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 翌朝神殿の朝食をいただき、迎えてくれた時と同じ若い巫女の操縦する神殿の潜水艇でゼフィロウ城のポートに入った。ポートでは思念による本人確認、治安部部長室行のエレベーターで再び思念による本人確認……ジョンのような者には不利な仕組みだ。彼のような者のためにも、より感度のいい思念認識装置が開発されるべきだ。降りた治安部部長室の扉の前で、私は心の中で声をかける。

(ラビスミーナ・ファマシュ、この部屋の主だ)

 扉が開いた。

 電脳に囲まれた部屋。そこに私と副官グリンの机と椅子がある。隣は応接兼休憩室だ。慣れた電脳の音、明かり。私はほっと息をつき、いつものようにスケジュールを見た。今日私が顔を出すと考えたグリンは、レンの調査をスケジュールに入れている。時間は未定。私の行動を証明する資料はできているとの記入がある。ならば、早速はじめてもらおう。

 私は椅子に掛け、机上の電脳で目を通すべき文書をざっと見た。その中に最高会議からの文書がいくつかあったが、さしたる内容はない。レンの調査を済ませたかどうかの確認と、済ませたのであれば報告してくれ程度のものだ。うんざりした。そんなことはレンの調査団に聞いてくれ。

 ノックとともにグリンが入って来た。

「お戻りですね、ラビスミーナ様」

 茶色の髪をきちんと整えた都会的な男。歳は三十代後半、穏やかで冷静な上官として、部下からの信頼は厚い。

「ああ。画像解析を頼まれた技術者はいたか?」

「それが、それらしい人物がいるにはいるのですが、行方が分からないのです」

「詳しく」

「ブロム技術開発部長にお願いしてみようと伺うと、個人の研究室の画像解析の技術者が昨日から行方不明だが、城の研究棟にいないかと問い合わせがあったと言うのです。もしやと思ってその人物、エドゥアルド・トゥビンの研究室に行ってみると、確かに画像解析の依頼があり、結果を何者かに送った後なのです。研究室の同僚は特別変わったところは見えなかった、明るい様子だったと言っています」

「送り先は?」

「消されています」

「足取りは追っているのだろうな?」

「はい。家族からも捜索依頼が出ています。研究室からエアカーを使っていないし、サブウェイに認証の跡がないことから、歩きで出かけたか、誰かと一緒かというところですが」

「家族は何と言っている?」

「全く思い当たる節がないと。いい仕事が入ったと喜んでいたと」

「いい仕事か……」

「ユリアが建築物、公共施設、ストリートに張り巡らされたモニターを調べた結果をまとめています。ヒントが見つかるかもしれません」

「うん、頼む。それとレンの調査だが、早く済ませたいのだ。ハニヤス以外にハルタンで探さなくてはならない人物ができた」

「それはガルバヌム様からですか?」

「そう」

「わかりました。すぐに手配します」

「ラビスミーナ様」

 栗色の髪を結いあげた中年女性が小走りに部長室に入って来た。その顔を見て、決していいニュースではないと一目でわかった。


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