表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒鱗の狩人~龍人少女の狩猟日記~  作者: アルニクツエル
凍てつく北風の元へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/41

16話:北部異常調査

 根本的な話だがモンスターの影響で環境が変わる事は多くある。

 例えば火属性飛竜種がやってきてブレスを放って火事になると言う例だ。人間だって火の不始末で火事を起こすのだから森が火事になる事もある。この世界の樹木は結構耐火性が高いのであまりないが。


 ここで属性という物を纏めておこう。物理・火・氷・雷・光が基本的な属性となる。物理的な干渉全般を物理とする。例えば岩や風を操作するのも物理だ。火は熱量の増加だ、火のブレスや物体の過熱がこれだな。氷は逆に熱量の減退、凍結や運動エネルギーの減衰すら可能にするモンスターもいる。雷は電気等を操り、落雷や分解すら行う。光は光子に関する属性で光の収束、発散、遮断など様々な力を持つ。


 なお属性は俺が世界の小窓を活用して定義している。実はもう1つ属性があるがこれは特定のモンスターしか使わないので置いておく。


「冷えるな……」


 俺は八重に跨り森を北上している。日々気温は下がり、今では気温10度前後と言ったところか。北上する度気温はさらに下がっておりまるで冷蔵庫の中にいるようだ。


 プラウレドンの素材を使った装備一式を身に纏い、北部森林地帯の先に存在する山脈地帯へ向かっている。正確にはその中で一番標高の高い天氷山だ。

 滅多に人が踏み入る事のない森の奥は岩石地帯が広がり、さらにその先には天を突く山々が広がっている。中でも天氷山は大陸全土を見渡しても1,2を争う程高い山だ。常に雪がかかっており、山のシルエットも鋭角的な為登るのは難しいだろう。それでなくとも周囲にはモンスターが生息しているので人類の未踏破領域の1つに数えられている。

 生態系としてはあまり豊かでは無く、山間部や寒冷地に住まうモンスターが居る程度だ。過酷な環境と聞いているので適応した種だけがいるのだろう。


 森の中間地点の大樹に着いたところで一度八重に防寒具を被せておく。白蓮も勿論連れてきているがあの子は心配ない。多分永久凍土でものほほんとしてると思う。


「寒くない?」


クルゥ!(平気!)


「そう、でもこれ一応飲んでおいて」


 体温を上げて体が冷えるのを防止する錬金薬を二本取り出し1本を八重に飲ませ1本を自分で飲む。

 即効性は無いが後からホカホカしてくるはずだ。因みに材料は虫のエキスとかである。


 この大樹の上はセーフハウスになっており、各種錬金薬や備蓄食料などが備えられている。セーフハウスからロープがおりており、エレベーターとなるので八重も上に連れていける。

 荷台の大量に作っておいた寒冷地対策の錬金薬を運び込み、古い物と新しいものを交換し、悪くなっている物は破棄する。今処分できる物は処理してしまう。例えば保存食等だな。


 諸々の運び込みなどが終われば一息つく。干した果物をいくつか取り出しツリーハウスから北部を見る。

 空気が澄んでおり、雲も無い快晴だ。天氷山がはっきり見える。


「まさか……ね」


 フリーズドライのライラの実を齧り、天氷山の天辺を見る。奪われる口内の水分を水筒の水で潤し、思考に耽る。


 龍脈と言うのは簡単に言えばエネルギー流路だ。ちょっと特殊なエネルギーだがそこは置いておく。血管とも言えるもので心臓と言える惑星の中心から地表の各所に伸びて、そこから根を張るように地上の各地に伸びている。

 人体や機械に異常が発生するように龍脈も異常が発生する。とは言えそうある事ではない。小さい異常は自然に治るし大きい物はそもそも百年単位だ。

 仮に起きたとすれば前兆がある。仮に今回の気温低下が龍脈の異常であればこれ以上の何かが発生するという事だな。


 休息もそこそこに荷物を纏めて地上へ降りる。ついでに余ったフリーズドライの果実を白蓮と八重にも食べさせてやる。

 地上に降りてエレベーターを上にあげておく。垂れているロープは地面の杭へ。


 地面に手を当てて意識を集中する。龍脈の異変を確認するが異常は無い。世界の小窓は使えないので経験でしか言えないが間違いないだろう。


「進みましょうか」


クルゥ!(分かった!)


『了解した』


 八重に跨り森を駆ける。今装備しているプラウレドンの防具は氷属性に対してはあまりよろしくない。別に余計寒く感じるとかでは無いがこのまま氷属性を使うモンスターとの戦闘に挑むには対策が必要だろう。折角作って貰ったんだがタイミングが悪いというか……。運動性能を高めてくれる装備なのでやれなくは無いとは思うが。


 森を抜け岩石地帯に着く。背丈よりも数倍は大きい岩やサッカーボール程の岩がそこら中に転がっている。元々プラウレドンやオーアイーターと言う鉱物食の甲虫種が見られたが、今はそんな影は見られない。

 岩々を抜け、先に進む。冷気が肌を刺し、岩々の間を駆け抜ける風はまるで極寒の吹雪だ。

 異変が発生したのは岩場を抜けた時だった。岩石地帯を抜け、周囲が少し開けた途端尋常ではない冷気を浴びた。


「くっ……」


 すぐに引き返し八重を岩石地帯を引き返し、大きめの岩場に隠す。

 携帯している焚火台を設置して火を起こす。八重を温めさせておく。保険にもう一度錬金薬を飲ませ、自分ももう一本飲む。


 もう一度、今度は一人で先に進む。異様なこの冷気は温度計を見る限り-15度を指している。寒冷地の真冬の風を浴びているようなものだな。

 周囲を確認するが今の所寒冷地に生息するモンスターが複数みられるくらいだ。何もないのかと別の場所に向かったところで周囲に冷気をまき散らす存在を発見した。


センヒョウコウ(氷纏鎧獣)!」


 寒冷地に主に生息し、標高の高い山岳部の積雪の多い場所にも見られる中型モンスターだ。不溶氷と言う解けない氷を生み出し、身に纏う。不溶氷は厳密には溶けるらしいが火竜のブレスを直撃しても全然溶けないらしい。


 問題はこいつが村に向かって進んでるってことだ。最低でも環境破壊は進み、最悪このまま村に襲撃するかもしれない。何せこちら側は森を抜ければ畑と村しかない。


「……現状では討伐は無理ね」


 正直対冷気対策は足りていない。冷凍庫の中が冷蔵庫の中になったところで寒いのは変わらない。このまま戦えば八重が凍えると言うのもある。引いて万全の準備で挑むべきだ。


「帰りましょう」


 俺は踵を返し、八重の元まで戻って帰路に就く事となった。

オーアイーター

岩場によく居る甲虫種で強靭で大きな顎が特徴的な虫。

鉱物を喰らう鉱物食でその顎は武器や防具にもよく使われる


プラウレドンシリーズの基本スペックと装備スキル

ランク:Ⅱ

平均物理防御力:40

火属性防御力:10

氷属性防御力:-5

雷属性防御力:10

光属性防御力:5

装備スキル

頭:視界範囲拡大:周囲を見やすい

胸・腕・腰:運動性能強化(小):運動性能を補助する力があり通常以上に動ける

足:回避距離(中):瞬発力を補助する力があり通常以上に動ける

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ