27話:黒曜を砕き、紅蓮を晒せ1
翌日、俺はフォルマグラ火山の中に来ていた。無論目的はグラウマグナクの狩猟の為だ。
出来る限りの準備はした。この世界はゲームのように見えてもゲームじゃない。死んだらそこで終わり、リスポーンもコンテニュー存在しない。
「指輪があってもすごい熱気……」
フォルマグラ火山は上層・中層・下層に分かれている。全ての階層を貫通するように火口の大きな穴があり、下層は今でもマグマの沸き立つ灼熱のエリアだ。
入り口となるエリア2は上層と中層の間であり中層の安全の確保されているエリアだ。採掘しつくされ、鉱石も大したものは無いとされている。今ではこのエリア2も危険なエリアだ。
中央の火口から飛び降り、白蓮の足に掴まって階層をショートカットする。
事前にグラウマグナクの所在位置は聞いているので目標の階層へ一直線に向かう。
目的地は中層エリア3だ、1つ下の階層で一般人が入れる一般エリアの中でも鉱石採掘の場所としては、多様な鉱石を採掘できるため一番人気が高い。
本来グラウマグナクは下層エリアにいて中層以上に上がってくることは無い。仮に上がってきてもそう時間を置かず下層へと帰っていく。理由は単純で食料がないと言うのと、グラウマグナクの特性のせいだ。
数百メートル程火口を降りて中層エリア3の横穴に入る。そのまま鉱石採掘用の横穴を進み、大きな空間に出る。
「いた……」
全長は18m程の翼のある地竜種。まるで魚や水竜種の様なヒレの様な大きな翼が目立つ。
所々に管があり、そこからガスか何かが漏れ出ている。そして冷え固まった溶岩がまるで鎧のように張り付いている。
「行くわよ白蓮」
『了解した』
「フォルマグラ火山の正常化とモンスター素材納品の為グラウマグナクの狩猟を行います」
意識を切り替え、武器を抜く。氷纏刃を大剣状態に変化させ、未天の埋星を尻尾で横薙ぎに構える。
プラーナを一気に開放し、グラウマグナクに迫る。気づかれない内に一気に接近しヒレの様な巨大な翼に挟み込むように未天の埋星と氷纏刃で斬りつける。
冷えた溶岩の鎧が破壊され、的確に2つの大剣が左翼を打ち据え、切断とはいかなかったが少なくないダメージを与えた。
「そう易々とはいかないわね」
今回の狩猟は監視されている。致し方ないとはいえ一部のアクセサリーが使えない。特に銀煌の緋妖精は派手な為使用できない。大乱風の足環でギリギリセーフと言った所か。
幸い広いとはいえこの閉鎖空間では飛行能力は腐るのでマシだろう。フックショットで十分代用できるはずだ。
氷纏刃を2つに分け双剣状態にする。未天の埋星をついでのように足へ切り払う。
「やはりタフね」
溶岩の鎧が薄い二ヵ所を斬った感触としては。マグマの鎧は一定ダメージカット、そもそもの鱗や甲殻を含めた肉質は金属の塊を斬りつけているかのような硬さ。筋肉はそれほどでもないがそこにたどり着くまでが遠い。骨も頑強だし衝撃が伝わってる様子はあまり無い。
こちらに明確に敵意を向けたグラウマグナクは、体中の管をまるで戦闘機のエンジンのように炎を吐きだし、高速で動き始めた。見た目に似合わぬ高速移動をし、中心部の空洞を含めて1kmはあるこのエリアを縦横無尽に移動する。
「その見た目と防御力で高機動とか嘘でしょう?」
無理に追わず相手の動きを見る。無駄に追いかけて体力を消耗する必要はない。
武器を構えたまま様子を見ているとグラウマグナクの様子に変化がある。距離を置いたグラウマグナクはこちらに向け少しのタメの後口を開く。
「ブレス!」
瞬時に横へ飛び飛来してきた巨大な溶岩を避ける。更にもう一発飛んでくるのを確認し、大きくバックステップを取って躱す。
追撃の気配がありそうだったが白蓮が氷のブレスを放ちブレスをキャンセルさせた。
溶岩の最大発射可能数は3発と言った所か。まだ撃てる可能性はあるが無尽蔵と言う訳では無いはずだ。溶岩は一度体内に溶岩そのものか溶岩の元となる物を入れる必要があるだろう。
それに少しタメがあったのでそれを警戒しておけばある程度余裕をもって回避できるはずだ。
流石に慎重にならざるを得ない。溶岩弾は人間一人くらい易々と殺せそうな威力だ。それに一度でも喰らえば粘性も相まって身動きは取りにくそうだし、躱しても周囲に飛び散ってそれも軽いダメージになる。
氷纏の効果を全力で使用しても防げるのは精々1度と言った所か。剣による受け流しも半分液体の様な溶岩相手には意味がない。
「基本方針としては様子見……攻撃パターンを読むの事を優先する。攻勢に転じるのは最低でも隙を見せた時か攻撃をある程度読み切った時」
今は双剣よりも大剣の方が良いな。大剣状態の氷纏刃は刀身を飛ばす遠距離攻撃が出来るし、その大きな刀身を盾に出来るだろう。それに隙を見つけて一撃入れるなら大きな一撃の方が良い。さらに言えば大剣2本でガードすれば、強力な一撃も防げる。全力で守りを固めれば溶岩弾2撃は防げるだろう。
大剣状態にした氷纏刃を一度片手で持ち、右腕のハンターショットに装填されていた貫通弾をグラウマグナクに撃ち込む。貫通弾といってもあの金属のような肉質相手には通常弾のような物だ。それでも無いよりはましだが。
普段左腕に装着しているハンターショットには散弾をセットしているが、貫通弾でやっと通用する程度だ。今回は貫通弾に変えておこう。
「白蓮、ブレスは光を使用して」
火と氷は相反する属性だ。氷をぶつければ確かに効くが、こちらが相手の火属性を上回れるだけの氷属性を使えなければ無意味となる。生半可な氷属性なら別の属性で攻撃した方がストレートにダメージは通るだろう。雷属性も悪くないが……ちょっと案があるからそれにはちょっと不都合だ。
再度放たれた溶岩弾のブレスを躱し、グラウマグナクへ近づく。
いろいろ考えたが結局ブレスは放たれなきゃ怖くない。遠距離攻撃として脅威だが、当たらなければ0ダメージだ。
「張り付けば関係ないでしょ?」
うまく行けばいいけど……。
モンスターには肉質があり、高質な部位を攻撃する際はそれを上回る攻撃力が必要となる。
ちなみにグラウマグナクの翼の肉質は90溶岩の鎧で更に10されてる




