小谷城の戦い
「殿!! 浅井軍は小谷城に逃げた模様です。」
「そうか。」
「お市様も小谷城に引きこもっているようです。」
「下手に攻撃はできんな。」
「そうですね。」
「上手くできるの?」
「気にするな、奇天烈。 このわしが出来ぬことがあると思うか?」
「そうだね。」
「攻めるぞ!!」
「ははっ」
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「信長様! 秀吉殿が京極丸を落とした模様です。」
「でかした!」
「きょうごくまる・・・?」
「そうだ。 後は時の流れに任せればよい。」
「?」
「殿、浅井家の防衛は著しく低下しております!」
「そうか・・・」
信長の表情が辛そうだ。
「どうしたの?」
「もう、長政は会うことが出来ぬ存在になるだろうな・・・」
「うん。」
「あんなにも良き武士だったのに。」
「戦乱の世は何故こんなにも、残酷なのだろうか・・・」
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「織田家から、降伏の命令が来ましたが・・・長政殿、どういたしますか?」
「拒否する。」
「ですが、このままだと_____」
「これを受け入れて、織田家に従うなど恥だ・・・」
「承知いたしました。」
「市、茶々・初・江はここから逃げるのだ。」
「何故ですか? この子達を逃がすのは分かりますが何故私も・・・」
「・・・。」
「茶々・初・江、ここから外へ出なさい。」
「お母様・・・?」
「お行きなさい。」
「・・・。」
「・・・。」
2人の間に無音の空間が広がる。
「何故この市を一人にするのですか?」
「この戦に市を巻き込みたくない。」
「嫌でございまする。 市は長政様の妻です。 最期も一緒なのです。」
「わがままを言うでない。 逃げるのだ、市。」
「本当に短かったな。 しかし、そなたと夫婦となれて本当に良かった。」
「市も誠に楽しい日々でありました。」
「市はまだ未来がある。 だから、私の分も生きるのだ。」
「長政様・・・。」
「茶々・初・江をよろしく頼んだぞ。」
「はい・・・。」
「達者でな、市・・・。」
「はい、またいつか・・・。」
市は走って外へ向かった。
「行ったな。」
「長政様! こちら本丸にて、戦が行われております。」
「ああ。」
「しかし、もう兵力が・・・」
「もう、浅井家の歴史はここで終わりを告げるのか・・・」
「ではこの戦に終止符を・・・」
「長政様・・・。」
長政は刀を取り出した。
「これも運命。」
・浅井長政の自害により小谷城の戦いは終わった。