3話
--時は遡り一年前
「はっはっはっ!よく来たな、勇者よ!」
王座に座った男がゆっくりと立ち上がる。
異様なオーラが男を包み、圧倒的存在感を前に、空気までもが歪む。
ゴクリ、と生唾を飲み、短剣を構え直す。
「どうした?圧倒的な力を前に恐怖したか?」
「いいや、こりゃ武者震いってやつだ。」
「フン、威勢だけは褒めてやろう」
ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべながらこちらに近付いてくる。
‥‥勝負は一瞬である。
「高身長!スレンダー!美人!」
「否ァ!低身長!巨乳!童顔!」
「くっ‥‥!貧乳!ツンデレ!幼馴染!」
「フン‥‥!巨乳!ヤンデレ!ストーカー!」
「ぐはっ‥‥!まだだ!照れ屋!家庭的!スケスケパンティ!」
「なっ、何ィ?!小悪魔!無防備!ブラコン!」
「くっ‥‥くっははははは!」
壮絶な戦いの最中、とうとう見つけた隙に、俺は笑いをこらえきれなかった。
「何がおかしい!世の兄達にはたまらん逸材だろう!」
魔王は、俺の態度が気に食わなかったのだろう、声を荒らげて批判する。
「くくくっ‥‥!残念だったな。俺は姉萌えなんだよォ!ロリコンがァ!」
「ぐはァ‥‥!なん‥‥だと‥‥?」
「弟が好きすぎて度が過ぎた姉がヤンデレへ変貌し、かつ毎日のように夜這いのチャンスを伺う‥‥もちろん風呂は毎日覗いている!」
「うわあああ!や、やめろォ!」
これで、最後だ‥‥魔王!
短剣を振り上げ、天を指す。
「ある日‥‥弟の自慰行為を見てしまい、嫉妬のあまり部屋に突入!包丁を突き刺そうとした刹那ァ!」
「やめろ‥‥やめてくれぇ!」
「オカズは姉萌えであった!」
「うわぁぁああああ!」
魔王は、討たれた。