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黒鱗の狩人~龍人少女の狩猟日記~  作者: アルニクツエル
凍てつく北風の元へ

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2話:チェレム村

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 今回俺が赴任する事となったチェレム村、穀倉地帯で農業を行う者達が作り上げた大陸の東の端に位置する小規模な村だ。


 閉まっていた門が開き、村の中に入ると村人が集まっていた。

 竜車を止め八重を軽く労い、竜車を降りる。白蓮が付いて来るので尻尾ですくい上げる。


 降りて進めば初老の男が一人出てきた。恐らく、彼が村長なのだろう。


「初めましてハンター様、ようこそチェレム村へ」


「初めまして、ドラウドラギルドより参りました。ハンターのアルテイシアです」


「良かった、間違えていたらどうしようかと思いましたが恥をかかずに済みましたな。説明などがありますのでまずは私の家へお越しください。荷物などは運ばせておきましょう」


「分かりました、よろしくお願いいたします」


 案内されるままについて行く。道中村の様子を見るとなかなか賑わっているように見える。何も無いと村長は言っていたが雑貨屋や飯屋等があり麦の買い付けに来た行商の者も見える。


 しばらく村長について行くと大きな家が見えて来た。おそらく集会所も兼ねているのか1階が広く、受付の様になっていた。


「つい先月に改築しましてね、孫娘がハンターズギルドの職員試験に合格したのを機にこの村にハンター様を招こうと言う話になり、我が家がああなった訳です」


 ハンターズギルドと言うのは言うなれば公務員だ。俺も所属してるし公務員と言えるが職員試験は全く違う。俺が警察官なら村長の孫娘は市役所の受付と言った所か。相当勉強を頑張ったらしい。


「ご期待に添えるように頑張らせて貰いましょう」


「期待しております」


 中に案内されると村民受付と書かれた看板が吊り下がっている受付があった。


「ここがクエストカウンターです。普段は村人達の事務手続き等も行っております」


「なるほど、分かりました」


 受付には同年代の女の子が座っていた。こちらに気づいたようでカウンターを出てこちらに向かってくる。


「紹介致します。孫娘のセシリアです」


「紹介にあずかりましたセシリアです。これからよろしくお願いいたします。ハンターさん」


「よろしくセシリア。私はアルテイシアよ」


 そういえばなんで女の子らしい言葉使いなのかと言えば。男言葉で話せば変な顔されるだろうし顔と声に合わなすぎるから……矯正されたとも言う。


 握手の為手を差し出すとちゃんと返してくれる。礼儀正しいいい子だ。


「先ずは依頼に関してお話しましょう。正面からみて右のボードに依頼が貼られています。もう既に幾つかは貼られていますね。緊急性の高い依頼……例えば行商の方が襲われたとか、大型のモンスターが現れた等は規定通りこちらから連絡させていただきます」


 ボードには既に数枚のクエストが貼られている。軽く覗いて見ると素材を取ってきて欲しいとか採取のため周囲のモンスターを討伐してくれと言った依頼が貼られていた。


「私は仕事がありますのでここで。後はセシリアがやってくれるはずです」


 そう言って村長は部屋を出ていった。そのままセシリアに集会所での依頼に関してや支給品について説明を受けた。


「このまま村の案内をしてもよろしいですか?」


 一通りの説明を終えた所でセシリアにその様に提案される。村の案内は彼女の業務とは違うが彼女はこの村の一員であり新たに村の一員となる俺への配慮だろう。


「えぇ、是非」


「はい、お任せください!」


 村の案内もハンターとして関わり深い場所から案内される事となった。

 ハンターが一番関わり深い場所と言えば……。


「ここが村で唯一の鍛冶屋です」


 そう、鍛冶屋だ。

 装備の生産や整備を依頼する事となる鍛冶屋はハンターがニ番目に通う場所だ。

 店の外に居る段階で金属を打つリズミカルな音色が聞こえてくる。きっと今も作業中なのだろう。


「腕は保証しますよ。なんてたって鉱人族の鍛冶屋ですから」


「それは凄い。王都でしか見たことないわね」


 鉱人族と言うのは分かりやすく言えばドワーフに近く短足短腕短躯の腕や足が鉱石で出来た種族だ。

 鉱物は勿論モンスター素材や地質に対する理解等がずば抜けた種族で、彼らが作り出す品はどれもが格別の品と言える。

 ちなみに王都に居る鉱人族の鍛冶屋は一見さんお断りで紹介が無ければ入店すら出来ない。


「ではどうぞ中へ」


「えぇ」


 中に入ると鎧を着ていてもむせ返るほどの熱気を感じる。金勘定をする為のテーブル以外は全て鍛冶に必要なだけの物。奥ののれんの向こうには生活スペースはあるだろうがそれでも外から見た建物の殆どが鍛冶スペースだ。

 奥で黄色に近いオレンジに熱された金属をひたすらに叩いている一人の鉱人族の男がいた。彼はこちらを一瞥するもそのまま槌を振り続けた。


「おやっさ…」


 セシリアが声を掛けるのを手で制し首を振る。

 職人が集中しているんだ、ここは区切りがいい所まで待つべきだろう。

 数分か数十分かそのまま待っていると一段落させた彼は水を飲みながらこちらにやって来た。


「待たせちまったな」


「いえ、良いものを見させて頂きました」


「そうかい。ヴォルフだ、おやっさんなんて呼ばれてるが好きに呼んでくれ」


「ハンターのアステイシアです。これからよろしくお願いします。こっちは飛竜の白蓮」


 握手を交わすと何故か離してくれない。

 少ししてから手を離され、ニカッと笑う。


「新米と聞いてたがなかなかだな、薬も良いの作れるだろ?」


「驚きました、なぜ分かったのですか?」


「体付きと手を握ればそいつがどう言う奴かは大体わかる。俺たち鉱人族なら近い事出来る奴は多いと思うぜ。俺はそれがちょっと得意でね」


「怖いお人だ」


「お互い様だぜ全く……」


「おやっさん、今日は挨拶回りと言うか村の案内で来てるんですけどアステイシアさんに依頼したい事はありますか?」


 セシリアにそう聞かれたおやっさんは「そういやあるな」と後ろ手に親指で炉をさしながらこう言った。


「実はハンター用の武器を作る為の鉱物があまり無くてな。炉も出来れば所々ダメな所を修理したり改造したい。てなわけで鉱石をできるだけ沢山取ってきてくれ。ついでに自分で希少な鉱石を持ってきてくれればそれを使って武器も作れるし割引も出来るしな」


 ハンターが使う武器は普通の鉄ではせいぜい初心者が扱う武器にしかならない。強くなるには強力な装備が必要で強力な装備には良い素材が必要という訳だ。


「断る理由はありませんね。是非とも」


「じゃあよろしく頼む。ちゃんと金は出すから安心しな。良いものが手に入ったらボーナスもな」


「お金はいくらあっても足りませんからね。助かります」


「おうおう、駆け出しなんて金無いもんよ」


 おやっさんの好意に感謝し、店を出る。日が高い所にあり、もうお昼頃だ。


「そろそろお昼にしませんか?料理屋に案内しますよ」


「えぇ、お腹空いてたの」


「では早く行きましょう!」

この世界にはいろいろな種族が居ます。

只人ただびと・竜人族・獣人族・鉱人族

只人以外は種族スキルがありますが、身体的な欠点を持ちます。鉱人族なら短足短腕短躯の腕や足などですね。

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