言語指導
私は週3回、障害福祉センターに行くことになった。自転車で通い始めたのだが、自転車には素直に乗ってくれるが障害福祉センターの建物が見えてくると泣き始める。家から日によって、道を変えたりもしたがそれでも建物を見ると泣き始める、母と一緒に障害福祉センターに通っていた友達には、あれだけ泣かれてよく止めなかったと言われるぐらい私は泣いた。障害福祉センターに通う子どもたちは個人差はあれど、始めての場所に慣れるには時間がかかる。その中でも私の泣き方は、後で皆の語り草になるほど激しいものだった。母はそれでも行くのを止めなかった。答えは1つだった。他に私を直す場所がなかったからだった。
障害福祉センターでは子どもたちに言葉だけ使わせるのではなく、体も動かしてもらい、日常動作を学ばせる。発達に遅れのある子どもは、親子関係がうまくできていないことがあると、体接触を嫌がったりすることが多い。乾布摩擦、スキンシップ体操は、健康面のつぼを刺激したり、関節をやわらかくしたりする目的以外に体接触をすることで親子関係を健全なものにしていく目的もあった。
言葉指導もあったが3ヶ月に1度ほどだった。言葉というものは話す練習だけで使えるものではなく、いろいろな面の発達が絡み合って、でてくるという。実際、言語指導は遊びの中から言葉を引き出していくようだった。
自分の体を自分の思いどおり動かすことも大切だと、母は言語指導の先生に言われ、このころはよく、私をジャングルジムで遊ばせ、手や足をどうやって使うか教えた。
体を使った大きな動き、手や足を細かく使う動き、そのようなことも、すべて言葉の発達を促すうえで必要なことだと言われたらしい。
このような努力もあって何とか3歳のうちに私は言葉がでるようになった。