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黒鱗の狩人~龍人少女の狩猟日記~  作者: アルニクツエル
凍てつく北風の元へ

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4話:マイホーム

 畑での依頼の詳細を終えて休憩所を出ればもう日が暮れて夕方となっていた。


「もうこんな時間ですね。ハンターさんの家に案内します」


「えぇ、お願い」


 畑を出て村に戻り大通りを進む、道中夕食の食材等を買うという寄り道しつつ歩く事十数分。中心部から遠すぎず近すぎない場所に俺の家はあった。


 走竜を停めて置ける場所のもあって小さいが庭もある二階建てだ。


「良い家ね」


「大通りにも程近くて庭付き二階建てですからね。リフォームこそしてますが折角ハンターさんが来てくださるなら良い家をと」


「気に入ったわ」


「では、私はここで。改めまして、よろしくお願いいたしますアルテイシアさん」


「こちらこそよろしくね、セシリア」


 握手を交わし、セシリアは去っていった。背を見送り家に入る。

 中に入ると荷台に乗せていた荷物が空きスペースに詰まれており、備え付けの家具の机と椅子の他調理用の窯がある。奥には空き部屋もあるようだ。


「そこは錬金術の部屋にしようかな。兜脱ぐから白蓮降りて」


 白蓮が机の上に飛び降りたのを確認してから兜を脱ぎ、白蓮の隣に置く。脱いだ際に乱れた髪を手櫛で整え、置かれていた姿見を見る。


「ほんと、我ながら面がいい」


 竜人族特有の爬虫類のような縦長の瞳孔のある青い瞳と頬の黒い鱗がアクセントになり、一種の芸術品の如き顔。見るものが見れば一目で分かる(・・・)その特徴。

 鏡を見る度に自分が異世界に転生し、自分が女性になったのだと思い知らされる。


「……さてと、夕食を作らなくちゃね」


 長い白銀の髪を後ろで縛り、持って来ていた木箱の中から幾つかの香辛料を取り出す。

 家に来るまでに買っておいた肉といくつかの野菜を取り出し炊事場に並べる。


 汲んであった水で野菜を綺麗に洗い、調理用のナイフで根野菜の皮をむく。


 国を出て一人暮らしをしてきたんだピーラーを使わずに皮を剝くのも慣れた物だ。


 葉野菜はちぎって皿に入れ、サラダにする。人参と大根に似た根野菜も細切りにして一緒に入れておく。


 買って来た肉の塊をステーキに食べる分としては二倍にカットして、片面を格子状に切り込みを入れて塩・胡椒・アルコの実(パプリカもどき)パウダー・ニンニクを始めとしたミックススパイスを振りかけて揉み込んでおく。


 弱火で熱したフライパンにバターを溶かし、スパイスを効かせたステーキ肉を乗せて焼いていく。

 火が通りすぎないように慎重に火加減と焼き加減を調整しベストのタイミングでステーキ皿の上に移し、二等分にする。

 断面を確認すると丁度いいミディアムレアとなっている。もう1つ皿を用意して切った片方をその皿にのせる。


 ステーキが出来上がったところでサラダに作り置きしていたオニオンドレッシングをかけてテーブルに並べる。


「昼も夜もステーキだけど……まぁ、いいでしょ」


 何も言わずとも白蓮は切り分けた片方を食べ始めている。


「おいしい?」


『美味』


「そ、良かった」


 ナイフで1口大に切り、頬張る。

 硬そうな肉だったので切り込みを入れたのが功を奏したのかあまり固くない。スパイスも良く効いていて我ながら上手く出来た。

 サラダは……特にコメントは無いかな、ただのサラダ。


 食事を終え、食器を綺麗に洗い終わったら荷解きを始める。


 狩猟道具の予備や整備道具の他、衣服や錬金術の道具等を運び込んでいく。

 寝具と言った家具等は備え付けられているのでさほど時間はかからず終わった。

 二階の一室を作業部屋兼仕事部屋にしよう。装備を脱ぎ、作業台の上に置いて置く。


「ちゃちゃっとお風呂済ませちゃおう」


 とはいえお風呂に入るには1度庭に出て井戸から水を汲まなければいけない。流石に装備を脱いだインナーを着てるとはいえ、ほぼ下着姿のまま外に出る気は無いので1度部屋着に着替えてから庭に出る。


 庭にある小さな井戸から桶に汲んで、家の風呂場に行き樽に入れていく。樽にある程度水が溜まったら白蓮を呼ぶ。


「それじゃ白蓮、炎のブレスをお願い」


『了承』


「樽が燃えないように気をつけてね」


 白蓮にブレスをしてもらい、水を温める。錬金術用で自作した温度計で時折温度計を測って適温になったら服を脱ぎ、白蓮から先に体を洗う。


「どこか痒い所とかある?」


『無』


 植物の根や果実で作った植物性洗剤で白蓮の全身を綺麗に磨く。こう言った洗剤等も自作出来るのは世界の小窓さまさまである。

 昔前世で手作り石鹸を作ろうって作ったのがこうして役立つとは……。


 自分の体も洗い終わったら樽風呂に入る。

 平均より小柄な私なら少し詰めれば一緒に白蓮とも入れる。


「ドラム缶風呂で思いついたけど。中々ね」


 水さえ用意出来るのなら大抵の場所でお風呂に入ることが出来ると言うのは魅力。近代に近いこの世界の技術でもおいそれとお風呂には入れない。特にこんな辺鄙な村では尚更(なおさら)


 お湯から上がり、綺麗に体を拭く。鱗や尻尾がある分かなり大変だ。


 髪も長いのでタオルを別で用意してよく水気を取る。いっそ切りたいが、とある女に「斬ったら近所の人が衛兵を呼ぶまで泣く」と脅されたので切れない……。


「そう言えば、あの子に何も言わずにこの村に来たけど……まぁ、大丈夫か」


 髪を拭きながらふと、白蓮の方を見ると自分の翼で自分を乾かしていた。それを見てアイデアが浮かぶ。


「ちょっと私に弱めの風ブレスして」


『?了承』


 ドライヤー代わりにはなるかと思ったけどめちゃくちゃ助かる。


『ジャーキー』


 くっ……だが、この快適さを知ってしまえばジャーキーは安い。


「後であげるから、もうちょっとお願いね」


『快諾』


 髪も乾いた所で白蓮にジャーキーを渡す。

 肉や香辛料の補充出来たから余裕がある時に作っておくとしよう。


 明日の為に二階に上がり、寝室に入る。

 ベッドと机と椅子だけのシンプルな部屋だ。シンプルすぎるこの部屋に、これから家具が増えていくだろう。

 少し早いが明日の為に早めに眠りにつくことにする。


「さて、明日から頑張ろう」

スパイスハーブは大抵物を何とか食えるようにできる。

時代背景が近代なので知識無双はできないんですけど快適にするくらいはできる。


走竜

地を走る事が特化した地竜種

走竜という種がいる訳では無い。

八重はククルセクと言う種だがパワーと知能に優れる。スピードは平均より少し遅い。

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