標的
「あの娘は一体何者だ?」
おとめを影から覗く黒い影。
「あやつを調べる価値はありそうだな・・・」
おとめは、これから先、この謎の人物によって大変なことに巻き込まれることは
知る由もなかった・・・
◇◇◇
「ふわああああ~、よく寝た。」
伸びをするおとめ。
今日はどんよりとした曇りだ。
「おとめ様、おはようございます。」
(え~っと、誰だっけ? 光秀さんか!)
「おはようございます。」
「今日、実はおとめ様にお願いがあって来たのです。」
「どうしたんですか?」
「無くし物を探しておりまして・・・」
「はあ、どんなやつですか?」
「書置きしておいた紙が風に飛ばされまして・・・」
「あ~そうなんですか!?」
「それで、おとめ様の部屋の方に飛んでいてしまいまして。」
「そういうことだったら、探しましょう!」
「ありがとうございます。」
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「無いですねえ・・・」
「そうですね。」
「じゃあ、私あっち探してきますね。」
===
「う~ん、無いなあ。」
「おい!奇天烈おとめ、どうしたのだ?」
「信長!! 何か光秀さんが書置きを無くしたとか言ってて。」
「ああ、それなら持っているぞ?」
「そうなの!?」
===
「光秀さあん!!」
おとめは勢い良く障子を開けた。
それに驚いたのか、光秀はぶるっと震えた。
「光秀、書置きは貰ったぞ!」
「真ですか?」
「ああ、読んだぞ?」
「ならば、良いのですが・・・」
「良かったですね。 光秀さん。」
「はい。では、私はこれで失礼。」
(光秀さん、何か変な歩き方・・・)
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「これはいい物が手に入ったな・・・」
光秀は懐の中にあの本を入れたのであった。