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黒鱗の狩人~龍人少女の狩猟日記~  作者: アルニクツエル
凍てつく北風の元へ

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9話:緊急依頼と冷えたマグマ

 俺が村に来ておよそ1か月が経過した。

 大型のモンスターが暴れるといった事も無く、穏やかに過ごせている。

 武器として大剣や片手剣を製造したり、腕部装着型のフックショットを内蔵した弾丸発射特殊武装ハンターショットも完成した。お陰で戦闘面ではかなりの成長をしたと言えるだろう。


 エリカちゃんへの授業も順調に進んでおり、今では低難易度の治療薬を作成できるようになった。

 おかげで多少治療薬は余裕が出た。自分で作るのは作成難易度の高い治療薬等だけだ。薬草畑との取引等の雑務等もエリカちゃんが行ってくれているのでかなり助かっている。


 そんな村での日常を楽しむ午後、私はセシリアによって集会場となっている村長宅に呼ばれた。

 呼ばれた理由はハンターとしてであり、依頼についてだろう……つまり。


「緊急依頼を出させていただきます」


 お茶を出された後、会議室となっている奥の部屋でセシリアにそう言われた。

 緊急依頼は基本的に断ることが出来ない。達成がどうしても困難な場合を除き、緊急依頼となる依頼の殆どの物は人命に関わる物だからだ。


「……お受けいたします。詳細な説明を」


「勿論です。月に一度やってきている商隊が昨日の夜、肉食の小型モンスタープラウレに襲われました」


 商隊やキャラバンが襲われるといった事は、別段珍しい事ではない。

 小型大型に関わらずだが、モンスターに遭遇する事はある。それに対して強烈なにおいを発する匂い玉等で撃退する事が多い。

 だが、その場所に留まる事があるのだ。そう言った場合はハンターが出動して討伐する。


「今回は普段とは違い、とどまっているようです。ただ……襲って来たプラウレはどうにも様子がおかしかったようでした」


「なるほど……では」


「はい、依頼内容は商隊を襲っているプラウレの討伐とプラウレが暴れる原因の調査となります」


 北部の森林地帯の奥部に生息する小型の肉食モンスタープラウレ。群れで行動し、奥部から出る事は殆どない。


「商隊が隣町へ戻る際に護衛を兼ねて同行し、現れるであろうプラウレを討伐してそのまま調査に入って下さい」


 護衛……ハンターはあまり護衛と言ったクエストを受けることは無い。ハンターは対人戦闘能力と他者を守る事に向いていない。

 俺はある程度補える能力を持っているが、普通のハンターなら難しいかもしれないな。


「了解よ。他にはある?」


「いえ、ありません。商隊が村を出るのは明後日ですので準備を」


「分かってるわ」



 村長の家を出て思考を巡らせる。

 幸い新しい装備は完成して既に装備している。だが、潤沢ではない。装備は摩耗し、強化にも素材は必要となる。

 プラウレは群れる。無論リーダー()となる個体が居る訳だがそう易々と討伐出来る訳ではない。


「鉱石採取に行こう。ついでに薬草採取もしておこうかな」


 薬草畑での回収も無限ではない。それは森の恵みもそうだが、ついでに採って行く分には良いだろう。


 村長の家の傍で待っていた八重に跨り、空を飛ぶ白蓮を呼び戻す。


「二人とも、外に出るわよ」


クル?(外?)


『今日は休みでは無かったのか?』


「やることが出来たのよ。南の鉱山に行くわ」


クル!(分かった!)


 行先を伝えれば八重はすぐに進んでくれる。賢いこの子は道順を覚えており村の中を迷うことなく進んでいく。

 白蓮も完全に言語を覚えたのか、送ってくる念話も流暢だ。



 八重に揺られる事数分。途中で薬草等を採取しつつ進み、鉱山に到着した。

 他のエリアと違い、さほど自然豊かな訳では無いがついでで集めるなら十分だろう。


 坑道の中を進み、大空洞に入る。大空洞は普段下の溶岩溜まりからの熱である程度温かいが、今日は様子が違った。

 かなりひんやりしているように感じる。明らかに気温が下がっている。


「もしかして溶岩溜まりが……?」


 八重を溶岩だまりに進ませ、バックパックから保険の水薬を取り出す。

 片手で水薬の蓋を外すとキュポンと言う気の抜けた音が聞こえ、中の水色の液体を一気に飲み込む。

 清涼感のあるミントとラムネの様な味が口内に広がる。薬効によって一気に体が冷え、体内に籠っていた熱が発散された。


「一応の保険だけど……まぁ、大丈夫でしょう」


 洞窟を下り、溶岩だまりに降りれば予想通りと言うべきか、いつもは見渡す限りが灼熱の溶岩の海だったがそれは鳴りを潜め、冷え固まっている。


「暗いわね……」


 光源となっていた溶岩が冷え固まっているのでかなり暗い。


『奥に宝石や変わった鉱石のある亀裂がある』


 上部を飛んでいた白蓮がそんな事を言って来た。ここからでは暗さも相まって見えない。


「それ……ほんと?」


『間違いない』


 なら……行くべきだ。現状の武器は全て鉱石をメインの素材にしている。強化には鉱石が必要となるし、狩猟銃は通常弾では碌なダメージソースにはならない。

 武器である双剣と大剣を置き、ピッケル三本を取り出して武器の代わりにマウントする。回収用の空のバックパックを1つ背負っておく。白蓮にも1つ持ってもらっておこう。


「八重はここで待っていて」


クルルゥ!(分かった!)


 ポーチからヒカリゴケの成分を抽出した蛍光液瓶を数本取り出し、一本を20m程先にほおり投げる。

 地面に叩きつけられた瓶がひび割れ、中の液体が辺りを照らす。液体が蒸発する様子も、冷え固まっておらず粘性をもっている様子もない。


「良し……」


 ランタンのスイッチを入れて灯りを灯し、少し深く息を吸い込み、一気に駆けだす。いつまでもこの状態が続くか分からないのだ。所々では溶岩が噴出しているのも見えるので急ぐべきだろう。

 高い身体能力や治癒力の向上を発揮するプラーナの力。身体能力の強化幅にも個人差があり、俺の場合速度型寄りのバランス型だ。スピードとパワーの比率が3/2と言ったところだな。


 一言で言えば足が速い。


 一瞬でトップギアに入り、弾丸のような速度で一直線に冷え固まった溶岩の上を進む。


「熱い……」


 薬で熱気には耐性を得ても踏みしめる地面は未だ灼熱であった。一歩踏みしめるごとに装備を突き抜けて熱が伝わる。

 今はそれを無視して白蓮の案内の元黒き地底を突き進む。ある程度進めば蛍光液を投げ、灯りを確保する。


 突き進むこと20秒程で目的の場所に到達できた。一段高くなっておりここならば熱や溶岩も一先ず問題ないだろう。

 この場所は様々な煌びやかな宝石の結晶塊や大型の水晶の他見たことのない鉱脈が奥に見える。

 瞬時に背負っていたバックパックを下ろし、ピッケルを両手と尻尾で持ち周囲の結晶塊をなるべく綺麗な形で壊れるように破壊していく。


「白蓮!手伝って!」


『了解』


 瞬時に命令を理解したのか周囲の結晶を破壊し、持って来ていたバックパックに入れていく。

 バックパックに入れるのを白蓮に任せ奥の亀裂行くと先ほどまであった宝石とも違う巨大な宝石塊や金属鉱脈があった。すぐさま両手と尻尾のピッケルでひたすらに採掘する。確認している暇はないので掘ることを優先する。時間がかかる金属鉱脈よりも宝石塊の採掘を優先して採掘しよう!


『主』


「氷ブレス!」


 火は持てなくなるしこちらも被害を受ける。水は流されてしまう。風は吹き飛ばされるし。雷も地面に吸われる。氷しかない!

 すぐに意図を理解した白蓮が一瞬のタメの後まるで機関銃のように氷弾を鉱脈に当てていく。

 その隙に散らばっている宝石や鉱石を回収してバックパックに入れる。


 ブレスが終わった瞬間すぐにピッケルを振るい、脆くなっている部分に一気に振り下ろす。

 次の瞬間尻尾で持っていたピッケルとひと際大きな宝石柱の根本からひと際大きな音が鳴った。


「もう!?」


 壊れたピッケルを捨て、抱える程大きな宝石柱を尻尾で壊れないように受け止める。

 かなり乱暴な使い方したとはいえ、これ程すぐにピッケルが壊れるとは思っていなかった。

 だが、まだピッケルは二本残っている!


「白蓮!エリアの様子は?」


『まだしばらく問題なし』


「様子が変化したら教えてちょうだい」


 これで粗方の宝石塊は破砕し終えたかな?転がっている宝石や鉱石の改修は白蓮に任せ採掘を続けよう。

 手に持っていたピッケルの片方を尻尾で持ち、体を回し、遠心力を乗せに乗せた尻尾のピッケルを鉱脈に叩きつける。

 腕一本のおよそ1.5倍の膂力を持つ尻尾の一撃は鉱脈の一部を破砕し、ボロボロと零れ落ちる。更に両手でピッケルを振り下ろし破砕を続ける。


「次にいつ来られるか分からないからね!」


 宝石や金属鉱石を手あたり次第に砕いて詰め込んでいく。宝石はアクセサリーに出来るし、材料によってはアレ(・・)の材料にもなる。


『主!地面が!』


「ッツ!早すぎるんじゃないかしら!?」


 まだ此処に来て少ししかたってないのに!

 白蓮が採掘した物を詰め込んでくれてるからすぐに動けるのは救いか。


 振り返って辺りを見渡すと周囲の至る所からマグマが吹き出して元のマグマ溜まりに戻ろうとしていた。

 一旦息を整えるついでに周囲の宝石や鉱物を尻尾と手で拾い集め、ついでにバックパックへ無理くりでも詰め込む。


ソレ(バックパック)はあなたが持ってて!」


『了解』


 息も整った。八重の待つ対岸へ全速力で走り出し、一気に危険地帯となっているこの場から離脱する。

 周囲や足元から湧き上がるマグマを瞬時に避け、駆け抜ける。行きはさほど時間がかかったような気はしなかったが今はとてつもなく時間がかかっているように感じる。


 半ばと言うところで大きな噴出が直ぐ近くで起きた。

 一気に周囲の温度が上昇し、薬の効果を上回って肌を焼く。加速度的にマグマの領域が増していきこのままでは到達する前にマグマがこの場を飲み込むかもしれない。

 方法を変えるべきだ……この場所は天井が高い。ハンターショットのフックショットでは届かないかもしれないのでこの択は最終手段だ。なら!


「白蓮!」


 更に速度を上げてギリギリまで走り、一気に跳躍し白蓮に掴まる。

 私が捕まったのを確認した白蓮は一気に風の力を上乗せして羽ばたき、一気に八重のところまでたどり着いた。


『疲労……』


「えぇ……本当に」


 スリル満点の全力疾走だった……二度とやりたくない。


「さぁ、今日はもう帰りましょう?薬草と鉱石は十二分に集まったわ」

 

 さぁ、帰ったら戦利品の確認ね。


宝石を粉砕してますが錬金術で元に戻せるので破壊してます

無論できる限り壊さないようにしてますし、多少のロスは出ますが時間ないので速度を重視してます。

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