自己紹介
私は高機能自閉症である。
高機能自閉症とは先天性の脳機能障害だ。自閉症は知的に遅れがあるが、高機能自閉症には知的遅れがない。普通の人と同じように生活できる。しかし明らかに何かが他の人と異なっている。
高機能自閉症はこだわりが強く、そして何より人とのコミュニケーションがうまくいかない。やっかいなことに高機能自閉症は一目わかりにくい障害なので周りの人からは「変わった人」とだけ認識されてしまう。
私も人間関係ではさまざまなトラブルを起こした、普通の人と同じコミュニケーションができないことが何より悔しかった。
私はこれから、そんな失敗だらけの人生の1部をここに綴っていこうと思う。
なお、これから書かれることはあくまでも私自身の人生の1部であり、高機能自閉症の生き方のマニュアルではないこと、全ての高機能自閉症の人に当てはまらないことを頭にいれておくこと。
私は関東地方のある中流階級の一家の2子として誕生した。家族構成は父、母、兄、同居している祖父母。つまりごく一般的な家庭である
私が生まれる前、母は兄を妊娠した。だが、母はなぜか生まれてくる子を女の子だと思いこんだらしい。調べてもいないのにだ。初めての妊娠でハイになっていたのだろう。だから考えていた名前も女の子の名前だけだったらしい。
そんな思いこみのまま、母は兄を出産した。兄を見たとき、母は声に出せないような衝撃をうけたらしい。兄は何とまあ、不憫だっただろう。
そんな生まれの兄でも母は虐待することもなく、精一杯愛情を与えて育てた。
そしてその5年後、私を生んだ。元気な女の子だった。
兄は朝から晩までよく泣く子だったらしいが、私は泣くこともなくいつもすやすや寝ていた。おかげで母は手がかかる赤ん坊の時期をそう苦労せずに過ごした。「手がかからなくてラッキー!女の子はやっぱりいいわね」母はそんな風に思っていた。
これから大きな問題が待っているのも知らず。