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到着

沖合でのリザードマンたちの襲撃を下し、傷ついた水夫たちを乗せたディアノーグ号の手を取りながらニョルズ号とバレンツたちはセキュワへ――市街エリアへと巨大な外輪を回していた。もうすっかり夜の帳に包まれていたが、その港だけはそれをはじき返すように煌々と灯されていた。灯台の用にしているにしては、大地人らしくない、現代的な都市の明るさに近かった。ほぼすべての船がかがり火を焚き、あちこちでキャンプファイヤーのように薪を組んで暗闇を塗りつぶそうと努力していた。大地人たちはどういうわけか港を炎の明かりで囲い込もうとしていた。

「ハハハッなんだあれ、祭りかなんかかな?」

「そんなわけないでしょう?でもなんですかね。……魔除けかしら?」

ルーシィはペテロの言葉の節々に漏れ出すバカにしたような感じをたしなめるだけにとどめた。確かに、バレンツでさえ今度のクエストの話がなければイベントの類だろうと思ったろう。それくらい異様な光景といってよかった。ゲーム時代ならともかく、一応は現実のように物質的制約があるのだからこれだけの薪の負担はさぞ重かろうとは見当がついた。

ディアノーグ号を引っ張りながら陸繋島と島の間の海峡を通って湾の中へと――光の内側へと入場した。同時に、ウィンドウをにらんでいたらしき氷雨が静かに声をあげた。

「……皆!安全圏に入ったみたい。モンスター不可侵……」

その声を合図に、指揮班のメンバーが一斉にウィンドウを呼び出し、市街情報に目を通した。一番早く、二之丸が声をあげた。

「クエストの影響下にあるみたいっスね。“波濤の侵入者”」

二之丸がクエスト名を読み上げた。バレンツが合点がいったというふうに顔を上げた。

「さっきの蜥蜴人リザードマンか。フォーランドから住処を移したらしい蜥蜴人リザードマンの群れ」

「僕たちが蜥蜴人リザードマンから街を守るクエストなのかな?」

「いや、そうじゃない……この様子を見て。街は、とりあえずは、しっかり守られているみたい」

氷雨は顔をあちこちへ向けるより、目を動かし横目を使ってあたりを見回した。栄えている、というよりわらわらと港に押し込まれるような感じで港に押し込まれた船が見えた。損壊や欠落のある船舶がそのままの状態で浮いている。岸壁にすべての船が横付けできないので、相当数の大型船が少し距離をおいた沖合に腰を落ち着けている。それが砂州と大島の港の両方で繰り広げられている。そして、両方の港に一隻ずつ、いささか趣の異なる船が停泊していた――自分たち以外のものをにらみつけるように。

「でも、あの軍艦。さっきの襲撃に動かなかった」

「本当に手も足も出ないってのか。司令の話は本当なんだな」

「んじゃあ、オレらが蜥蜴人リザードマンを倒す……じゃねぇか。水軍に、倒させる、だったな」

「そうだ」

「そういえば……水軍の訓練って。誰に任せるんです?」

「ん?」

「私たちは侯爵からの要件もこなさなければですし」

バレンツはさも今気づいたと言わんばかりの態度をとった。気を当てられたようにハッと口を開け、頭をのけぞらせたのだ。次の時には逆に前に乗り出すように体へ力を入れ、声帯に空気を送り込んだ。ルーシィは自分が絶好のタイミングで会心の合いの手を打ったと気付いて口角筋が緩んだ。

「そう!言うのを忘れていたんだけどな、実はもう決めてあるんだ」

そういって今一度バレンツは指揮班を見回した。氷雨、ムルムル、二之丸、ペテロ、ルーシィ。全員しっかり注意を向けている。

「本当にどうなるかは連中次第だが――俺らは討伐組と探索組にパーティを分ける。俺がカルートの班を連れて討伐組。氷雨が探索組だ」

全員、特に異論を差し挟まなかった。ムルムルが片手を挙げて気楽に尋ねた。

「指揮班はどう分けるのかな?」

「お前と二之丸が氷雨についていく。残りは俺だ」

ムルムルが優しげに微笑んだ。

「ということは、また僕が前に出てればいいのかな?」

「……そう。交渉事は、よろしくお願い」

そういって氷雨は小柄な体をペコっと下げた。よそでは意外そうにされるが、ゲーム時代からバレンツたちはこうしてやってきた。最初に号令を出すのはバレンツ。それがだめならムルムル、その次はペテロ。でも実際に考えるのはいつも氷雨。アドバイザーとして、パーティの知恵袋となっているのだ。

「それで。私は、シルキィたちと連絡を取りたい訳だけど……」

そこで氷雨は首を後ろにかしげて視線を送った。その先には大縄につながれたディアノーグ号。あまり表情に表れないが、彼らは氷雨が困惑していることに気付いた。

「あの人たちはどうすべきだろう?」

もちろん、水夫たちのことだ。無論バレンツたちにだってどうすべきかはさっぱりだ。ひたすら討伐と探索に気を揉んでいたのから当然ではある。

「降りる次いでに一緒に陸へ運んであげればいいんじゃないッスかね」

「こんな状況だしなぁ。あの積荷、見といてやるとかもいいんじゃねえか?」

二之丸とペテロが真っ先に言いだした。氷雨の視線が空中に漂い始めた。バレンツが慌てて口を挟んだ。

「まあまあ待て待て。ともかく、やるのは水軍と話をしてからだ。それまでは勝手に上陸禁止。カルとシルにも言っといてくれよ」

異口同音にペテロとルーシィが答えた。これで秘密会議は終了だ、とバレンツは冗談っぽく心の中でつぶやいた。先の二人が念話を起動しているのが見えた。氷雨たちは街を探る相談を三人で行い始めた。バレンツは知らず知らずにこの状況にうなずきを返した。そしてくるりと身を翻すとその場を離れていった。


ニョルズとディアノーグはセキュワ市街の方へと近づいていった。セキュワはキシュウ地方の南端から飛び出している餌玉を取りつけられた釣り針のような陸繋島と、針の先にあるほぼ同じ大きさを持った横長の島に守られた中にある。とはいえ、実際のセキュワの町並みはほとんど釣り針の胴の部分、砂州になった場所にしかない。向かいに見えるセキュワ大島の港には多くの船舶が帆をたたんでひしめいていた。

セキュワ大島の方は交易の最中に風やモンスターを避けるために立ち寄る寄港地の側面が強く、立ち寄る水夫たちをもてなす旅亭やらが多い。が、島は自然が多く、海岸線のほとんどは崖なので、たいていの住民は砂州の方に住み着いている。冒険者であるバレンツたちが利用するのももっぱら中心市街の広がる砂州のほう、ヤマト本土と一体になっている方だ。

セキュワは山と森と川で埋め尽くされたキシュウ地方の僻地にある街にしては、村落漁村というより小都市といった町並みを持っていた。これもすべてイースタルとウェストランデを行き交う交易船の重要な中継地であるおかげだ。

バレンツはふっとあたりに視線を巡らせた。ニョルズの甲板から見渡すすべてで玉ボケになったかがり火が見てとれる。カルートやシルキィへの連絡はすでに終わり、静かな雰囲気が二隻を取り巻いていた。船はセキュワ港側に寄った沖合に停止していた。セキュワに停泊しているのは足止めを食らった商船は数多い。軍用帆船――大砲を積み込んだ帆船、水軍の船もまたそこにいた。大砲を乗せ、旗を掲げていれば嫌でもわかるというもの。彼らはニョルズの接近を認めると手旗信号を使って交信してきた。乗り込んだ冒険者の中に手旗信号が分かる奴なんていない。そもそも手旗すら持っていない。そういった時にも"船員"たちの出番だった。翻訳いわく、

――水軍はニョルズ号一同の無事到着を祝し、見事な実力に感動している、と言っとります

――じゃあ、賛辞の言葉に礼を伝えてくれ

――了解で……きました。なに、向こうは来艦するのは明朝か今夜か、どちらがいいかたずねとります

――さっそくそちらを訪問したいと伝えて

――送りましたわ。ええ。貴信了解、いつでもどうぞ、ですと

――よし、これから来艦する。カル!ボートを下ろしてくれ!

ようやくニョルズは腰を落ち着けることを決心した。碇が金属らしい摩擦音を響かせながら海底に向かって垂れ流され、アンカーの爪が砂を掴んだ。続けてウィンチが積み込んでおいたボートを海面に降ろしていた。指揮班の六人は舷側に集まっていた。カルート班員がボートや縄梯子を調整するのを見ながら、バレンツは自分の班の服装をチェックした。今の6人はレソト司令を迎えた時と同じギルド制服。何といっても今回は初めて彼らを訪れるのだし、これから戦いをするわけでもない。バレンツはペテロとルーシィから、船に留まる2パーティについて報告を受けた。カルートは見送りついでに報告の捕捉もした。カルートたちは翌朝バレンツたちを迎えるまで船の番をする予定だった。シルキィたちは水夫たちと夕食の最中だという。なんでも、船長とその会計係の強い要望だという。彼女らも一晩は寝ずに見張りを続けるはずだ。地面を踏みしめるのは太陽を拝んでから、というわけだ。

「よーし、順番に降りてくれよな!揺れるから気を付けろぉ」

「うぉっとあぶねぇ……。これ俺らが漕ぐってのかぁ?」

「わがまま言うなよな、ペテロ。……カル、少し長くなると思うぜ」

いったん言葉を区切り、軍用帆船の方を見やった。そのままの視線で続ける。

「夜中になっても起きててくれよ」

「現代っ子は夜も元気だ。お前こそ話が長いからって居眠りとかするなよ」

「こっちのセリフだ、突っ立ったまま寝られるとこっちが迷惑するんだからな!」

「バレンツ!あなたで最後。早く来て」

「わかった!……それじゃあな」

「ああ、行ってこい!」



指揮班の6人は難所に遭遇した。ボート漕ぎだ。パワーはもちろんある。が、職業によってそのパワーにばらつきが発生していた。精一杯タイミングを合わせてオールを漕いでも大きな波がその場でできるだけだった。何名か落水者が発生し、サラマンダーの助けを借りた。しかし慣れないながらもそこは冒険者。何度目かの挑戦で前に進むようになると、どんどんオールを漕いで行った。下手な動力付き艦載艇よりも早かっただろう。あっという間に軍用帆船までたどり着き――横付けするまでにやたらと時間がかかったが――縄梯子へと飛びついた。甲板へと上がった彼らは整列し剣を構えた水兵たちに出迎えられ、今となっては懐かしく感じる、あのエルダーテイルのオープニングの吹奏に出迎えられた。水兵たちは初めて本物の冒険者を見たとあって浮足だっていた。ちらちらと向けられる視線、小声で交わされる私語、そわそわと動かされる体。彼らを統率する士官たちもそうだった。最初は気にも留めていなかった。だが――

「本艦への来訪を心より歓迎する、冒険者がた。私は艦長を務めているヤルタだ」

艦長室に通された彼らを待ち受けていたのは大柄な大地人だった。だが、やたらとくたびれてもいる。もともと艦長職の割に年齢が言っているようだが、加齢によるものだけでなく、長期間の任務による肉体的疲労と何らかの原因による心労でやつれてもいるようだ。ただ、バレンツが見る限りたとえこの人物が健全な状態であったとしても十分な活力があるようには見えなかった。

「ヤルタ艦長、自分はバレンツです。今回はここにいる冒険者の代表をしています」

ヤルタは頭が重力にひかれるがままにしてうなずいた。彼はどういうわけか妙に軍装が薄汚かった。貧乏くじを引かされたという不満がにじみ出ているようだった。実際にそうなんだろうと、バレンツは思った。

「うむ、バレンツ殿。君たちが来てくれて非常に心強い。なにせ、彼奴らは水兵たちでは歯が立たん。大砲ぐらいを持ってこなければな。そいつも当てるのはなかなか骨だ」

ペテロが後ろで鼻から息を吐いたのが分かった。十分に自制していなければきっとあざ笑うかのような音が聞こえたろう。実際、大砲をモンスターに命中させるなんて、シューティングゲームでもあるまいし不可能にほど近いのだ。バレンツは励ますようにうなずくといった。

「我々が来たからには大丈夫でしょう。時間はそれ相応にかかりますが、きっと解決できます」

その言葉にヤルタはにんまりと笑顔を浮かべた。まるで純朴な少年のようだ。意外と人好きのする性格かもしれない。

「そうか、そうか。いや良かった。ではさっそくとりかかってもらえるのですかな?ああ、いやいや、今日はもう夜遅いから明日からということになろうが」

「ええ、もちろん。今夜は艦長から話を聞いておこうと思いまして」

聞き入るように大きく二度うなずいた。くるりと身を返し、特に意味もなく言葉を口から垂れ流す間に、従卒に椅子をバレンツたちに用意させる命令を発した。彼は執務机に回り込むと、特に人目を気にすることもなく椅子に向かってヒップドロップを食らわせた。昔筋肉を全身にまとっていた者が年齢とともに余分な肉も身につけていったので、今のはなかなか強力な一撃となるはずだった。誰も答えることのない悲鳴を耳にした従卒が艦長からわからないように嫌な顔をしていた。そんなこととは露知らずにヤルタは話し始めた。

「我々は五月革命後しばらくしてからここへとやってきた。最初は二隻で計400人ほど引き連れていたのだがね。君らのように、襲われる船に斬り込みを仕掛けたが――返り討ちを食らった。白兵隊は大打撃を受けた。その後しばらくして、あの忌々しいトカゲどもがセキュワ大島の東側をねぐらにしていることはわかったのだが」

途方に暮れたように息を鼻から吐いた。

「そこまでだ。偵察隊を出そうかとも思ったのだが、白兵隊が譲らなかった。結果、斥候で探ることになった。だが、戻ってこなかった」

ヤルタが口を閉じた。そうしてみると自分たちが話に聞き入っていたのがよくわかった。誰も音をたてない。

「それで、白兵隊の連中と随分話し合って――軍艦から何台か大砲を取り外して持っていかせた」

「……なぜですか?」

「陣地をつくるためさ。斥候に出たのは最後に残っていた熟練兵だったんだ。まだ古参兵はいるが、むやみに送りだせん。今では島に一本ある道路の中央に陣取って時たまやってくる蜥蜴どもを追い払っている」

そう言い終わるとバレンツたちに視線が衝突した。きまり悪げに目をそらし、机の上を見渡した。手も一緒に動いた。そのうちに指が書類に引っかかり、くしゃりと音をたてた。

「とはいえだ、詳しい話は私ではなく、白兵隊に聞くのがよろしかろう。白兵隊の隊長はセヴァストという。今は陸に上がっていないが、セキュワ大島だ、明日になれば話もできる」

ヤルタは背中を椅子にゆだねた。過重負荷にミシミシと音をたてた。そのうち根元から粉々に砕け散るだろう。その前に彼の尻が台座を突き破るか脚が折れるのが先かは定かではない。

彼はしゃべらなかった。バレンツは後ろで誰かが身じろぎするのを背中で感じた。もしかしたら自分の話はこれで終わりだということかもしれない。帰り支度を宣言される前に、ムルムルが声を上げた。

「艦長!僕から、ひとつよろしいでしょうか」

眉間に谷ができた。じとっとした目でバレンツを見つめてきた。いかにも不満そうだ。部下が上官同士の会話に口を挟んできたと思ったのかもしれない。

「自分は彼の上司ではありませんから。自分たちは対等です。各人がそれぞれに役割を持っています」

とりあえずこうでも言っていれば大丈夫だろう。思った通り、ヤルタは不承不承といったふうに不満をひっこめた。ムルムルが続けた。

「この街の様子を船から見ましたが――あれは何なんでしょう?港中に焚いてあるかがり火のことです」

「ああ、あれのことかね。あれも偶然からだ。陸に上がった部隊から、火を焚いていると敵が寄ってこないという噂があった。一度港に蜥蜴人リザードマンが現れた時も、松明を持った男が近づくと距離をとった。おびえているようなのだ」

「それであの明かりを?」

「そういえばレソト司令の話では奴らはフォーランドの噴火の影響で逃げ出してきたと……」

「おお、レソト司令にか……!んん、ともかく、火を焚いているのはそういうことだ。港に街の出入り口、手薄な場所にも明かりを焚くようにさせている。これでいいかね」

ムルムルは言葉に詰まった。おそらくまだ聞きたいことがあるのだろうが、雰囲気に押されて聞き出せないでいる。そうこうするうちに、氷雨が手をあげた。ヤルタが挙手を目で認めた。

「ここにいる水夫たち――あの人たちは、どうしているのでしょうか」

「水夫か?まあ、君たちが気になるのはわからんでもないが、そういうことは街の者に任せている。そういうのが、どうしても聞きたければ、街の連中に聞けばいい」

ヤルタは最後はほとんど吐き捨てるように言った。その印象からはあまり似つかわしくなかった。

「ディアノーグが、積み込んでいる積荷も、街の人に任せていいんでしょうか?」

その言葉に触発されてヤルタの目玉がぎょろりと氷雨を見据えた。そのまま叫びだしそうな勢いだった。

「どういう意味だね」

「ディアノーグには、私たちの仲間が乗り込んでいます。言っていただければ、いくらか、融通できます」

氷雨の声はいつでも同じような声に聞こえる。周りがどれだけ騒がしくても、静まり返っていても、苛立っていようと。いつも耳に打ち込まれるように声が届く。

ヤルタの口からカ行のうめき声が聞こえた。あるいは結構だとでも言うつもりだったかもしれない。でも彼は艦長らしさを発揮した。バレンツたちが見た最も艦長らしい瞬間だったかもしれない。ヤルタは怒気を抑え込むと厳かな声で答えた。表面と内部の温度差を感じさせる声音だ。机で両手を組み、前を見据えていた。

「本艦には主計士官が乗っている。軍艦の会計係だ。彼に言ってよこすから、あとで是非話に乗ってくれ――もう満足かね?」

こくっと氷雨がうなずいた。誰にも質問はなかったし、あってももう聞く気にはなれないだろう。少なくともこの場では。

「それは結構。お気遣い痛み入る。――オイ、副長と主計官を呼べ。冒険者方についていって、話をまとめるように言うんだ」

呆気にとられていた従卒はまるで昭和のおもちゃのように首を揺らすと扉を開けてさっさと出ていった。扉は最後まで閉まらずに廊下を早足で行く音が聞こえた。頭痛に耐えるような顔をして、ヤルタは実に億劫そうに立ち上がった。私が舷側までお見送りしよう、といった。それでバレンツたちが立ち上がった。彼は昔まで今のようだったとは思わないでほしいな、と誰に言うでもなくつぶやいていた。

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