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黒鱗の狩人~龍人少女の狩猟日記~  作者: アルニクツエル
凍てつく北風の元へ

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37話:天晴を求めよ、滅地白天に女帝は眠る1

 俺達はつい先日やって来たあの天氷山の頂上に居る。無論目の前で眠る純白の真龍を屠る為だ。


 真龍……この星の絶対強者であらゆる生物種の頂点とされる存在。語り継がれる伝説であり……


「我々竜人族の祖」


 我々竜人族は真龍に起源を持ち、竜人族はその証拠として真龍の特徴を持つ。

 例えば耳の代わりとなる角、例えば6本の目の指と言える肘の距、例えば自由自在に操作できる尻尾、例えばそう……環境操作能力とか。

 多く特徴を持つ程真龍の血を色濃く受け継いでいるとされ、ほとんどの竜人族が1つか2つの特徴しか持たないが、数百年~数千年に1度多数特徴を持つ”女性”の竜人族が生まれる。


「その者は他種族では龍祖人と呼ばれ、龍教国では……龍姫巫女と呼ばれ神のように敬い崇められていた」


 星天の彗星(ラピスリメット)を尻尾で持ち、カーパイトとグラナークを引き抜く。


「そう私の……妾の事よ」


 妾が近づいてくる音で目覚め、首を持ち上げてこちらを一瞥した。

 右手で持つグラナークをスカーディレの頭へ向け、何時ものように宣誓する。いや、何時ものようにでは無いか。


「ここにはハンターとしてではなく、妾一個人として此処に宣誓するわ。龍姫巫女アールティリア・レジーナ・ゼレティエルが、この地の安寧の為氷天龍スカーディレを討滅する」


 プラーナを一気に開放し、一気に飛び出す。両足から嵐が自動的に巻き起こり、人外の膂力を生み出す。

 ここまではいつも通りの戦い方だ。だが、ここからは違う。


 全身の各所についているスラスターから炎が放出され、爆発的な推進力が生み出される。

 新しい防具ヘルメキュリシリーズの装備スキルの効果だ。破損したハンターショットの代わりに瞬間的な移動速度はかなり向上している。使い方次第では空中移動も可能だろう。

 今はまだ使い方に慣れてないから機動力補助として使っているが、それでも十分な力を発揮している。


 カーパイトの刀身の噴出口から同じように噴出した炎がさらなる加速を生み出し、そのままスカーディレの翼に直撃した。


 硬い……。


 かなり硬い。関節部分を狙ったのが、まともにダメージが通ったようには思えない。


 勢いは殺さずそのままグラナークを振りぬく。

 グラナークは言ってしまえばガスバーナーだ。刀身と言える部分は殆どなく、放出される超高温のプラズマが剣となる。


 目に見えるダメージを受けているようには見えないが、今は気にせず攻撃を続ける。


 尻尾の星天の彗星(ラピスリメット)がカーパイトとグラナークの連撃を受けた場所に直撃する。傷口に的確に命中したので、確認はしてないが星天の彗星(ラピスリメット)には光が灯っているだろう。

 俺の持ちうる中で何のリスクや溜めも無く放てる最大火力だ。これにはさすがに効いたようで、明らかに怯んだ。


 しかし、スカーディレも明確に俺の事を命を脅かす敵と認識した様で明らかに様子が変わった。

 明らかに冷気の放出が高まり、空を覆いつくすほどの氷の槍が現れた。


「嘘でしょ……」


 スカーディレの様子はまるであざ笑っているかのようだ。

 まるで「この程度さばけるだろう?」とでも言っているかのようだ。


 前の逃亡戦とは違う。逃げ場所は無いので正面から迎え撃たなければならない。


「はくれっ……」


 いや……この程度の攻撃を自力で防げなければきっと勝負の土台にも立てない。


「私の後ろに居なさい」


『……分かった』


 瞬時にカーパイトとグラナークを構える。手早くカーパイトに超硬質な合金を喰わせ、グラナークの出力をオーバーロードしてまるで大剣の如き長さとする。


「全て対処して見せる」


 こちらへ飛んでくる槍をカーパイトで弾き、巨大な氷塊をグラナークの炎で溶かし切る。

 処理しきれない分は星天の彗星(ラピスリメット)で受け止め、それでも間に合わなかった分は防具の防御性能で耐える。


 数秒か、十数秒かは分からないが振って来た氷は防ぎきった。肩で息をするが、一息毎に極低温の空気によって肺を焼かれるような痛みを味わう。

 ポーチから下位の回復薬を取り出して素早く飲み、空ビンを適当に投げ捨てる。


 攻撃の影響で氷の粉塵が周囲に散って周囲の様子が見えにくくなっているが、ドーム状だったこの場所は随分風通しが良くなっている。被害規模を考えればちょっとした天変地異と言えるだろう。


 空気が薄いが何とか息を整え、再度スカーディレに向き直る。

 オーバーヒートしているグラナークを収め、ボロボロになっているカーパイトの刃を破棄して再度インゴットを喰わせる。


 加工性を無視した硬質合金だがあまり量は持って来ていない。重量もあるし、かさばるからだ。

 結論から言えば3本しかない。もう既に2本目なので残りは1本……本来耐久性の面で見ればかなりの物のはずが、まるで使い捨てだ。


「やっぱり……想像とは全く違うわね」


 スカーディレは空中に居るが、異様な光景だ。翼は一切動かさず一切羽ばたく様子も無い、空を掴む様に空中に翼を広げて留まっている。


「飛竜種ですらもう少し生物らしい跳び方するわよ」


 あんな飛び方するなら機動性は高くないんだろう。その代わり空中で踏ん張れるという利点はあるか。


 胸の前で両手をかざし、銀煌の緋炎を起動する。

 空を飛ぶというならこちらも空を飛ぼう。これでも空中戦の練習はしてきた、それにブレスなどの飛び道具は接近すれば怖くない。


 プラーナを使った跳躍と全身の各所の噴出口から放出される炎で砲弾のように飛び上がる。

 

 カーパイトが火を吐き、スカーディレの純白の翼を切り裂く。そのまま回転を利用して尻尾の星天の彗星(ラピスリメット)で同じ場所を切り裂き傷口を広げる。

 大剣状態の星天の彗星(ラピスリメット)に星が灯った。翼へ食らわせた時に灯った分を合わせて2つ、最大で6つまでチャージ出来るので後4回的確な攻撃(クリティカル)を出せば装備スキルで身体能力の強化が出来る。


 翼を斬り落とせば空中戦はできないだろう。銀煌の緋炎の効果時間5分……残り約4分間で出せる最大火力をもってその堅牢そうな翼を斬り落とし制空権を取る。


「その翼切り落としてあげる!地に足着けて勝負しましょ!?」

この主人公が実家を家出している訳だが、これを分かりやすくすると。

軽い気持ちでルンルンで護衛も付けず出歩く天皇陛下が急にマタギになった。なお、人間宣言前かつ実際に神の血が混ざっているものとする。

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