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兆候

朝食後。バレンツとカルートたち討伐組は探索組と船員たちをニョルズに残し、セキュワ・大島港に向けて舳先を向けた巡航船に乗り込んでいた。すでにニョルズはディアノーグとの間につながれていた曳航索を船員によって回収され、今後は探索組の拠点として活躍することになる。すでにセキュワに数多く存在する旅亭や宿屋はすべて行き場のない水夫たちに占領され、大部屋の刑務所のように知らない者同士でルームシェアするほど部屋数に困っていた。探索組についてはそういったこともあってニョルズの船番も受け持っている。討伐組も同じだが、水軍と交流するために陣地に滞在し続けて部屋不足を回避する予定だ。

セキュワの港はすべからく船で満杯だが、巡航船専用の乗り場は確保されていたのでその点は心配ない。巡航船は砂州と大島を行き来するためのものだったが、蜥蜴人リザードマンがうろつくようになってから利用者が減っていた――というより船主が嫌がって休業状態だった。冒険者が乗り込むからと、渋々船を出したのだ。

「あれ?まぁた軍艦がいるな、両岸においてんのか」

暇そうにしていたペテロが窓に肘をついて言った。ペテロの目にはやたらと旗を風になびかせている船に目がいっていた。

「本当ね。あっちにあの白兵隊さんが乗り込んでるのかしら?」

隣でルーシィが手で日除けを作りながら答える。同じように、暇そうにして軍艦を見つめていた。巡航船といってもエンジンなんて付いていないただの木造船なので、屋形船の両舷に漕ぎ手衆が、部屋の中に討伐組が乗り込んですし詰め状態だった。誰もが退屈して会話も消えかかっていた。

「違うぞルーシィ。白兵隊はみんな陣地いて、船に残ってんのは普通の水軍だ」

バレンツが会話に入ってルーシィに答えた。バレンツは暑苦しい部屋から風を求めるように首を出して窓を見つめていた。他のメンバーは、早朝からの仕事で目を閉じていたり寝息を立てていたりして、いつの間にか静かになっていたことにルーシィは気付いた。

「そうなの?」

「ああ、迎えに白兵隊の指揮官が来てくれる。護衛とかと一緒にな。その時に補充物資を持っていくらしい」

「俺らに体よく護衛させようってのな」

「そういうなよペテロ。別に減るもんでもあるまいし」

バレンツがなだめるように言った。その間も目がしばたたいていた。二酸化炭素がたまりすぎてる。皆の眠りがいいのもそのせいだわ、とルーシィは思った。その後バレンツの視線は窓の外をふらふらとさまよっていたが、やがてうんざりしたように目を強く閉じ、たずねた。

「ていうかお前ら、どうやって水軍の船ってわかった?見つからないんだが」

「はぁ?」

「沖合に泊まってる船よ」

「沖合のどの船だ?」

「なんでそんな……ほら、あの旗をあげてるやつよ」

言いながらルーシィは艦の方向をバレンツに指さしてやった。バレンツの目はルーシィの人差し指の延長線上をたどっていってようやく発見した。どうやらこちらに背を向けている形で、艦尾の甲板には砲座が一つもなかった。

「ああ、あれか!港の中央を見てたよ。大砲、そうか外してると言ってたな」

そういってバレンツは見づらそうに進行方向の先にある軍船を見やった。窓に頬を一体化させるように見つめていた。

「おいぃ……頼むぜ?」

「悪かったって」

「大砲……?」

なに、今の……?ルーシィが目を凝らしているとそのうち様子が険しくなっていった。

「どうしたよ?」

様子を見かねてペテロが聞いた。ルーシィは視線を動かさず、目を凝らしていた。視線は船の後部から前方へ。そもそも、その船を見つけられたのは港の隅で中央に舳先を向けた、今にも出発しそうな船に目がいったからで、後ろはがら空きになっているけど……。

「アレって、どうなの?」

「ハァ?」

前部についてある三門の砲はそのままだ。

「全部港の船に狙いをつけてるみたい……」

その言葉に、部屋の寝ぼけ眼から眠気が吹き飛んだ。話が進むうちに港へ随分近づこうとしていた。乗り場も近い。はやる気持ちからか、怒鳴り声とともに漕ぎ手衆がスパートをかけ始めた。

「艦載砲を交易船に向けてるな……」

バレンツが余韻を残しながらつぶやいた。討伐組全員が周りで話を聞いていた。

「やっぱり……」

「大砲には人がついているし。……いつでも発射できるようにしてるのか?」

「まあさすがにちゃんと角度をとってはいないみたいだがな!それによ、弾も込めっぱなしって訳にはいかないだろ?」

カルートが励ますように軍船の様子を伝えた。大砲は水平に交易船の塊に向けられて、砲弾を吐かなくともさぞ大量のプレッシャーを放っているだろうと感じた。

「でもよ、なんだってあんなことしてんだよ?だってあれは蜥蜴人リザードマン対策って言うんじゃないだろ?」

ペテロが素直に疑問を呈した。シンプルな疑問だが、部屋にいるメンバーは考え込んでまた静かになってしまった。ペテロも、答えが返ってこないので口をつぐんでいる。ルーシィは気まずくなってきて窓の外に視線を合わせた。セキュワ・大島港の隅に設けられた古い桟橋には一隻分の空きがあった。奥に控えた小屋――客用の待合室を兼ねたそこの扉が開いて何人か出てきたのが見える。巡航船の係員らしき大地人が向かってくるが、あとの五人ほどは横並びになって待機している。

その様子を見てバレンツが口を開いた。

「ちょうどいいな。よしお前たち、全員降りる用意だ!質問のある奴は考えておくんだぞ!」

「なんだってんだよバレンツ!?質問?」

ペテロが腰を浮かせて上半身をひねってバレンツを見返した。窓に手をついて、もう片方の手が宙ぶらりんになっている。

「そうだ、律儀に迎えに来てくれたらしい」

「それじゃあ、あの人たちが……?」

「そうみたいだぜ、ルーシィ。あいつらが白兵隊の連中だ」



「ようこそおいでくださいました冒険者がた!自分はセヴァスト大尉、白兵隊の指揮官であります!みなさんをお迎えに上がりました」

真ん中で一番格の高そうな大地人がそうバレンツたちを出迎えた。隣で控えた部下の兵士たちの顔は様々だ。無表情で冒険者にかけらも興味がありません、といった演技をしているやつ、いくらか説明されているのかいないのか、疑わし気に視線を送るやつ。ひとまずそういったのを無視して、バレンツはセヴァスト大尉をみた。彼のウィンドウが出てくる。セヴァスト大尉。レベル……35?大地人にはかなりの高レベル。"部隊指揮官"のサブ職業がついてある。

「これはご苦労様です、セヴァスト……大尉。しかしここではなんですし、良ければ場所を移したいと思いますが?」

セヴァスト大尉は微笑んで、もちろんです、といった。桟橋は後から後から降りてくるカルート班員で渋滞を起こしていた。セヴァストは手をサッと振り上げて何か合図を出した。すると彼らのうち二人が港の別の場所へ向かい、二人が奥の冒険者へ声を上げて誘導を始めた。声を出す兵士には臆したところが声に表れていなかった。セヴァストはバレンツに、ではこちらですと声掛け、彼の前を行き始めた。バレンツもそのあとを追ったが、すぐにペテロたちが走って追いついてきた。

「なあおいバレンツ、見たか?」

あいつらのステータス、と言外に臭わせてペテロが話しかけた。すでに左腰にメイスを差し、腕にシルエットを隠すほどのカイトシールドを装着した重装甲施療神官アーマークレリックの典型のような格好に変わっていた。

「レベルはそこまで悪くねぇ。ディアノーグに襲い掛かっていた蜥蜴人リザードマンから考えっと、30レベル台前半らしいしな。だが……」

そこまで言うとまたセヴァスト達を見た。本当のところは彼らのステータスウィンドウ、そのHPバーと状態異常アイコン。バレンツがうなずきを返した。

「ああ、あいつら最大HPがやけに低い。見たことない状態異常にかかっているし」

「お前も知らねぇの?ああ……ルーシィは?」

話を振られたルーシィは何も言わず首を振った。カルートはようやく自分の班員とこっちに向かってきた。

「なんだ、お前ら?どうかしたのか」

大剣とは違って細身の長い刀身を持つ両手直剣を背負い、カルートは聞いてきた。ただ、疑問に答えるにはセヴァストの水兵が近かった。バレンツは少し迷ったが、結局くるりと身を翻して言った。

「いや……カル、そうたいしたことじゃない。とりあえず急げ、待たせてるぞ」

そういうと砂を踏み鳴らして進んでいってしまった。かたまって進む間にルーシィがバレンツの代わりに耳打ちして納得させた。

出迎えの儀式はシンプルに簡潔に進められた。お互いにあいさつを交わし、自己紹介をした。大地人の指揮官は潮風に吹かれる中で街の門のあたりで荷車を待たせていると説明し、一行は会話もそこそこに門へ向かった。門とはいっても、木の柵とかがり火を組み合わせただけの間に合わせでしかなかった。

「冒険者がたには非常に感謝しております。聞けば、貿易船に販売の口利きをしてくださったとか」

セヴァストは感に堪えたようだった。荷車にはディアノーグで見た荷箱が大量に積まれ、布と縄でくくられていた。荷車の番をしていた兵士は言葉の通じない旅行先から帰ってきたように安心していた。冒険者のほうが落ち着かなくてそわそわとしているくらいだ。通りの住民はみんな水軍をにらむように見つめ、積荷の小山を歯を食いしばって見送ろうとしていた。バレンツはこらえきれなかった。

「正直なところをうかがいたいのですが。水軍は住民とどのような関係なのでしょう?」

「……住民には、困難を課しているのです。負担に見合った成果を上げられているとは言えないが、それでも協力関係を――」

「住民と協力?船に大砲を向けているのにっ!?」

「おい、ルーシィ……」

カルートがさすがに制した。白兵は冒険者と通りを交互に見てピリピリとしているし、住民は今にも野次を飛ばして話に参加してやろうと隙をうかがっているように見えた。セヴァストはしらを切るかどうか迷っていた。というより、説明するかしないか迷ってるみたいだった。

「ルーシィの言う通りだ。そのあたりをはっきり説明してもらわないと、協力しきれない」

「……」

「さあ。このままではこちらで解決してしまうぞ」

バレンツはとどめの一撃をさした。それでようやく踏ん切りがついたようだ。

「……わかりました。ですが、ここでは話せません。……先を行きながら話しましょう」

バレンツはうなずいた。全員に振り返って促す。まもなく一行は緩やかに進み始めた。


道はただの踏み固められた土だった。横には木々や山肌が遮り、人気はなかった。このあたりにもモンスターは出現するはずだが、まだ一度も遭遇していない。霊柩車の車列のように暗い雰囲気の一行の沈黙を破ったのはセヴァストだった。話の途中でタイムスリップしてきたかのように、続けて話をした。

「おっしゃる通り、住民との関係はいっそ破綻状態にあるといってもいい」

「なんでそんなことに?」

まあ言わせなくても推測できそうではあるが、張本人から聞けば余計に何か教えてくれるかも、だからなと心の中でつぶやいた。

大尉は痛い所を突かれて日頃のストレスが抑えきれないのか、客人用に使う言葉遣いが剥げかかっていた。同僚の悪事を密告する気分だからまだ話をする気が残っているのかもしれない。

「根本的には我々が問題を――蜥蜴人リザードマンに太刀打ちできないのが原因なのだ。加えて街から糧食や薪を軍税として徴収したり、兵が酒場で荒れたりして反発を買い続け、今に至っている」

「大砲を向けるっていうのは、そういうことなんですか?力技で街から搾り取るために」

「本当なら全ての艦砲をフネから取り外したいのだ」

セヴァストは強い調子で言い返した。独り言の性格が強い一言だったが。

「だが出来ない。もうすでに住民は我々の指示は聞かない。毎晩の灯火作業は街の方で自主的に進めているし、何日も前から食糧は自給せざるを得ない。あの砲は暴動を起こされても連中を追い払えるように残しているのだ」

「そんな……」

ルーシィがもどかし気に唸った。バレンツも同じような思いだった。だからあんな妙な状態異常ができたのか?バレンツは話題を変えようと決めた。

「隊の構成はどうですか?ソーサラーとか」

「はは……冒険者がたと同じような職業の者はおりませんよ。"術兵士"の者、"重装歩兵"の者が数名と艦からやってきたネイヴァル砲員と、生き残りの白兵隊で……今は60人といったところですか」

「ヤルタ艦長から話を聞かせてもらいました。大砲で陣をつくって、そこで持ちこたえていると」

セヴァストは思わず苦笑した。皮肉っぽく言い返した。

「持ちこたえているとは、何事も言い方だが、まあ間違ってはいない。実は最近は西の方へは行ってないのだ」

「どういうことです?」

「街から物が手に入らないのでね、部下には狩りや釣りをさせて食糧集めをさせていることがほとんどだ。だが、いつ襲われるか知れたものではないから効率は悪い。訓練もさせるが、食事を切り詰めているからそれも形ばかりのものになりつつある……ああ、見えてきた。あれがそうだ」

討伐組は一斉に顔を見上げた。道の先、まだまだ距離があるがそれでも見える。木が伐採された跡に即席のキャンプ場が出現し、柵と掘りの二重で囲まれたそこには見張りが立って通行止めをしていた。ここからは見えないが、もっと道の西側にはきっと言われていた大砲の陣地が置いてあるのだろう。

「おお……なんかすごいな」

カルートが月並みに感想を言った。

「ありがとう冒険者どの。今日はいい知らせができる」

「だが悪い知らせもできる」

そう水を差したバレンツをじろりとセヴァストの瞳が捉えた。

「どういうことですかな」

バレンツは誤解を打ち消すように笑って手を振った。

蜥蜴人リザードマンを倒すのは水軍の仕事になるからですよ。自分たち流の訓練メニューでしごかれるのですから。覚悟してください」



ニョルズからバレンツたちと別れた後、氷雨たちもセキュワに上陸していた。セキュワには具体的に三つの港があって、砂州の両側と対岸の島の三つ。もちろん大きいのは地形に守られたふたつの港湾だ。だからこんな非常時でなくとも水夫を目当てにした店屋が港近くに待ち構えており、あまつさえこの非常時となっては行き場のない水夫たちが港にたまって混雑していた。

「氷雨ぇ!こっちだよ!」

シルキィが飛び跳ねてアピールしていた。周りには自身の班員も集まっている。小柄なアバターの氷雨にはなかなか苦しい限りだ。それは二之丸も一緒だけれど。

「シル?……どうしてるの、ムルムル?」

「そうっス。大地人って意外と背が高いっていうんスか、さっぱり見えないっス」

「はいはいもういいから。二人とも僕からはぐれないでね」

そういうとムルムルは手首を引っ掴んでずるずると肩で人の波に斬りこんでいった。なんでこんなに混むのかと思っていたが、よく見ると観光スポットになったのかニョルズが見えるようにと立ち止まったりする日焼けした大男がやたら多いこと。

「うぅ、人に酔いそうっス」

「そう、二之丸。いっそ吐いてくれたら、人混みも散るんじゃないかと」

「僕がやらせないからそんなこと。ていうかシルキィ!見てないでこっちに来てくれよ!」

クスクスと笑うシルキィに気付いてムルムルが声を上げた。彼女らが仕方なさそうに三人の方へ来ると、自然と間から人が離れていった。待っている間にシルキィたちのことが自然に伝わっていたようだ。

「いや悪かったよ、怒んないでくれ」

「別に怒ってはないけど……」

「それより、船長たちは戻ってきた?」

ムルムルに手首を掴まれたままで氷雨がたずねた。シルキィはきれいに指で音を鳴らして答えた。

「おお、そうだった。戻ってきているよ。話をしたそうだったけど、今は船で待ってもらっている」

あの傾斜路を上がればいい、といってシルキィは船から降ろされている仕掛け橋を指さした。本当は場所がないんだが、ディアノーグは積荷があるからひいきしてもらってるらしい、と教えた。

「他のメンバーは、どうしたの?」

「ん?ああ、あいつらは街を散策させてるよ。その内戻ってくるさ」

四人は船首楼の壁にかけられた扉をノックした。内側から返事が返る。

部屋は可能な限りの広さを維持していた。できるだけ良い家具が置かれ、壁には神棚がかかってあった。その中で船長は落ち着かなげにしていた。間違って備品を壊したのを言い出せない小学生のように背中を背もたれにつけなかった。それは船長のような人種には珍しい心がけだった。

「いやはや皆さん。お会いできましたね」

それにはムルムルが答えた。

「船長さん。僕たちに何か御用ですか?」

「御用とは大層なものではありませんがねぇ。いや、冒険者がたにはお世話になったことですから、ある人がお礼を言いたいとおっしゃりまして」

「ある人って……」

「私はこう見えてウェストランデ廻船の者なんですがね、知ってます、ウェストランデ廻船」

「ええ、いやぁ……」

「ああ、そうですか。いやとにかくセキュワでの仕事をまとめているデボンさんがですね、いくつか確認したいことがあるって言うんですよ」

「どういうことなんだい、船長?」

いくらか冷気を吹き込んでシルキィが訊ねた。ニョルズ附きの冒険者の中で一番の暗殺者アサシンに言われるとなかなか寒気が走った。パワータイプの必殺を求めるカルートと違って、即死効果を狙ってキルポイントを精確に切り裂くのだから当然のプレッシャーだとは思う。

「ああ、いいいえいえ、怖い顔なさらずにぃ。いや、冒険者がたとお付き合い重ねるのは悪いことではありませんからねっ。せっかくの縁でもありますし!どうでしょう?」

船長は早口でまくしたてた。圧力に緊張しているというより、暗唱していたセリフを忘れないように吐き出した感じだ。横を見てみると、ムルムルが心配そうに見ていた。シルキィが過敏に反応しているとおろおろしていた。氷雨はムルムルの脇を肘でつつき、振り向いた顔にうなずいた。

「もちろん、うかがわせていただきますよ」

「本当に!それは良かった。では、このことを伝えてきますので、ええ、みなさんは、そう、明日!明日にもう一度お伝えします。自分はこれから行くところがありますのでね!」

船長は四人の驚き顔に目もくれず荷物を取り出し、押しのけるようにして部屋を出ていった。呆気にとられ、ムルムルはシルキィに思いついた文句を言うのも忘れていた。

「今の、どう思う?」

シルキィとムルムルが顔を見合わせた。二之丸が思いついたように口にする。

「怪しいっスねぇ」

「いよいよ本番といった感じがするな!」

「じゃあ……始める?」

ムルムルが氷雨のほうに疑問を飛ばした。氷雨はこくっとうなずく。

「もちろん。……尾けよう」

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