チーズペインター
裕福で年老いた灯台守がいた。灯台守の彼は灯台の地下にチーズの熟成室を持っていた。彼は灯台の仕事をしながらチーズを食べるのが好きだった。満天の星空の元、大地の星の灯火を守りながら、流れ星は願いもかけずに見逃して、チーズをムシャムシャ食べる。彼には家族が居なかったが、寂しい夜も両手一杯のチーズがあれば満足だった。ある日、彼は熟成室のチーズを眺めて考え事をしていた。この素晴らしいチーズ達をもっと素晴らしくする何かを考えていた。ワイン?ありふれている。友人を呼ぶ?だが、最高のチーズを食べているときはいつも一人だった。最高の友人との時間はこの上ないが、チーズが脇役になってしまう。悩みに悩み、だが何も思いつかない。彼は気分転換に散歩を始めた。ささやかな悩みなんか気にしない緩やかな朝の風が、彼を追い越していく。彼が頭を抱えこみながら近所のパブに入った。パブの客はくまの深い青年が一人。青年は彼を一瞥すると、すぐにうとうとする作業に戻っていった。彼は物好きな性格だったので、青年の隣に腰掛ける。青年は少し驚いたようだが、彼を邪険にはしなかった。まどろみの中の幻影とでも思ったのか、青年は彼に自分語りを始めた。彼は黙って聞いていたが、彼の目は次第に見開かれ、子供みたいな顔で話に聞き入っていた。青年の話はかなり要約してこんな風だった。「自分は絵かきをやっています。まだ名も売れてない、しがない絵かき。どうしようもない作品ばかりを書いて、物好きな金持ちがたまに絵を買っていく。日銭も少ない。このパブを出たら行く宛も金もない。」その後、彼が旅した色々な国の話が続いた。彼は青年に食事と酒をいくつも奢り、話の先を促した。彼は眠りと覚醒の間を彷徨いながら、こう締めくくった。「俺は絵かきを辞めるつもりはない。なぜだかわかりますか?俺にはそれしかないからですよ。 」そしてやっと話すのを止めた。計二時間と少し。彼は感動に打ち震えていた。彼は思い出したのだ。そうだ。私は昔、絵かきになりたかったのだ、と。
彼は急いで灯台に戻ると、倉庫から最後に見たのは半世紀前の絵の具箱を取り出す。それを手に取りチーズの熟成室に向かった。確かに私には両親がいたし、灯台もあった。だからすぐに夢を諦めたのだ。現実に甘えて、一番大切な物を確かにあのとき失っていたのかもしれない。だが、今の私にはどれが一番か決められないくらいのいくつもの大切なものを手にしている。彼は丸いチーズの表面に絵の具を塗り始めた。チーズの表面はデコボコして書きにくかったが、そんなものは気にしなかった。彼はチーズの表面に毎日眺めている夜空を描いた。視界にいっぱい広がる濃い夕方を描いた。彼は想像が赴くままに書き続けた。
今日も夜空を眺めながら彼はチーズを食べていた。いつもと違うのは、チーズの全面に鮮やかで和やかなタッチの絵が付いている所だ。夜空を閉じ込めたみたいな色彩のチーズを口に運びながら、彼は微笑んでいた。
がやがや…がやがや…
皆さん!静粛に!静粛にお願いします。
えー、これより、あとがき会議を始めようと思います。
さて皆さん。お手元の用紙に目を通していただけますかな。読み上げますぞ。
「お恥ずかしながら文章の仕事を目指しています。先はまだまだまだ遠いですが、一生懸命1歩ずつ頑張りたいと思います。アドバイス等をどしどし下さると助かります。 コメントも一言貰えるだけでモチベーションが凄く上がるので、お暇であればお気軽にお願いします。 」
がやがや…がやがや…
ふむ、本性が見え隠れはしているものの、一見誠実そうな台詞を精一杯演出している…皆さんそう思っているのでしょう?だが、問題はこれからなのです!私の次の言葉をよくお聞きください!
ざわ…
こやつは!十日間も!この同じ台詞を!コピペし続けているのです!
ざわざわ…ざわざわ…
これには我々も我慢の限界です!さあ、皆さん!今こそ立ちあがるのです!我々で一斉蜂起して、このあとがきを素晴らしく改変するのです!今日こそ革命の日だ!我々の力を思い知らせるのだ!
オオオォォォ!!!
ドタドタドタドタ。
会議室にさっきまで彼らが読んでいた紙切れが残る。その最後にはこう記されていた…。
「毎日1話以上の投稿を目指していて、今日で11日目、今日2個目の投稿です。」