13話:ホップ!ステップ!スラッシュ!上
翌日、俺は八重に繋げる荷台へ予備の治療薬や弾薬の運び込みをしていた。
中型以上のモンスターは相応に時間がかかる。大型モンスターならば昼から戦い始めて夜までかかる事すらある。消耗品は勿論の事、食料や仮設テントも準備しておきたい。
モンスターにはサイズ毎に小型・中型・大型・超大型と分類されている。
小型は全長が4m以下の種、中型は5m~10m以下、大型は11m~20m以下、超大型は21m以上だ。
中型以上のモンスターは数多の生物を喰らい、莫大な体力を持つ。さらに、一日もすれば我々ハンターが与えたダメージの殆どを回復してしまう。故にハンターズギルドは狩猟可能時間を12時間と定めている。
まだ薄暗い早朝、テントの準備はしてるがセーフハウスもあるのであくまで予備だ。必要となる事態ならばそれはもう負けに近い。
「さてと……行きましょう」
荷車を八重に引いてもらい北門から村を出て討伐対象の元へ向かう。
今白蓮はおらず、プラウレドンを探してもらっている。上空に居る白蓮が居場所を教えてくれるのでその場所に向かって進むのだ。
荷車を森の手前に置いて八重に跨り、森の中を突き進む。白蓮に案内され進みつつ腰のドラウドラショートソードとスティルトソードと背の未天の埋星を尻尾で構える。
森を抜け、岩場が見えてきたところで姿が見えた。こちらの事が露見する前に八重の背から飛び出し、両手のハンターショットからフックショットを射出し、巻き取りによる加速が俺の身体を弾丸のように目標までの距離を一瞬でゼロにする。
高速での運動エネルギーと鞭のようにしなった尻尾の未天の埋星の薙ぎ払いがプラウレドンの頭部に叩き込まれた。
不意打ちで与えた、この強烈な一撃でプラウレドンは倒れ伏した。
「チェルム村の安全のため対象の討伐を行うわ」
武器を改めて構えなおし、俺はそう宣誓した。
怯んでいる内に両手の剣で一気に頭部に連撃を叩き込み、起き上がる前に未天の埋星で斬りつけつつ距離を置く。
「……全く、嫌になるわね」
傷こそついたが碌にダメージが通ってる気がしない。正直防御力はさほど高くないと思う。肉に届いているが、純粋に肉や骨格が固い。HPは減ってるのに一見無傷に見える感じだな。
だが、やれる。手ごたえはあるし、このままいけば問題ないはず。周囲に居る大量の取り巻きのプラウレの処理を白蓮に任せてプラウレと向き合う。
「こんな所でつまずいていられないのよ」
プラウレドン……黒っぽい鱗と棘の様なとさかの頭部、素早い軽快なステップと蛇腹剣のように伸びる尻尾が特徴の全高3m全長5m程のモンスター。地竜種の中では比較的弱い部類だが、群れで行動する為必然的に周りの対処も必要となる。狩りで得た肉の大半を喰らい得る……まさに女王蜂の様な種だ。
起き上がったプラウレドンはすぐにこちらにその体躯を使ったタックルを俺に放つ。殆ど予備動作無く、樹木すら容易になぎ倒すそのタックルは俺の未天の埋星を盾にしたガードによって防がれた。
動きが止まった瞬間を狙ってスティルトソードで一気に切り結ぶ。
足を狙った攻撃は1撃2撃3撃と両手と尻尾の連撃で一気にダメージを稼げた。
流石にやられてばかりでは無い様で、その場でプラウレドンは体を回転させ、まるで俺が尻尾で大剣を振るうように特徴的な尻尾を俺に叩きつけた。
「くっ……」
咄嗟に後ろへ飛びつつ剣で弾いたのだが、しなりによってうまく弾けず脇腹をかすめた。
防御力よりも動きやすさを重視されたドラウドラシリーズの防具は、ある程度防御してくれたがそれでもかなりのダメージになった。
すぐにバックステップで距離を置きポーチから下級回復薬を取り出し飲み込む。
勿論黙ってその様子を眺めるプラウレドンでは無いが、そこは白蓮が氷属性のブレスで牽制してくれる。
すぐに傷は塞がり、痛みは消える。白蓮の支援攻撃に目線で感謝を伝え、息を整える。
こちらへの突進を躱しつつ未天の埋星のカウンターを合わせる。
尻尾のあの攻撃……あれは弾きじゃ無理だな。躱すか未天の埋星の刀身で防ぐしかない。
鞭程変幻自在ではないがチェーンソーのようにガリガリと抉られるような攻撃。
「予備動作が大きなのは幸いね」
さて、勝利をつかむとしよう。
プラウレドンが森中に響くほど大きな叫び声をあげる。思わず耳を塞ぎ、周囲を警戒する。
森のあちらこちらからプラウレの声が聞こえ始めこちらに近づいて来る。
「仲間を呼ぶは卑怯じゃないかしら」
とはいえやられたら対処をしなければならない。
幸いこちらは白蓮が居る。俺がプラウレドンの相手をしている間取り巻きの相手をしてもらおう。
「白蓮、雑魚をお願い」
『承知した』
長期戦になるのを覚悟しスタミナ対策をしておこう。
ポーチからスタミナの回復を促進する薬を取り出し、一気に飲み干し近くに放り投げる。
すぐに剣を構えなおして飛び掛かりを横へ弾く。
「ゆっくり飲み物も飲ませてくれないとはね」
このままでは雑魚が集まってくる。尻尾の攻撃もかなり厄介だな。攻撃を弾きながら森へ移動しよう。
ハンターショットの散弾を放ちながら後退し、森の中に誘い込む。
障害物があればいくらかましだろう。
タイトルは天から降って来た




