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危機
それから数日経っても、信長は現れない。
(「案ずるな必ずやおとめの所に向かう。」って言ってたのに・・・)
(会いたい・・・。)
流石に、こう何日も会っていないと不安になってくる。
(きっと、信長はやって来る______)
そうおとめは信じていたが・・・・
「何ですか・・・」
「おとめ、お主はわしの妻なんだぞ?」
「はあ・・・」
「少しぐらいわしに懐いても良いのではないのか?」
そういって、だんだん迫ってくる。
(ち、近い・・・)
後ずさりをしていたが壁に背中がついてしまった。
「わしはお主のことが気に入ったのじゃ。」
「はあ・・・。」
「わしのことを好きになって貰おうか?」
「いや・・・。」
逃げようにも、後ろは壁、前は義満、左と右は義満の手。
四方八方塞がれていて逃げられない。
おとめは、どうすればいいのかパニックに陥っていて何も出来ない。
義満はおとめの顎に手を添え、顔を近づける。
(嫌だ。 信長・・・・)
おとめは心の中で彼の名前を叫んだ。
「たす、けて・・・。」




