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黒鱗の狩人~龍人少女の狩猟日記~  作者: アルニクツエル
凍てつく北風の元へ

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32/41

32話:武装更新

 フォルマグラ鉱山都市は中規模の都市であり、鍛冶の工房は小さい物を合わせれば両の手では足りない程の数がある。

 だが、鉱人族の鍛冶屋は存在しない。他の鉱山都市でも数件ある程度なのでなくても不思議はない。


 そもそも鉱人族は少なく、大きな街に数人居ればいい方だろう。竜人族なんてもっと見ないがな。


 俺達はこの街で一番大きな鍛冶屋の炉の前に居る。

 すぐ横には保存液に浸かったグラウマグナクの素材が山ほどあり、それらは加工される時を待っている状態だ。

 そして少し離れた所からは多くの鍛冶師がこちらの様子を見学している。


「改めて確認するぞ?武器は片手剣を2本を新造し未天の埋星(ケレベスタ)と防具の進化で良いんだな?」


「えぇ、間違いないわ」


「防具の件……良いのか?」


「どうせずっと隠し通しては置けないもの。構わないわ」


「そうか……観客は多いが真龍にも届きうる装備を作ってやる」


 いつも使っているハンマーを俺に向け、おやっさんはそう言い切った。


「期待してる」


「おう!……んで、未天の埋星(ケレベスタ)についてだが、進化に使う素材は決まったか?」


「決まってるわ。蛇尾竜の蛇刃尾・氷纏鎧獣の腕・溶鱗竜の逆鱗・ドラゴンスケールクリスタライトでお願い」


「十分だ。……今回はおひいさまは他にやることがあるだろ?邪魔になるし行きな」


「じゃあせめてこれでも飲んで頂戴」


「いつもの疲れねぇ薬か、助かる」


 流石に俺程度の技術力では本気の職人の仕事の邪魔になってしまうのだろう。スタミナ消費を軽減する錬金薬を数本わたす程度しか力にはなれない。


「よろしくお願いね」


「任せろって」


 見学者を通り抜け、買い出しの為外へ出る。

 本当は見学していたいがそう言う訳にも行かない。帰る為の調達等もあるし、荷物の積み込みなんかもある。そして何より戦力アップが必要だ。


「一番はアクセサリーだけど……」


 今持っているアクセサリーは大乱風の足環と銀煌の緋妖精だが、どちらも機動性の向上や拡張を行う物だ。

 言ってしまえば決定打にはならない。手数が武器のハンターの弱点とも言える硬質な相手はある種答えがある。

 間接などの装甲の隙間や、複数回同じ個所へ攻撃して傷を作ると言った方法だ。


 俺の様なバランス型、しかも中途半端にスピードやパワーにプラーナのタイプが寄っている者は特化している者と違って、器用貧乏になりやすい。


 特化しているハンターはそれはそれとして弱点はあるがな。

 

 アクセサリーばかりに頼るのも健全とは言い難いけど……。


「まぁ……出たとこ勝負ね」


 悩んだところでどうしようもない。可能な限り準備するだけだ。





 食料、グラウマグナクの素材、おやっさんと俺の荷物の積み込みは終わった。宿も引き払ったしギルドへの挨拶も済ませてある。

 グラウマグナクの素材はまだ大量に残っているがギルドに預ける形にしておいた。預けておくにも金は掛かるが持って歩くわけにはいかないからな。


 鍛冶屋の前に着いたがおやっさんはまだ終わってないらしい。装備一式を作るなら相応の時間がかかるのだから当然だろう。


「せっかくだし、やれる事をやりましょうか」


 待っている間手持無沙汰なので採掘した宝石を1つ取り出す。

 源石の時点で太陽などに翳さずとも淡く光を放つ宝石。結晶の中を覗けばスパークする稲妻が、かつて存在した雷が見える。


 ちゃんとした設備や器具がある訳では無いので形を整える程度だが、暇つぶしにはいいだろう。

 棒ヤスリで原石を丁寧に削る。マーキスカットって言ったかな?なるべく輝きを生かしたいから18面体に削る。


 大型の結晶なのでこれ1つでこぶし大の大きさがある。そう簡単に割れたりはしないと分かっていても大型の宝石を削るときは心臓に悪い。


 少しずつ丁寧にヤスリをかけ、形を整えていく。世界の小窓を活用して削りすぎや比率の狂い等を常に確認する。

 ここでのカットの良し悪しに応じてアクセサリーにした際の完成度が変わってくる。完成度が変われば装備スキルの効能も変わってくるのだ。

 なぜ装備スキルの完成度が変わるのかは分からないが、色々試した結果なので確証は高いよって手は抜けない。


「おう、終わったぞ」


「わぁ!?びっくりした!」

 

「ちゃんと切りがよさそうなところまで待ったんだぞ?」


「……早かったわね」


「これでも遅いくらいだ。耄碌したもんよ!」


 そう言って歯を見せながらニカッっと笑うおやっさんは抱える程大きな木箱を荷車に乗せた。


「今武器を運んでもらってる。片手剣はともかく大剣は重くてな」


 そうしておやっさんは親指で後ろを指す。


「間違いなく最高傑作だ。おひいさまに使えるかな?」


「へぇ?見せてもらいましょうか」


 手に持っていたコロフィスサファイア大結晶とヤスリをしまい、荷車から飛び降りる。

 外套を脱ぎ、二人がかりで運ばれてくる剣を迎える。


「銘は星天の彗星(ラピスリメット)だ」


 背丈ほどある漆黒の剣を受け取り、手触りや扱えるかを確認する。


名称:星天の彗星(ラピスリメット)

分類:大剣・槍

ランク:Ⅲ

物理攻撃力:220/165

属性攻撃力:0/80

装備スキル

二律背伸:剣を伸ばすことが可能で火属性と氷属性両方の属性を持つ。伸ばした際には武器種が変わり槍となる。

巨星に至る星:大剣状態で的確な攻撃(クリティカル)を行った際、星が輝き次々輝く。槍の状態に形態変化した際に溜まっていた属性エネルギーを■■エネルギーとして使用者に付加する事で身体能力を一定時間強化する。

何時か届きし星:槍状態で的確な攻撃(クリティカル)を行った際、星が輝き次々輝く。大剣の状態に形態変化した際に溜まっていた属性エネルギーを開放する。

黒き刀身に虹色の水晶が埋め込まれており、属性エネルギーが溜まる事で天上の星座のようになる。

蛇尾竜の蛇刃尾・氷纏鎧獣の腕・溶鱗竜の逆鱗・ドラゴンスケールクリスタライトをメインに使用しそれぞれの性質を引き継いだ武器。

使用傾向から高威力とリーチを重視している事が分かっているのでそれらが反映されている。使用者の”特性”を理解している製作者が扱えると踏んで複数のギミックを仕込んだ。

それは未だ星にあらず。されどいつか巨星となるだろう。

さすれば己が溶け落ちようと、砕けようと、進まねばならない。

汝は星の輝く天おいて彗星の如し。



「どうした。やっぱり無理か?」


「いいえ……大丈夫よ」


 確かに重く、重厚だが、この程度扱えなければ真龍に挑むことなどできない。

 尻尾で巻き取り、さらなる武器を受け取る。


「グラウマグナクの素材を使った二振りの片手剣だが、どちらも変わり種にしておいた」


名称:カーパイト

分類:片手剣

ランク:Ⅲ

物理攻撃力:100

属性攻撃力:70

装備スキル:噴溶炎翼:溶岩を噴出する事で冷え固まった刃と炎の噴出で加速させることが出来る

グラウマグナクの尻尾と溶泳翼をメインに使った片手剣

基礎の刀身でも十分強力だが鉱石や合金を消費する事で強靭な刃となる。


名称:グラナーク

分類:片手剣

ランク:Ⅲ

物理攻撃力:0

属性攻撃力:300

装備スキル:噴炎刃:高出力の炎か溶岩の刃が焼き切るが物理攻撃力がない

グラウマグナクの噴出口と溶炎袋をメインに使った片手剣

刀身は無く、噴出するプラズマが刀身となる。

扱いにくいが強力な火属性の剣


 カーパイトはまぁ、分からなくはない。超高熱の剣という事なんだろう。合金を用意すれば強力な使い捨ての刃にもなる。

 だがグラナーク……ラ〇トセーバーかよ。どちらも扱いの難しそうな武器だが強力な武器と言うのもその通りだな。


「防具についてもだけど……調整はながらで済ませましょう」


「分かっとる。本来の予定よりも遅れておるからな」


「えぇ。急ぎましょう」

装備更新回……

制作時間が早い?おやっさんが頑張ったのよ。

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