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 私はハルタンのポートP1からゼフィロウ行のチューブに乗った。四人掛けのボックスのシートには私しかいない。五時間以上の旅になる。私は一息ついて小型の電脳を開き、ゼフィロウ治安部に入った。副官のグリンが応答する。私はゼフィロウのシェルのポートまでエレンに来てもらえないか聞いた。グリンは折り返しエレンがエアカーで待っている旨を伝えてきた。待ち合わせ場所は、ポート正面のロータリーからメインストリートに入る途中のパーキングだ。私はグリンに礼を言って電脳を切り、チューブの車窓から取り立てて見るものもない、闇のような海を眺めた。

 ハニヤスのことが頭に浮かんだ。ハニヤス……ハニヤスは、どこで何をしているのだろう。メヌエットは誰が、何のために盗んだのだ? あの保管庫を開けたのは誰だ? あの保管庫を開けられる者は限られている。レンの調査団は何かヒントを掴んだろうか? 私も調べられることになっていることを思い出した。が、おばば様が先だ。おばば様……何かあったか? 敵はゼフィロウで大胆な盗みができた。レンの調査団が入っているとはいえ、油断はできない。もし、ハルタン治安部からの画像解析の依頼があればそいつが動く可能性もある……チューブがゆったりとした動きでゼフィロウのポート、シェルに入る。私はシェルのポートからロータリーを抜け、待ち合わせのパーキングでエレンのエアカーに乗り込んだ。

「未確認の電波等はありませんわ」

 エレンは早速言った。

「ありがとう、エレン。運転手のまねごとなどさせて悪かった」

「いいえ、とんでもありません。それどころか、楽しみにしていたんです。それで、どちらへお送りすればよろしいでしょう?」

「まず、ちょっとこれを着替えたいんだ。城に寄ってくれないか。それから神殿へ頼む」

「わかりました。でも、せっかくの扮装ですもの、ここで万一のことがあると残念ですから、少し遠回りしますね」

 私がつけられていなかったことを確認しながら、エレンは高層ビルの立ち並ぶ中心街を一巡した。

「問題ありませんわね。ラビスミーナ様、そのお支度でうまく行ったようですわ」

「今のところは」

「まだ、続きますの?」

「そう、もうしばらくは」

「神殿とおっしゃいましたが、今度のラビスミーナ様の任務と関係があるのですか?」

「わからないんだ。ただ、神殿に来いとの連絡だけで。でも、どうせこっちではレンの調査団に会わなくてはならないから、ちょうどよかったのだ。そうだ、レンの調査は進んでいるか?」

「メヌエットが盗まれた時間帯に近づけた方たちのアリバイについては、ほぼスケジュール通りに進んでいます。滞りがちなのは主に科学技術部ですわ。認証を消す技術を知っていたのは誰か、そしてその技術でメヌエットを盗んだ、または犯人を助けた可能性があるのは誰か、ということで……パスキエ様やブロム技術開発部長などは連日レンの調査員と顔を合わせている状態でしょう。それに、エア様も……たとえご自分では保管庫に行かなくても、装置を考案することも、手に入れることもできると」

「なるほど。父上なら、もう持っているかもしれないしな」

「ご心配ではありませんの?」

「全く。父上は、のらりくらりと受け答えするのは得意だ。わずらわしいことは確かだろうが、ただで時間を無駄にするような人ではない」

「そうでしたわね」

 エレンはほっとしたように答えた。みんなそうだ。父上には甘くなるのだ。


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