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 ゼフィロウ城は鬱蒼とした森の中にあり、最先端のビル群が林立する都市の中央で、セジュの一千有余年の歴史を黙って物語っている。外見はいくつかの塔を持った古い城。城内もはるか昔の木材が使われ、古い家具調度が並んでいる。だが、それは表向きだ。城は最先端の電脳で管理され、どの部屋も必要に応じた機能が備えられている。そして城の地下。そこはまったく別の姿をしている。充実した研究施設、城専用のポート、治安部のドック、さらには、そこで喜々として働く、研究者や技術者たち。もちろん、ここ以外にも、ゼフィロウには研究施設も実験棟もある。が、間違いなく、城の地下の施設はゼフィロウの中でも群を抜く。

 エレンはファマシュ家の潜水艇の管理者だ。その操縦もこなす。城の正面入り口で私を下ろしたエレンは、エアカーを城の地下へ持って行き、治安部の制服に着替えた私を二人乗りの小型潜水艇で待っていた。

「オルクのようにはいきませんけれど」

 乗り込んだ私を見てエレンは笑った。

「そんなに急ぐこともない」

「それでも、少し……焦っておいでのような?」

「そうかな」

 ジャンには焦るなと言っておきながら……私は苦笑した。だが、この状況……何も糸口が見えない。

「そういえば、ガルバヌム様は今回のことで調査団に調べられることはないのかしら?」

「おばば様が?」

「あっ、すみません」

 それまで前のモニターから目を離さず操縦桿を動かしていたエレンが、慌てて私を見た。

「いや、当然の疑問だ。だが、おばば様自身がメヌエットのようなものだ。相手の思念に入り込み、囁くことさえできる。あの子のように」

「アイサ様ですね?」

「ああ、アイサは囁くどころか揺さぶることもできる。おばば様やアイサを調べるのは大変だろうな」

 私は愉快な気持ちになった。

「ラビスミーナ様もそんな力があるのですか? そんな気がする時があります」

「もちろん、ない。さて、どんな話やら」

 神殿のドームが見えてきた。神殿のドームはゼフィロウに最も近く、その保護を受けている。ドームに潜水艇が接すると潜水艇はドームに沈み込み、通り抜けた。その先のポートにエレンが潜水艇を着地させる。

「いつでもお声をかけてくださいね。エアカーでお迎えもいいものですわ」

「ありがとう、エレン」

 私は潜水艇を降りた。


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