1/2
愛されたいと
7月9日 明朝
私は、昨晩見た夜の海の光景を思い出しながら
執筆中であった。
ジャンルなどを事細かに考えて執筆しているわけではない。
ただ、頭に焼きついた感覚からくる幻想的で美しいエピソードが私は書きたかった。
夜の海
とても静かで
優しい感覚。
その反面どこか不気味で海に落ちてしまったなら
生きて帰れないような、言葉では表しいにくいが
なにか不思議なものを感じてしまう。
夏の深夜にほかの客はいるわけでもなく
私一人でただひたすらたたんずんでいた。
「さよなら」
過去に付き合っていた人の最後のセリフだった。
「何か原因は?」
とも聞かず、私は
「はい」
と力なく返事をしたのを覚えている。
うすうす感ずいてはいたからさほど、
ショックをうけずに済んだ。
むしろ一人の時間を大切に出来るという
希望の方が大きく感じられた。
愛するという気持ちがいまいち私には到底理解
できなくっていた。
以前までは、愛するとは…という自分なりの答えが
あったのだが。