそうな名ゼリフを忘れてしまった。

本当にもう少し空気を読んでほしいものだ。

でも仕方ないか。

先に迎えに行く場所を聞いておかなかった僕にも非がある。

本当に良いセリフだったんだけどな。

覚えてないけど。


気を取り直して二度、新たな話を考え出す。

しかし、直ぐに思いつくはずもなく。

とりあえず最近溜まっていた母への怒りを紙にぶつける。

鉛筆が、筆がスラスラと動く。

(うん?逆になってる。

まあどちらでも同じか。)

筆が滑り出したところでまたも扉がノックなしで開かれる。

母だった。

折角滑り出した筆を止め、母と向き合う。

目を合わせる。


どうでもいい話だった。


母にとっては重要な話だったかもしれないが、夕飯の話など今の僕にはたいして重要な話ではない。

それよりもあと数センチ近づかれて開いているノートの内容を見られないか心配だった。

母はパーソナルスペースに何気なく入ってくるうえ、僕の物も自分の物のように触れたり、作文やノートを勝手に読み上げたりする人なのですごく心配だ。

今日の夕飯どころか二、三日は食事が出ないかもしれない。

食事が出るかどうかは母の機嫌次第なのだ。

僕は早く出て行ってくれと切実に願った。

母の話はすぐに終わった。


本当に良かった。

見られなくて...。

僕は安堵のため息をもらしたのち、三度筆を手に取る。


もちろん次に書く物語は思いつかずどうしたものかと頭を捻る。

ない頭をフル回転させて考え始めた時、キィーと不気味な音を立てて扉が開きだす。

やはりノックはしないらしい。

僕は徐々に沸いてきた怒りを抑えつつ母の言葉に耳を傾ける。

次は迎えに行く時間であった。


またも一言であった。


用件はまとめて伝えて欲しいものだ。

何度も自由な時間を邪魔されたのではたまったものではない。

迎えに行く気は進まなくなったが、一度引き受けたことだ、やりとおすのは当然だ。

残り二時間自由な時間を満喫したのち迎えに行こうと筆を進めた。


四度目。

扉は勢いよく唐突に、怒りを乗せてバン!と開かれた。

もちろん当たり前に、当たり前のようにノックはしない。

何事かとその人物、母を見る。

母は弟に頼んだからもういいと一言に簡単にまとめる。

ここで、ひゃっほうーやったぜ。

自由な時間を取り戻せたぜと喜べればよかったのだが。

そんなことは思わなかった。

思えなかった。


四度も邪魔されたうえ、急に予定が狂ったことがどうにも許せなかった。

怒りが頂点に達した。

我慢の限界を超えた。

抑えていた怒りが爆発した。

そこで考えもなしに考えることもせずに家を飛び出したのであった。



今回のオチみたいなもの。

けっきょく僕は震えながら一晩、車で過ごし、早朝に入浴と着替えをするため一度家に戻った。

幸い母と会うこともなく、そのまま職場に向かうため再度車を走らせた。

気分は最悪だったが途中で偶然すれ違った知人のおかげで職場に着くころにはいつも以上に心が穏やかだった。




彼女はいつも通りに赤い自転車に乗り僕の横をゆうゆうと通り過ぎる。

僕の耳には彼女が僕に気づいて鳴らしたサイクルベルの音が少しの間こだましていた。









最後まで読んでくださった方々ありがとうございます。

オチもあるような、ないような微妙な感じですが少しでも皆様の暇つぶしになれば幸いです。

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