異常に気づき、診断へ
2歳半ごろになっても一言も言葉を話せなかった私を心配し、母は保健所に相談した。
そこでの診察で「この子は人と目が合わせられない」と指摘され、大きな病院に診てもらうこととなった。私はこの頃から奇妙な行動ばかりするようになっていた。公園ではシーソーに乗っても捕まらなかったり、高いすべりだいの一番上で足をバタバタさせたり、すべらないで逆に階段から降りようとしていた。母が私を自転車の後ろに乗せても母につかまろうとせず、ベルトをしっかりかけても、あまりに体を揺らすので、私を乗せたまま母は自転車から降りて、自転車をひいた。自転車の後ろで靴や靴下を脱いで、外へ投げてしまい後で探すハメになったりもした。
こだわりも激しく特に道のこだわりはすごかった。母が私の気に入らない方へ行こうとすると全身の力で拒否した。水遊びが異常なほど好きで一日3回ぐらいお風呂場で遊んだ。気に入らないことがあると泣きわめいた。しゃべらないので泣く理由がわからず、そんなとき母が抱きしめても蹴飛ばされたらしい。夜泣きも激しく、ミルクを与えても投げとばされ、子どものビデオを見せると何事もなかったかのようにビデオに見入ってたらしい。
そんな私の異常行動から母はこの子は普通の子じゃないという思いを強くしていった。
病院の検査では何もないことを願っていたが、自閉傾向があると指摘されたらしい。母は大きなショックを受けた。
「この子は普通になれるのでしょうか?」
「そういうことを考えると気が遠くなるから、この子の成長を見ていきましょう」
母はこのとき、この子は治らない、と確信したという。こんな問題だらけの子どもをそれでも育ててゆく決心をしてくれた母には大きく感謝している。
そしてこれから私の奇妙な行動に多くの人が関わっていくことになる。