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数学天使オイラーちゃん!

作者: 菊本寛

実質1日分くらいで書いてるけど、4、5日掛かったわ。

もう受験勉強するでゲソ。

まだ、読み返して無いからどうなってるか良くわからんでゲソ。

 かつて大数学者がいた。

 その数学者は本当は凄く勇敢でトンチンカンだったらしい。

 その名もレオンハルト・オイラー。

 またの名を数学天使オイラーちゃん!


 僕の名前は戦国あきら。職業は普通の高校生。もちろん、もし世界がおもしろおかしくなるなら僕はそっちの方を選ぶだろうが、残念ながらそれは叶わぬ夢に思えた。あるいは僕のようなガリベンが肯定されるような世界であったり、あらゆる人が平等でなく、僕あるいは選ばし者勇者だけが例えば世界の王になれたり、もしくは例えば最高のハーレムを獲得できたならば、この僕が、その勇者になるための努力を僕が惜しんだはずはなかったであろうね。そう。世界は圧倒的につまらない。そういうものだったのだ。

 最寄り駅「幻想ノ儚ヰ夢ノ東京駅」(この名前誰が決めたんだ)から10分程歩くと僕の住んでいる、地上7階立てのマンションが見えてくる。そしてそこの1階が僕の家ということになる。問題あるまい。

 そして今日の僕は、いったん鞄を家に置いてから今日はゲーセンにでも行こうかなーと考えていた。ゲーム好きと言うことになるね。ところで、物事というのは必ず予定通りに進むわけがない。いや、仮に予定通りに物事が進むとしても、それが物語になるようなら、それは間違いなく予定通りなんかではないのである。

「きゃーーーーーーーーーーーー!!」

 僕がドラマ二ドラマニ(注:某ゲーム)と頭の中をコナミ社先生のゲームのことでいっぱいにして歩いていると、突然その少女が空から降ってきたのである。

「あれ? ここはどこだ?」

 だれだお前は!

 僕は突然の空から女の子が降ってくるという、「そんなまさか!」と100人中90人くらいはそう思うようなことではあったが、ゲームのことばかり考えていたからなのか、その時は空からというよりも、この少女が誰であるかと言うことの方が先決であるように思われた。

「あれあれ? わたしはレオンハルルト・オイラー。数学天使だよっ!??」

 ふーん・・・・。いやいや。誰だよ。

 僕は驚いて少女の顔をもう一度見上げた。外国人のような薄い瞳、短めの金髪、目線を下げると服装は世界史の教科書で見た、いかにも中世のヨーロッパにいそうなそんな格好、そして腰には小さな体格に似合わない大きな剣をぶら下げている。

 ああ・・・。たぶんきっとかわいそうな人に違いない・・・。

 そう思って僕が彼女に悲愴な目を向けていると、彼女はそれに気付いたのか、僕の方を見て怒ったような顔をした。

「あれー? おかしいな一応ちょっとは有名な数学者だったらしいのになぁ。困ったなあ・・・。まあしかたないかっ!」

 しかたないとは何様のつもりなのか!

 そして僕の方を見て言うのだ。

「それじゃーわたし忙しいから、あんたはあっちに行って良いわよ。それじゃっ!」

 なんだよ嫌なヤツ。

 スタスタと踵を返しさって行くオイラーちゃんとやらを眺めて僕はそう思った。しかしそう、ここであのままヤツがどこかへ行ってしまえば、この物語はこれで終わりだったのだろうが、しかし現実にはそうはならなかった。何を思いついたのか、そのときオイラーちゃんはくるりと何かを思い出したようにカムバックして、また僕の方へとツカツカ歩いてきたのだ。そして言った。

「あのー・・・。ところでここってどこ!??」 


 30分後。そのオイラーちゃんとやらはなぜだか、僕の家へと(決して薦めたわけではない)のにあがりこみ、(薦めてないのに)僕の部屋に「ああ、ここがあんたの部屋ねっ!」と勝手に話を進めて行った。そして彼女によると、どうやら彼女は天国から来た「数学天使」であり、天国でのポテンシャルがどうたらこうたらの研究中に間違って地上へと落ちてきて、彼女がエウクレイデスとかニュートンとか言う人と一緒に住んでいて、そして何より彼女があの有名な数学者レオンハルト・オイラーの生まれ変わりらしかった。これなんてラノベ設定?

「で、そのオイラーの生まれ変わりがどうしたって?」

 オイラーちゃんは不機嫌そうに眉間にしわを寄せる。

「だからアキラは何を聞いていたの?」

 何って。全部だよ・・・。いきなり良く分からん話を聞かされるこっちの身にもなってくれ!

 オイラーちゃんはそんなことおかまいなしで、一方的に僕に"お話”を続ける。お前はインデックスか何かなのか。

「私はオイラーの生まれ変わりじゃなくてレオンハルト・オイラー本人よ! 良い?レオンハルト・オイラーみたいなのじゃなくて、レオンハルト・オイラーそのものがわたしなの!良い?」

 念押しに告ぐ念押しである。

「はいはい、でそのオイラーさんが僕になんのようですか。いや、って言うかオイラーと言う人は男だったと思うんだけど・・・、君は女みたいなような・・・」

「うん。そうだよ」

 そう言われましても。

 と、僕が困り果てていると。それに気付いたのかオイラーちゃんは腰にぶら下げた大きな剣をカツンカツンと鳴らして、ご機嫌そうに話し始める。

「中世ってのは現代みたいに、女性が平等に活躍する機会は与えられていないのだよ! だから私のように実は美少女だったと言うような例がたくさーんあるわ! 例えば私の家に住んでるフェルマーちゃんとかもそうねっ!」

 な、なんだってー。フェルマーって言ったら、あのつい最近解けたことで有名なフェルマーの最終定理のあの人じゃないか・・・・。フェルマーって女だったのか!!?

 僕の動揺した様子に、オイラーちゃんはよほど嬉しかったのか、ニヤリと得意げな顔を浮かべる。

「フェルマーって女だったのか!!!??」

「そう。しかも私よりも美人でかわいいんだよっ!」

 そうなのか。いや・・・そうだったのか・・・・。っ・・・ということは・・・、ふっふぅ。どうやら世界は私の思っていた方角へと回り始めたようだな! 

 そして僕はもう一度、彼女の方を見上げた。良く見るとレオンハルト・オイラー、すっげーかわいい美少女じゃないかっ・・・・。しかも欧米の血が流れているからなのか、とてつもなくスタイルがいい。

「しかし、オイラーちゃん。それは実にけしからんねえ。中世から来たんじゃあ、きっと現代のことに驚いたり、いやそれはやはり物語の登場人物であるわけですから、それはきっと驚いたりなさるわけですよねえ? だから僕がこの現代を案内して差し上げますよ!!!!」

 ぶるっとオイラーちゃんは細かく震える。

「アキラ今何か変なことを考えなかった? 男ってのはこれだから不潔だって言うのよね」

 するどい! なかなか手恐いね、オイラーちゃん! 流石に世界の数学者だけのことはあるな!

「それとせっかくだけど、現代と言うのは天国よりもはるかに技術力の劣った場所よ。だからいちいちあなたがわたしに街を案内することはないわ」

 えー。それじゃあ物語に良くある展開じゃないじゃないか。

「あ、でもやっぱり、ちょっとその辺見たいから、あんたちょっと案内してくれる」

 どっちなんだよ。

 オイラーちゃんはさっと立ち上がると僕の手を引いて、早くしろと僕をせかした。

 だいたいなんだよオイラーちゃんって・・・・なかなか面白いじゃないか。


「おいアキラ。これなんだ!?」

 なにって、そんなものを指してなにとはなんだ。いやいや、これはまさかこれを知らないなんてことは・・・。

 真っ直ぐとその指の示すもの。

「自動販売機だけど」

 くぷぷっ。とオイラーちゃんは堪えきれなかったようで、突然笑い出す。

「自動販売機。ひひひ自動販売機だってよー、頭おかしいだろ」

 全く自動販売機の何が面白いのか。僕には数学天使とか言うやつのほうがよっぽど面白く見えるんだが。

「まさかこれは児童販売機というくらいだから・・・、自動で飲み物を販売する機械なんだろうな!これは面白い!」

 いやそこは全然面白くないんだけど・・・。

 オイラーちゃんは抱腹して笑っている。

「おいそれからこれはなんだ?」

 これって、いやこれはこれだろ・・・。まさかこれを知らないなんてことはあり得ないだろう・・・。

「マンホールだけど」

「マンホール!・・・・ぐふふぅふふぅ。ひひひっマンホールだってよ! 頭おかしすぎて腹が痛てぇ!」

 何がそんなにおかしいんだよ。ったく。

 オイラーちゃんは腹を抱えて笑っている。そして一言こう言った。

「ぐふぅふぅ。さあバカはほっといて帰るか?」

 帰るか? 何が帰るか? っだよ。誰に言ってるんだよ。なんて酷いやつだ・・・。ったく天国の人間ってのはみんなこうなのか!??

 まったく美少女だから許されるようなものの、これがいい年こいたおっさんなら蹴飛ばすところだぜ。僕はそう思った。


 一日が終れば人は家へと帰る。帰らぬというわけにはいかぬのだ。空から美少女が降ってくるなんて全く妄想怪しからん。家に帰る頃になって、はてさて一体どうするのかと思っていたが、どうもこうもオイラーちゃんはずうずうしくも行く先もないらしく、今日のところは僕の家までついてくる気らしかった。しかたないので僕は、半分キレかかっているオイラーちゃんを僕の部屋でおとなくしているように必死になって頼み込んで、とりあえず大人しくしているはずだった。そう、それでよかった。それで僕は物語上に置いて、美少女との同居と言う体のいい交遊を保つことができたのだから。それだけで良かったんだ。

 ガチャリ――。

 僕が部屋のドアを開けると、僕の期待が、そうはならないことをその瞬間に悟った。

 バタン――。

「おい、閉めるなよ」

 明らかに誰もいないはずの部屋の中から声が聞こえる。いや、中に少女の姿くらいは見えたかもしれないが、そんなことは決してなかった。オイラーちゃんが僕の後ろで何か言おうとしている。

「いま、部屋の中から何か聞こえなかった?」

「いや、気のせいでしょう」

 そう気のせいに違いない。これ以上やっかいなことに巻き込まれてたまるかい。

 しかしその僕の期待は見事に裏切られることとなった。

「おい、いかないなら行くぞ」

 そう言って僕の部屋の内側から誰かが部屋の扉を開けようとする。

 それはまずい!

 僕はわけもわからず必死になって、僕の部屋の扉を押さえつける。

「あれーおっかしいなぁ。これはこうあける物だと思ったんだがなあ」

 部屋の中から声がして、僕はもう泣きたくなって部屋の扉を握り締める。

 嘘だ! 信じないぞっ!

 そしてその次の瞬間。僕は生まれて初めてあの奇怪な現象を見た。

「しかたねーな」

 そう言って部屋の中にいた何者かが、部屋の壁を、まるでそこになにも存在していないかのように歩いて通り抜けたのだ。そしてその何者かは僕の目の前に立ちふさがった。

「誰だお前!??」

 お前が誰だ!

 そこにいたのは、紛れもなく人の形をした、とても綺麗で儚い顔をした美少女だった。

「あっ。オイラーじゃないか」

 そう言ってその小さなかわいい女の子はこれまた小さくてかわいいオイラーちゃんを指差した。身長は少しだけあっちの子の方が高いかな・・・いや良く見ると・・・あれ・・・何かあってはならぬふくらみのような物があるような気がするが、まあ良いか♪ 見なかったことにしよう。

「あっ。ヒルベルト!その髪型かわいいねっ!」

 がくり。まてまて、髪型じゃなくてその前に、そのヒルベルトが何でここにいるのかが先だろうよ! てーかお前等知り合いかよっ!

「アキラ。紹介するね! 彼の名前はディビット・ヒルベルト、元数学者の数学天使だよっ。主な業績は幾何の公理系の研究だよっ。ヒルベルト空間や零点定理が有名だねっ! でもなんでこんなところにいるんだ?」

 遅いよ! それ突っ込むの遅いよ。しかも先にさらっと流したところに、まさかとは思うけど「彼は」って入ってたよ。そっちをもっと強調するべきだろ!

 「いやー奇遇だなあ」

 呑気なやつめ! なにが奇遇だっ!


その夜

「そっかー。ごめんね。気がつかなかった。天国ではその者の魂が天使であるか悪魔であるかは気にするけど、男か女かなんて気にしないからねっ」

 そう言ってオイラーちゃんは、綺麗な西洋服に身を包んだヒルベルトの方を指差した。

「まあいわゆる男の仔ってやつかな、体よく言えば」

 物分り良すぎだろ! 天使の癖に男の仔なんて良く知ってたな!

 僕が呆れてものも言えずにいると、ヒルベルトはさっと立ち上がって服を脱ぎ始めた。

 こらこら勝手に服を脱ぐんじゃない。

「じゃあ俺寝るからさ」

 そこは僕のベッドだというんだ。何様だ。

「じゃあわたしも寝るわ!」

 お前もかい。

 ヒルベルトはきていた女物の服を脱ぎ捨て立ち上がると女みたいな下着をつけたまま、僕のベッドにもぐりこんだ。ああ、きっと誰かが見たら誤解するような光景だろうなあ。一方、オイラーちゃんは床の上で座布団を枕にしてぐーすかぴーと、こいつ良くこんなわけのわからん状況で寝れるな、と思うぐらいすぐに寝付いてしまった。

 オイラーちゃんのあほかわいい寝顔をじっと眺めながら、僕はあれこれと考え事をしていた。するとベッドの寝ていたヒルベルトが女みたいなか細い声でこう呟いた「第三のヒルベルトプログラム、もうスグ始まる。第三のヒルベルトプログラム。始まる、もうすぐ、むにゃむにゃ」

 そのヒルベルトの寝言。それは大事件の始まりだった。 

   

 あれから1ヶ月がすぎた。あれから僕の人生は大きな変化があり、楽しい人生になりました。話終・・・。

 あれから、僕は厳しい母親にこっぴどく叱られた。ネットばかりしてパソコンを弄ってどうのこうとかもあったが、どこの家のこだかわからない子は泊められるわけがないと言う、すげえ常識的な意見により、オイラーちゃんとヒルベルトはしぶしぶに僕の家から追い出されたのである。どうしてこうも日常と言うのは楽しい方向に転ばないものかね。と僕が呟いていると、隣にいたオイラーちゃんが僕に話しかけた。確かにオイラーちゃんは家を追い出されはしたものの、数学天使の隠された五四一の力とやらを使って、僕のそばにいるわけだった。そういえばヒルベルトははなから僕に興味などなかったようで、どっかに行った。まあ僕も男には興味がないし、この際、別に問題なかろう。その時はそう思った。

「今日は38アイスクリームに行きたいなあ」

「またかお前昨日も行ったろう」

 そう確かに昨日もアイスに行った。オイラーちゃんはイオンのフードコートにフランチャイズされている、あの31のアイスクリームが大のお気に入りのようなのである。しかし、オイラーちゃんは31と言う数字が素数だから気に食わない。これは38にすべきとの理由から、いやあるいは19の二倍であるからと言う理由で、38アイスクリーム、38アイスクリームとバカの一つ覚えのように繰り返すのであった。ちなみにお気に入りは、なんか青くてはじけるヤツである。正直言うと財布がわりに上手く使われているの気もしなかったが、天使なんだからこいつ実は金を持ってるだろう、だから・・・恩返し、いや当然、10倍返し100倍返しなど期待したい。大切にしておけばそれだけの利益が僕の財布に転がり込むだろう、と言う邪推が僕を駆り立てた。僕は悪人ですかね。

「私は一円ももっていないよ」

 僕は不自然のないように慎重に話題を切り出す。

「でも、天使なんだから、なんか人にはできないような、凄いことができたりするんじゃないか?」

「たいしたことはできないよ。でも・・・」

 でも・・・なんだって言うんだ・・・?

「そうだっ!」

 オイラーちゃんは唐突に切り出した。

「そう。魔法を使えるようにしたあげようか」

 ・・・!!!

 待ってました!

「へぇー魔法ねぇ。天国だから、凄いんだろうねー。どんなのが使えるのかなー」

 僕はさりげなく魔法の中身を聞き出そうとした。

 オイラーちゃんはえへんと僕の隣りで、アイスをほお張りながら、ペロリとコーンのギザギザを齧る。

「左手を前に構えてみて」

 こうか?

 僕はオイラーちゃんに言われたとおりに、左指に思いっきりちからを入れて、そのまま腕ごと前に突き出した。

「で、"Given by heaven and powers of the God distort all its reality"・・・。はい唱えて」

 オイラーちゃんは真剣な表情で左手を向こう側に向けて魔法を唱える。

 すぐ向こう側には店がある。日常的な僕の生活が溢れている。こんなところでこんな魔法なんて・・・使っちゃって良いのか・・・?

「ギブンバイへイブン!エンドパワーズオブゴッド!ディスターブオールイッツリアリティー!!!」

「なかなかノリノリだね!」

 そう言ってオイラーちゃんは続ける。

「暗黒の次元と封印された冥界の力を創出せよ! 行け、叫べ覚醒せよ俺の怒れる左腕! エターナル、フォース、ブリザード!」

 えっ・・・?

 どこかで聞いたことある・・・。と言うか、やたらかっこいいけど・・・なんか違うような・・・。

 するとオイラーちゃんの腕からキラキラと光があらわれはじめた。

「詠唱せよ!」

 オイラーちゃんが叫ぶ。

 光りの束はどんどん大きくなって、大きく空間を切り裂いていく。

 あっけにとられて僕が見ていると、オイラーちゃんがせかすようにまた叫んだ。

「詠唱せよ!」

 前傾姿勢のオイラーちゃんの目はキラキラと輝いて見える。

 なんだこれ、かっこいいぞ。

 俺は遂に諦めがついた。そう、この世の中に恥ずかしいことなどありはしない、恥ずかしいと思う心が恥ずかしいんだ!

 だからよー、人生ってのはなあ、人生ってのはそう言うものじゃねえんだ!

「漆黒の次空と封印された冥界の力を創造せよ! 行け、叫べ復活せよ俺の怒れる左腕(レフトハンド)! エターナル!フォース!ブリザード!!!!!!!!!!!!」

 俺の体内に熱い血流が流れ出した。俺の決して強健とは言えない直径十数センチの左腕から、白銀に染まった光線が漏れ出す。

 体全体に光りが浸透して行く。白かった空間が俺の情熱の真っ赤な茜色に染まっていく。

「凄い! 本当に初めてなの!!?」

 オイラーちゃんが光の中で叫ぶ。

「ったりめーだろ!」

「この魔法は自らの体内に蓄積された能力を解き放つ力によってできているんだよ! この光の強さと位相の大きさは・・・君の潜在能力は神々クラスかもしれない・・・大抵の人間はこの力をエロに使ってしまうんだ・・・」

 オイラーちゃんは驚いたような顔をしている。

「なんだとエロをなめるなよおおおおおおお!!!!!」

 俺は叫んだ。

 そして燃え尽きた。


 疲れ果てた僕の肉体をオイラーちゃんは素通りして、僕の向こう側に置いてある財布を手に取り、31アイスクリームへと向かった。今日何個目だ。トリプルを12個くらいか。良く食うなあいつ。

 とにかく僕はパワーを出し切ったらしく、疲れて何も喋る気にはならなかった。

 ぼんやりと前方を眺める。向こうの方から、見るからに怪しい集団がこちらへと近づいてくるのが見えたような気がしいた。

「おやおや、ヒルベルトじゃなくて、こいつはなんでい!!?」

 和服を着た怪しい男が喋った。他にもゾロゾロと後ろから怪しい面々が顔を現す。

「凄まじい瘴気に釣られてきてみれば、お前"天界の力"を使うとは、地上の人間じゃねーな」

 隣りにいた危なそうな男が喋った。頭がクルクルしている。マッドサイエンティストみたいな風貌の男だ。

「しかし見るからの普通の人間デス」

 一番でかい男が喋った。胸から筋肉があふれている。掴まれたら死にそう、と言うか凄く苦しそう。

「そう」

 最後に端からひょこんとポニーテールのかわいい女の子が出てきた。萌キャラか何かか。

 しかし、僕は疲れていてどうにも動く気になれない。四人の怪しい集団は僕の目の前に立って、僕のことを観察し始めた。一番でかい筋肉男が、僕の首をぐっと掴む。

 煮るなり焼くなり好きにしてくれ・・・。

 そう僕が諦めかけたその瞬間だった。

「あれ? お前らここでなにしてんの?」

 幸せそうに一段と半分になったアイスを齧りながらオイラーちゃんがひょこりと僕の隣りから現れた。

 知り合い・・・なのか・・・。


「左から関孝和、ニュートン、エウクレイデス、フェルマー、だよ!」

 一番左が、やたらと熱血そうな和服。

 二番目が、髪のクルクルした、危なそうなマッドサイエンティスト風。

 三番目に、一番でかい古代ギリシア風の服を着た筋肉の塊のような男。

 そして最後に、物静かな読書家風の少女が並んでいた。とても大人しそうだ。本を与えたらずっと読んでいるんだろう。

「こいつらもなんか生まれ変わりなんだろ。まあ良く考えると。面白そうなやつらじゃないか」

「失礼なやつだな」

 ニュートンとか言うクルクルが言った。たぶん凄い偉い人だ。

「まあ中々骨のあるやつと思うぜよ! わしは関孝和でい。よろしく頼むぜよ!」

 この和服は、ほおって置くとべらべらと機関銃のように喋っているようだ。どうやらかなりの熱血らしい。腰に下げた日本刀は銃刀法違反だと思う。その日本刀を掲げて、自慢をする。この剣はわしの祖先がかの関ヶ原の合戦で使っていた代物よ! その名も名刀遮那の剣。

「よろしくデス」

 裸のギリシアは、やたらと白い歯をむき出しにして笑った。どうも一人だけむさくるしいが、どうやら人の良さそうな好漢かもしれない。こういうキャラって実際は強いけどすぐやられるんだよな。と思った。たぶん理由はあるんだろうけど。

「ピエール・ド・フェルマー」

 少女が呟いた。いや、きっと呟いたのではない。これが彼女の最大音量と言うやつだろう。これは萌に違いない。間違いない。

「弁護士」

 フェルマーちゃんはそう言って恥ずかしそうに顔をあげた。真っ赤に染まった顔で僕の顔をもじもじと見つめる。いいね・・・! 悪くないね!

「活目せよ!」

 クルクルの髪を掻きあげてニュートンが叫んだ。僕の部屋のコップががたりと音をたてて飛び跳ねる。

「ああ見えてニュートンは恥かしがり屋なんだよ。気難しそうに見えるけど実は悪い人じゃないんだ。家に猫を3匹飼ってるんだよ」

 オイラーちゃんが僕の耳元でこそこそと呟いた。

 まあ人は見かけによらぬといいますからなあ・・・。

「我々は世界を救う救世主だ」

 突然、とんでもないこと言い出しやがった。

 僕はちらりとフェルマーちゃんの方を窺った。するとフェルマーちゃんはぱちりとウインクして返してきた。かわいい! その隣で、エウクレイデスがふんふんと鼻息を鳴らしている。関孝和は自慢の遮那を手に、ニュートンの右手の指すホワイトボードの方を窺っている。

 ・・・どっから持って来たんだ、このホワイトボード。

「ヒルベルトは現世そのものを破壊しようとしている。この世とあの世の境界線を彼は消し去る気だ」

 なんだこれ。

「この世とあの世、天国と地上は、虚数空間の始まる前からいわゆる関数と逆関数の形、関係を保って存在してきた。だが、その境界線をヒルベルトは破壊しようとしている。この世に混沌をもたらすのがヤツの目的だ。ヤツは現世にカオスを創出をする気だ」

「それは変態デス」

 エウクレイデスが叫んだ。

「それを言うなら大変」

 僕の隣りでフェルマーちゃんが呟いた。

 ポニーテール。ほんとかわいいな・・・。

「準備はどうでい。行くぜよ!」

 遮那の剣をきらりと光らせた関和孝が言った。 

 オイラーちゃんは何事もなかったかのように、こたつに入ってミカンを食べている。良くこんなに冷静でいられるものだと感心する。むしゃむしゃとミカンを頬張るオイラーちゃんは手持ち無沙汰の右手でテレビの電源ボタンを押した。すると、テレビの中からあのオカマ、いや男の仔ヒルベルトの声がするではないか!

「時は満ちた。百年にわたる我が研究の成果。御開帳なり。くぅ」

「くそっ・・・。遅かったか・・・」

 ニュートンが悔しそうに机を叩いた。

「皆さん聞いてください。私はヒルベルト。この世の神にして、あの世の王となる男だよっ! ふふっ!」

「ふざけたやろうでい!」

 関和孝が怒ったように言った。

「これから僕の言うことを良く聞くんだよ! 大事なことだけど一回しか言わないからねっ」

 もったいぶりやがって。

 僕がミカンを手にとってパクパクしているオイラーちゃんの横からリモコンを奪って、チャンネルを変えた。日本放送、フジテレビ、NHK、TBS、東京テレビ、東京MX、千葉テレビ、テレ玉、テレビ神奈川。

 どれをとってもヒルベルト、ヒルベルト、ヒルベルト、みんな同じ顔がご丁寧にも違う角度から映されているだけである。なんと足元のカットまでありやがる。

「無駄さ、無駄! 電波を頂いてるからね。こんな甘っちょろい電波の出し方じゃあ小学生にでもご開帳されちまうぜ!」

 なんだと貴様。日本の技術力をなめるなよ!

「いいかい、あと一時間で、君達のいるこの地球、というかこの銀河、宇宙、その上の空間、全ての現世があの世との境界線となる。君達は生きながらにして死人となるわけだ。そして見るだろう、世界の混沌をな。永久に続く世界の端くれを。まあ・・・。もし世界の受ける無限に近いエネルギーの放射に耐えることが"できれば"の話だがな・・・・くぅ」

「ちくしょうヒルベルトめデス・・・」

 エウクレイデスは落胆した様子で頭を抱えている。どうしようもなく絶望的と言う文字が頭をよぎっているのだろう。

 しかめっつらのニュートンが僕のすぐ傍に立っている。

「あと一時間だと・・。世界を混沌、カオス状態に導くなんて、くそっ。やつめ最初からそれを見越して、我々の研究に参加していたということか・・・。我々のしたことが・・・」

「研究ってのは?」

「第二のヒルベルトプログラムデス」

「・・・あの世とこの世は写像によって結ばれていた。我々数学者、基"数学天使"はその管理人だ。現世の人間が死んだ後、写像的な操作を行うことによって我々は常世への入り口を開くことができた。そのインバースされた世界点を広げることが我々の研究だった。オイラーはその研究中に地上へと落下した。それを探しに行ったのがヒルベルト・・・。だが我々はヒルベルトの持ち出したあれに気がついた・・・」

 ニュートンが髪をかきむしる。

「そうこれは第三のヒルベルトプログラム、もうスグ世界は終る。このくだらない世界は完全に混沌に突き落とされる。そこは永久ではない。完全なる死だ」

 テレビの中のヒルベルトがにやにやと笑った。

「許さない」

 フェルマーちゃんが呟いた。いや、呟きではない。最大音量である。

「くそっ!ヤツはどこにいるんでい!」

 どこ? 場所が分かれば解決する問題なのか?

 僕はあろうことかヒルベルトが今どこにいるのか理解することが出来た。

「これフジテレビじゃないかな?」

「フジテレビ? それはどこです?」

 オイラーちゃんが首を傾げる。

「そこの横にでっかい丸がついてるだろ? 場所は知らないけど、確かにその形はフジテレビだと思うよ」

「場所なんかわかっても意味がないデス。一時間では何もすることができないデス」

 エウクレイデスが世界の果てに存在するかのような声で言った。

「それだけじゃねぇぜよ。何しろヤツは例のあれを持ち出したんでい・・・」

 あれとはなにか。

 僕はいてもたってもいられなくなって。フェルマーちゃんの助言を仰いだ。

「アルキメデスの盾。非公理の剣。天界の宝具」

 恥かしそうにフェルマーちゃんは呟いた。いや、これが最大音量である。

「あれは間違いなく天界最強の宝具デス」

 完全に終った・・・。と言う表情でがっちりしたエウクレイデスの肩ががくんと落ちた。

 つまり・・・。

「これで我々も終わりと言うわけさ。もちろん、通常の死とは別物さ。今までは死んでもあの世で永久に生き続けることができた・・・。だけれども、ヒルベルトはあの世とこの世を含めた、世界全体を破壊しようとしている」

「つまりこれは完全なる死」

「世界の終わりを意味するぜよ・・・」

「38のアイスクリームをもっと食べておくべきだった」

 

「おい。じゃあ反省会しようぜ」

 世界の終わりまでにもう一度過去の自分を見返すのも乙なものじゃないか。そう、誰だって自分が死ぬ前には、きっと自分の今までの自分の人生を思い返すに違いない。それが良いものだったのか、悪いものだったのか、それがどんなものかはわからないが、でも少なくとも自分が歩んできた、この人生ってヤツを振り返ってみるのも悪いもんじゃないだろ?

 普段は熱血の関孝和が重い腰をあげて、ぐっと前に出た。

「じゃあまずわしからぜよ・・・。源内がこないだ俺の酒を勝手に飲んだんでい。でーもよーく考えりゃあれくらいはくれてやっても良かったぜよ。あんな下らないことで殴り合いの喧嘩をするなんてばかなことでい・・・」

 源内・・・平賀源内かな・・・。

 さっと筋肉が僕の前を通過する。

「私はクレオパトラと、アントニウスにファッションセンスをバカにされたデス。ディオゲネスにいたっては数学バカだのどうだのと悔しいデス。腹が立って腹が立って仕方がないデス。良く考えれば最後に気になるのはこういうことデス。私は心の狭い人間デス・・・」

 エウクレイデスはそこまで言い終わると、腕を地に伏してそのまま動かなくなった。 

 小さいことでいちいち卑屈なやつらだな。こいつらの人生は一体どうなってるんだ。

「私にも言わせてくださいです」

 オイラーちゃんが一歩前に出た。

「実は私は250年前に整形をしたの。最初は整形をすれば自分の中の何かが変わるんじゃないかと言う、そう言う気分だった。だけれども、一度、自分の顔を変えたら、自分が自分でなくなったようで、気に食わなくて、とにかく自分が嫌いになった。だから・・・、だからかも知れ無いけど、もう一度人生があるなら、最初からかわいい顔で生まれたい・・・!!」

 なんて欲張りなやつだ。全然こりてない気がするんだが。

 僕がそう思って、オイラーちゃんを見上げると、目にはウルウルと涙が溜まっていた。かわいこぶってるとか言わないほうがいいんだろうな。きっと彼女は本当に泣いているのだ、そう思った。

「俺もいいたい」

 真っ赤な顔でニュートンが言った。

 なんだこいつ酒でも飲んでるのか!?

「生前の俺には、エリザベスと言う大好きな女の子がいた。愛していると言っても過言ではない。しかし、私は彼女に声を掛ける勇気すらなかった。あの時、もし私に僅か一ミリを踏み出す勇気があれば。ただそれだけのことで私の人生は大きく変わっていただろう・・・」

 まさかの恋愛がらみか・・・。人間心残りになるのはそう言うことなのかも知れないなあ。今度生まれ変わった時には参考にしようかな。

 かわいいフェルマーちゃんも静かに前にでる。

「私の残した最終定理、解法を書いておけば良かった。つまらないことで意地を張って、そのことで回りに迷惑を掛けた。私が悪かった」

 かわいい! 何をやってもかわいいよフェルマーちゃん!

「それに、私はいつも心の中に仮面をつけていた。心の中で楽しいと思ったことも、嬉しいと思ったことも、悲しいと思ったことも、その仮面が全てを飲み込んだ」

 そこまで言うとフェルマーちゃんは僕のほうに目配せした。ウルウルと僕の目に涙が溜まった。そうだよなあ。人間ってそう言うもんだよなあ。 

 僕は人生において、何を後悔したんだろうか。やりたいことをやらなかったことか。うん。それもある。好きな女の子に告白しなかったことか。うん。それもある。友達にけちを働いたことか。いや、それは別に大したことではない気もする。それともあるいは、

「僕は、自分が何をしていたのかよくわからない。ただなんとなく生きてきた、それだけだ。もちろん、やりたいことがあればやったが、それが苦しいことならすぐに諦めた。苦しいのは嫌だから。本当にくだらない人生だった、そんな気がする」

 そして僕は立ち上がった。

 どうやらこれは運命と言うやつらしいな。ここで終るようならそれはそれで終わりなんだろうが、それで終るようならそれは、もう楽しくないだろ?

 そして楽しくないことはつまらないだろ? クソたれだろ? くだらないだろ?

「僕はヒルベルトを倒す。倒せないとかじゃなくて、倒したいから倒すんだ。やりたいときにやらなきゃいけないことから逃げて、それでまた新しいことを始める。それが苦しくなったら、また違うことを始める。そんな人生にはもう真っぴらなんだ。それに良く見ろ。ヒルベルトは剣を持っていないじゃないか。なぜだろうね?」

 僕がそこまで言うとワンワン泣いていたオイラーちゃんが立ち上がった。

「ヤツのところへ行こう」

「それなら源内とエジソンがくれた温泉があるぜよ」

 温泉・・・・・。

「これはただの温泉じゃねぇぜよ。その名も空飛ぶ温泉」

 そんなばかな。

「さあ景気付けデス!」

 エウクレイデスが皆の前に酒を用意した。僕だけ富士ミネラルウォーターだったんだが・・・。

 エウクレイデスは僕にミネラルウォーター入りのコップを差し出す。僕の手はコップを一度すり抜けて、それでもう一度、そのコップをとろうとしたがやっぱり手が届かない。その光景を皆が眺めていた。

「さあ温泉に載るぜよ! 皆の者、服を脱ぐぜよ!」

 服を脱ぐだと。なんだそれは。まさか、これはサービスシーンなのか・・・!??

 そう思った僕の目の前にエウクレイデスのちんこが僕の目の前に現れた。

「うーむ」

 そう思った僕の横から、オイラーちゃんがずっぽんと温泉の中へと飛び込んだ。

「ジャパニーズ温泉素晴らしいあるね!」

 おまえ何人あるか!

 フェルマーちゃんも着ていた服を脱ぎ捨て、かわいいポニーテールもぎゅっと結びなおすと、全裸で温泉へと足を踏み入れた。多少曲りなりな形ではあるが、これはある種のハーレムと思うこともでき、でき、できできる! ・・・はずだ!


「ピンポンパンポーン。あと三十分で世界が崩壊しまーす。皆さんご注意ください!!? これで世界は完全に終わりです。世界は死を迎えます。空が青いのは今だけです。地球が青いのも今だけです」

 甲高いヒルベルトの声がこだまする。

「さあ出発するデス」

「行くぜよ!」

 こうして僕達はヒルベルトのいるフジテレビ本社へと向かって行った。

 なんだこれは。


「あと十分で世界が終る。これで世界が終る」

 ヒルベルトは自らが開発した装置の前で、ケタケタと笑っていた。そうこれで世界が終る自分を見放した。この世界が終るのだ。この装置が稼動すれば、世界が理論どおりの完全な数学の元に置かれる。そのことが数学的に証明できる。そのことがヒルベルトを突き動かした。

 そのときだった。どこからともなく聞こえてくる。楽しそうな晩餐の音が。そしてその瞬間、目の前に巨大な温泉が現れる。温泉の乗り物と言うより空全体が温泉になっている。これは虹の温泉に違いない。

「覚悟しろヒルベルト」

 僕は叫んだ。

「覚悟しろ」

 僕の隣に立った、フェルマーちゃんが最大音量で呟いた。もちろん温泉に入る者は誰でもみな全裸であったが、男子の、いや、紳士のプライドとして決して横は見ないことにする。いや、本当はちょっとくらい覗いてみたかもしれない。見えたと言った方が良いかもしれない。

「なんだこれは? お前等なぜ服を着ていない?」

「全裸であることが裸族たる我々の使命デス」

 エウクレイデスが言った。いや、その説明はどうかと思うがな。

「きさま非公理系の剣をどこへやった?」

 ちんこを隠したニュートン叫んだ。この期に及んでまだ隠すものがあるとでも言うのか。

「お前らそのかっこどうにかしろ」

 ヒルベルトが叫んだ。いや、全うな意見といえよう。

「紆余曲折があったんでい、ヒルベルト。今日こそは我が遮那の剣の出番でい!」

 ふんどし一丁の関孝和が叫んだ。こいつ自分だけふんどし用意してやがった。

「人生はそんなに甘いもんじゃない! 服を着てれば良いってもんじゃないから!」

 オイラーちゃんが怒ったように叫んだ。うんうんと僕はうなずいた。そう服を着れば良いってのは人生の勝ち組の意見だよね。あれっ?

「剣はここさ」

 そう言ってヒルベルトはあのフジテレビの丸の奥底から巨大な剣を取り出した。

 でかい・・・。なんてでかさだろう。

「さあこいよ。もう時間はないんだぜ?」

 ヒルベルトのすぐ後ろにある、あの世界を破壊する装置を壊せば僕らの勝利だ。あれさえなんとかすれば、それは凄く簡単なことに思えた。

 その瞬間ヒルベルトの放った斬撃が僕のスグ横を掠める。僕の体に衝撃が走る。

「危ない!」

 オイラーちゃんが大きな声で叫ぶ。

 だがその瞬間、エウクレイデスは関孝和の遮那の剣を奪って、ヒルベルトのスグ目の前まで切り込み、そして一瞬でヒルベルトの体を切り裂いた。

 全てが終った。そう思った。

「ふふぅ?」

 ゆらりとヒルベルトの体が揺らめき、今度はエウクレイデスの巨大な体のほうが崩れ落ちた。良く見るとエウクレイデスの体に大きな剣が完全に突き刺さっている。

 何が起こったのかわからない。

「ふふ。これが、非公理系の剣の能力!! "あらゆる論理を無効にする"その危険性故に永久に漆黒に葬られた悪魔の剣! ユークリッド空間そのものを捻じ曲げることなんて当然朝飯前!」

 ヒルベルトは狂ったように喚き散らす。

「それはどうかな、このニュートンの実力を見よ!」

 なんかキャラ変わってねーか。全裸だし。

 ニュートンは懐から大きな筒を取り出す。

「ふははそれがなんだというのだ?」

「これぞ超時空間ソリトン波キャノン!」

 ニュートンが大声で叫ぶ。

「ソリトン波だと!? しまった・・・」

 動揺したヒルベルトは右手に構えた剣を腕から落とす。剣はカランカランと空しい音をたてて地上へと落下する。

「今だ!」

 叫び、ニュートンが大きなキャノンに手を掛ける。

 その瞬間、キャノンの先から大きな波が撃ち出される・・・。

「ど・う・し・た・の・か・な?」

 くっくっとヒルベルトのしんなりとした笑い声が漏れる。

「演技をしていたのね」

 オイラーちゃんが叫んだ。

「酷いヤツ」

 全裸のフェルマーちゃんが呟いた。いや、これが最大音量に違いない。

 次の瞬間、ニュートンの持っていた超時空間ソリトン波キャノンが大爆発した。

「ニュートーン!!!!!!」

 ニュートンの体が塵じりになって消えていく。これが自分には大きすぎる力を用いた報いと言うやつなのか・・・? 

「もちろん君の理論は完璧さ。けれども君はアルキメデスの盾の本当の能力を知らなかったのだね。アルキメデスの盾の本当の能力は攻撃を受け流すことじゃない。全ての波に干渉でき得ることなんだ。だから君の使ったポンコツは全くの無駄だったってわけさ」 

「べらべらとうるさいやつでい!」

 関孝和が遮那の剣でヒルベルトに切りかかった。遮那の剣はヒルベルトの盾に突き刺さる。

「もらった!」

 後ろからオイラーちゃんが大剣をヒルベルト目指して突き立てる。

 その一撃は見事にヒルベルトの背中を貫く。

「可憐に舞え」

 フェルマーちゃんがぼそっと呟く。フェルマーちゃんの手元から無数の花びらがあふれ出し。六本に別れて渦を巻いた。

「ときには蝶のように」

 フェルマーちゃんがまた何か呟くと、その花びらはクルクルと綺麗に形を変えて、おおきな蝶のような形に変形した。

 そしてその蝶から出る花びらが、ヒラヒラとヒルベルトの肢体に巻きつく。

「やった」

 鮮やかな茜色に染まったその光景に、僕はつい中空に握りこぶしを作った。

 これで、僕達の勝ちだ。これで世界が元通りになる。そう思った。

「で、君は何をしているのかな?」

 ヒルベルトの不気味な笑い声が、僕の耳にこだました。

「世界の崩壊まで後、1分と40秒。君は何もしなくて良いのかい? それとも・・・」

 周りを見渡すと、誰もいない。

「何をしているのかな? 君の愉快な仲間達なら、ほらそこにいるよ?」

 ヒルベルトの指差す先には、倒れたフェルマーちゃんの死体が転がっていた。

「ほうらそこにも」

 そこにはエウクレイデスとオイラーちゃんの無残な死体が転がっていた。全裸だ。情けない死に様。

「言っただろう? 非公理系の剣はすべての空間を破壊する、勿論、時空もその例外ではないのだよ」

 ヒルベルトは笑いながら言った。

「さあ世界の終わりを一緒に見物しようじゃないか。あと一分20秒」

 くそっ。もう僕にはどうすることもできない。やつの非公理系の剣、あれはまさに最強の剣に違いない・・・。しかしもう・・・。僕にはどうすることも・・・。

 えっ・・・!?

 瞬間、僕の眼前に驚くべき光景が入ってくる。

「ぐすん」

 ヒルベルトが泣いている。

 ぐすりと濡れた目頭を隠すように腕で拭う。演技なんかじゃない。本当にヒルベルトが泣いている・・・。

「お前・・・」

「聞いてくれ・・・、私はな、本当は男に生まれたかったんだ・・・」

 なんだと!

 まさかの展開だな。

「だけどもそれは叶わぬ夢だった。私は男だと思った。そう思った。だけども私にはあれがついていなかった。それは許されぬことだった。もうそう思ったら世界なんてどうでもよくなった、だからめちゃくちゃにしてやろう。私をめちゃくちゃにしたこの世界をめちゃくちゃにしてやろう。そう思ったんだ」

 そう言ってヒルベルトはがっくりと首を垂れる。

 そうか。

 ヒルベルトはこの世界が嫌いだったんだ。だから、自分を認めない世界を自分ごと消し去ろうとしたってわけか。なんて酷いヤツ。いや、本当に酷いのは世界の方なのか? 世界さえそれを認めればヒルベルトはこんなことをしなかったって言うのか?

「僕は認めるよヒルベルト」

「嘘だ! みんな表ではそう言うけど、結局、影でコソコソと私のことを馬鹿にするんだ!」

 そう言ってヒルベルトは剣で空を切り地面を叩きつける。

「そうさ。そう言うこともあったさ。だけど誰でもみな自分の正しいと思うことしか正しいとは認めない。結局、私のことなんてどうだって良いんだ。私がどうなったて、そんなことは知らないんだ! だから・・・」

 ヒルベルトはブンブント剣をグリグリと地面に突きつける。

 すぐわきでヒルベルトの機械が不気味な音を立て始めた。

 くそっ・・・。

 ゲームオーバーか・・・。もう時間がない・・・。

「そんなことない! 僕はヒルベルトを見捨てないよ! 人それぞれ色んな悩みがあって、僕だってそう思ったことは何度もあったさ!(こそこそ悪口言われた時とか、小学生の時我慢できなくなってトイレでう○こした時にな! それぐらいしか今は思いつかん!) そうじゃないんだ! だから、もう止めてくれ、ヒルベルト!」

 僕はなりふり構わず叫ぶ。

 ヒルベルトはがっくりとうな垂れている。

 そしてゆっくり口を開く、頬を真っ赤に染めて、腕を精一杯握り締めて。

「もう遅いよ・・・」

 ヒルベルトは僕の方を顔を真っ赤にして見つめる。

「ありがとう。嬉しいよ・・・。でも、もう止まらないよ」

 ヒルベルトはそう小さな声で震えるように言う。

 目に涙をいっぱいにして。

 もうどうにもならない、でも僕はなんだかとても嬉しく思う。僕の気持ちがヒルベルトに伝わった。それだけが嬉しい。

 だから。

 この世界を。

「終らせてたまるかよ!」

 あのヒルベルトの機械がやばそうな音をたてている。

 もうあと数秒でヤツはこの世界は終らせてしまう。

「ごめんね」 

 そう言ってヒルベルトは動かなくなる。

 いや、まだだ。まだ終ってねえ。

「Given by heaven and powers of the God distort all its reality!!」

 僕は必死になってオイラーちゃんから教わった"魔法"を思い出す。

 もうこれしかない・・・。

 これで駄目なら、もう僕にできることはなにも残っていない。

「極小の希望と封印された神々の力を創造せよ! 復活せよ俺の怒れる黄金の左腕(レフトハンド)! エターナル!!フォース!!ブリザード!!!!!!!!!!!」

 僕は必死になって呪文を詠唱する。

 僕の左腕から光が眩い放たれ始める。

「アキラ・・・」

 ヒルベルトが叫んだ声がかすかに聞こえた気がした。

 ヒルベルトの後ろにあった装置が暗黒と共に爆発し、ヒルベルトの体を、世界を飲み込んでいく。

 遅かった。

 もう駄目だ。

 しかし、僕はあきらめなかった。

 そう、もしかしたら、僕の魔法が駄目でも、ヒルベルトのあの剣で時空を変えれば、この世界は助かるのではないか。そう思ったからだ。

「うおぁああおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおお!」

 光に包まれた僕の体は、何とか世界の終焉に立ち向かうことが出来る。

 あとはあの剣に掛けるしかない。 

 僕の目の前で、ヒルベルトの体が消えていく。ヒルベルトは最後に僕の方を見つめて悲しそうに何かを呟いた。

 そして。

 その言葉を言い終える前に、ヒルベルトの体は完全に消失した。

「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおがああああああああ」

 世界はくそや。おかしなことだらけや。何一つ僕の言葉を聞き入れてはくれはしない。だがなぁ。だが、

 そして俺はヒルベルトの体から落ちた非公理系の剣を掴み取った。

 俺の体が段々と永久の闇に呑まれていく。

 さあ、これで終わりや。

 終わりにしようか。

 天界の剣よ。

 全ての時間を、時を。

 すべて元通りにせよ!

 剣はギュルギュルと俺を飲み込んで行く。

 これで・・・、これで全てが終る・・・。

 そうこれで・・・。これでよかったんだ。

 天界の剣は優しい光で僕の体を呑み込んで行った。

 僕達の願いをかなえ、

 全てを元通りにするために・・・。


Another Ending

 あのあと僕は非公理系の剣との契約により、神とであった。神と言うのは世界の全てを作りしものに決まっている。やたらとフランクな神はそう僕に言った。だが、そうして未来は変わったmのだ。

「覚悟するんでいヒルベルト」

 関孝和が温泉の上に乗った神輿の上で叫んだ。

「覚悟しろヒルベルト」

 僕も負けじと神輿の下から叫んだ。

 僕の隣りには白いビキニを着たフェルマーちゃんが立っていた。

「覚悟しろ」

 かわいいよフェルマーちゃん! この水着にして正解だったな!

 最大音量で呟くフェルマーちゃんをチラリと見て僕はそう思った。

「男の正装はふんどしと相場が決まっているデス」

 エウクレイデスが叫んだ。18禁になるのは嫌だからな。

「きさま非公理系の剣をどこにやった!」

 ニュートンが叫んだ。

「ここさ」

 ヒルベルトはゆらりと腰から剣を引き抜く。

「僕の出番のようだな」

 僕もヒルベルトと同じように、腰から"非公理系の剣"を引き抜いた。

「な・・・なぜ"お前も"非公理系の剣を持っているのだ・・・? こ、この剣は、この世に二本と存在することを許されぬ神の剣の筈・・・」

 ヒルベルトは"慌てて"自分の剣に目を落とす。

 そう、それも紛れもなく本物の非公理系の剣。

 だが、この僕の持っている剣も、紛れもなく本物の非公理系の剣に違いない。

「非公理系の剣は二本存在しない、それは、それ自身の力が矛盾を引き起こすからだ! そして今、この二本の非公理系の剣には"以前"のような強力な力は残されていない!」

「な・・・なんだと」

 瞬間、関孝和の遮那の剣が、ヒルベルトのすぐ横をかすめる。

 ヒルベルトは吃驚して僕の方を見つめている。

 ヒルベルトの頬から汗が一筋流れ落ちる。

「もらった!」

「うぐぅ・・」

 低い悲鳴と共に、オイラーちゃんの大剣がヒルベルトの体を貫く。

「可憐に舞え」

 フェルマーちゃんの蝶がヒルベルトの体を宙へと浮かびあげる。

「これで終わりデス」

 エウクレイデスがヒルベルトの体を剣で叩き付けた。

 すかさず俺がヒルベルトに最後の一撃を加える。

「ぐふぅふぅかはぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」

 ヒルベルトは既に虫の息である。

「ヒルベルト」

 僕はヒルベルトに近寄った。

「ヒルベルトのやりたかったことはもうわかったよ。ヒルベルトは本物の男の子になりたかったんだろう? ほらちゃんとここにヒルベルト用の浴衣を用意しておいたよ」

 そう言って僕は用意していた男物の浴衣をヒルベルトに差し出した。

「さあ僕達と一緒に温泉に入ろう!」

 ヒルベルトの目から涙が零れ落ちる。

「そんな・・・。みんな私のことを分かっていたってこと・・・? 全部私の勘違いだったの・・・? それなのに、それなのに、私みんなに酷いことをしてしまった・・・」

「そんなことないよ! 今からやり直せば良いじゃないか」

「うん・・・でも・・・」

 さあ後は、あの装置を破壊すれば終わりだ。

 僕は非公理系の剣を振りかざし、装置に向かって真っ直ぐと振り下ろした・・・。

 カチン・・・。

 剣が跳ね返る音が虚しく空に反響した。

「えっ・・・?」

 僕の手から汗がだらだらと流れ落ちる。

「もう、その装置を止めることはできないの」

 ヒルベルトは泣きじゃくりながら叫んだ。

「そ、そんなー! なんてことぜよ!」

 関孝和が頭を抱える。

「くそっ!」

 ニュートンが悔しそうに舌を打った。

「もう終わりデス!」

 とエウクレイデスは大きく吼えた。

「まずい」

 胸の前でタオルを押さえて、フェルマーちゃんが呟いた。

 くそっ。こんなところで終ったしまうなんて・・・。

 だが、オイラーちゃんだけは違っていた。

「仕方ないわね」

 そう言ってオイラーちゃんはヒルベルトの非公理系の剣を拾い上げた。

 そしてコツンコツンと時の止まったビルに足音を響かせた。

「私の計算ではこうなるんじゃないかって思っていたわ」

 オイラーちゃんは僕の目の前で手を開いた。どうやら、僕の持っている剣を渡せと言っているらしい。

「私の名前を言って見なさい!」

 オイラーちゃんはそう叫んだ。

「レオンハルト・オイラー」

 僕の腕から剣がだらりとぶら下がる。

「もう一度!」

 オイラーちゃんの目に涙が見える。

「レオンハルト・オイラー」

 そんなのってあるかよ。

「もう一回!」

「レオンハルト・オイラー!」

「まだまだ」

「レオンハルト・オイラー! オイラー! オイラー! オイラー!」

 僕は狂ったように叫ぶ。

「そうよ私の名は数学天使オイラー!」

 オイラーちゃんは僕の手から優しく剣を奪い取った。

 そして。

 あの装置へと近づいていく。

「まさか!」

 ニュートンが叫んだ。

「オイラーはきっとあの剣で装置を消す気デス!」

 エウクレイデスが叫んだ。

「犠牲」

「そんなの嫌だ! 折角助かったと思ったのに・・・。一緒に過ごした楽しい日々はどうなるっていうんだよ! オイラーちゃーーーーーーーん!!!」

「みんな離れるんだ」

 ニュートンが僕の肩を叩いた。

「じゃあね。みんな」

 オイラーちゃんは笑って手を振った。

 目には大粒の涙が溜まっている。

 ちくしょう。

 なんてことだ。

 こうしてオイラーちゃんは異次元へと、僕達の世界から消えて行った・・・・。


 はずだった。

 そう感動の最終回である。

「おう。お前なんでここにいるんだよ」

「さあ」

 僕はピンクの水着できゃぴきゃぴ温泉につかっているオイラーちゃんの肩をつかんだ。

「なかよしデス」

 エウクレイデスがヒルベルトの隣りでカラオケを歌っている。カラオケって日本の文化だったらしいな。

「王手ぜよ」

 僕達が入っている温泉の横で、関孝和とニュートンが将棋を打っている。

「ふぅ」

 僕の向かい側にいるフェルマーちゃんが、水着姿で溜息をついた。

 彼女だけが僕のわびさびだった。

「・・・もう気付いているんでしょう?」

 唐突にオイラーちゃんは呟いた。

 真っ直ぐと前を向いたまま。

「・・・ああ・・・まあなんとなくな」

 僕も真っ直ぐとオイラーちゃんと同じ方向を向いていた。

「じゃあ言うけど・・・驚かないで聞いてくれる?」

「ああ」

 僕は生返事をした。

「アキラは最初から死んでいたのよ」

 そんなこと突然言われたら誰だって驚くわ。

 僕の腕はわなわなと震えていた。今までの僕の感じて違和感、疑念。

 これで全てのピースが埋った。

「あなた随分努力家だったようね。努力家で、勤勉で、そのうえ童貞でしかも仮性包茎。これで間違いないかしら」

「そんなことまで公表してくれるな、半分は僕の悪口じゃないか」

 僕はオイラーちゃんを睨みつけた。

「まあまあそう怒らないでよ。君が努力家であったことに対してこうして楽しい舞台、物語が用意されたわけじゃない」

 あの感動を返してくれと言いたい。

「まあ一応」

 とオイラーちゃんは先を続けた。

「あそこに階段があるでしょう。あれを上るとあなた天国に行くんだけど。あなたには選ぶ権利があるけど、どうする? まあ仮に行かなかったとしても私が無理やり連れて行くけどね」

 つまり、強制じゃねえか!

 確かにハーレムのようなものには入れたがな。

 世界の王にはなれてないじゃないか。

「それってわたしとフェルマーでは不満があるってこと?」

 くそっ・・・。こいつ心の中を読めるのか・・・。

「ないわよね」

 そう言ってオイラーちゃんはぷふーと温泉に鼻まで潜った。

 ああ。一体なんなんだろうな。

「アキラ、私の名前を言ってみなさい」

 突然オイラーちゃんが言った。

 ああ。もう終るのかな。

「レオンハルト・オイラー」

 そして僕は付け加えた。

「またの名を"数学天使オイラー"」

「おk」

 そう言ってオイラーちゃんは手でおおきなバツを作った。

「えっ? これで終わり?」

読み返した。

終わりが気に食わないけど、これはこのままでとっておこうかなと言うことで、なおさないことにしました。

マンホールのあたりくだりは伏線にしようと思って忘れて残りました。でもこれも、なおさないことにしました。

他にもあるけど、まあ数日で書いたものであまり惜しくもないので、なおすなら、小説読んで技術をとってくるか、次、書こうという発想だ。でゲソ。





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― 新着の感想 ―
[一言] 素敵な作品です。 数学の教科書に掲載したら、きっと皆の数学の成績が上がると思う。 勉強頑張ってください。
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