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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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83 学期末ライブ

 翌日。いよいよ一学期の終業式だ。ホームルームも無事終わり、俺は急いで部室に向かった。


 部室から中庭を見る。すると、見たことが無いぐらい多くの人が集まっていた。


「うわー、なんでこんないるの? 少ないかもって覚悟してたのに」


 美桜が言う。


「逆よ。炎上してさらにベアキャットは注目を浴びてる。おまけに今日説明するって言っちゃったしね」


 椿が美桜に言う。


「でもまさかここまで集まるとはね……」


 葵さんも言う。


 今日はミーアの三人も手伝いで集まっていた。メンバーの付き添いはミーアの三人にまかせて今回の俺は撮影係。メンバーと離れていた方がいいだろうという考えからだ。だが、ここまで観客が多いと俺は相当後ろからの撮影になるな。カメラにズーム機能があるからいいけど。


「じゃあ、行こうか」


 スミレが言う。メンバー達は中庭のステージに続く扉に向かった。俺は別行動。観客の最後方のさらに後ろでカメラをセッティングした。


「キャー!」という声援が聞こえてきた。音楽も鳴ってないのに、ベアキャットメンバー全員がステージに上がっていた。最初にスミレが今回の件について説明するためだ。


「ベアキャットリーダーのスミレです。今回のライブの前にみなさんに説明したいことがあります」


 スミレがマイクを通じそう言うと、会場は静かになった。


「私がマネージャーの坂崎大樹と交際している、という噂が流れていますが……これは事実です」


 スミレがそう言うと、会場がざわついた。


「大樹とは幼馴染みでずっと好きでした。ベアキャットを始めたのも大樹の横に立てるように自分に自信が欲しかったからです。でも、大樹とは疎遠になってしまって……だから私からマネージャーになって欲しいと依頼しました」


 会場がまた静かになった。


「それでもなかなか距離が縮まらなかったのですが、念願叶って最近付き合うことができるようになりました。思わず調子に乗ってしまい、手をつないで登校したりして、みなさんにご心配をかけました」


 スミレは深々とお辞儀した。お辞儀したままスミレはずっとそのままの姿勢でいる。次第に観客が声援を上げ始めた。


「そんなことないよ!」「頑張れ!」「スミレ、頑張って!」


 そんな声援の中、スミレは顔を上げた。


「でも、私は大樹と別れるつもりはありません……ベアキャットを辞めるつもりもありませんし、活動をおろそかにするつもりもありません!」


 スミレは声が震えながらそう言った。


「その覚悟をここでお見せします。見ててください……YOASOBIで『アイドル』!」


 そこで音楽が鳴り始める。スミレはセンターで踊り始めた。大きな声援が上がった


 そしてスミレは別次元のダンスを魅せた。もちろん、椿や美桜、そして葵さんや友梨香さんのダンスも凄い。だが、スミレのダンスの気迫は見るものを圧倒した。


 まるで本物のアイドルがそこにいるかのように見る者を惹きつける。あっという間に会場は声援で曲が聞こえづらい状態になった。


 そして終盤もスミレは踊り続ける。そこには確かに完璧で、究極のアイドルがそこにいた。


 曲が終わると会場は大声援に包まれた。そして、その後に「スミレ! スミレ!」とコールがわき起こった。


 スミレはセンターで涙ぐみながら立ち尽くす。そこにベアキャットのメンバー全員が駆けつけた。スミレは何回か頷きながら、そして、言った。


「みんな、ありがとう! そして、これからもベアキャットをよろしくお願いします!」


 大きなスミレのコールの中、ベアキャットの5人はステージから降り、校舎に戻っていった。


◇◇◇


 俺は撮影機材を撤収し、そのまま部室に行く。


「すごい反響や!」


 美桜がスマホを見ながら興奮していた。


『伝説を見た』

『一生ベアキャットに付いていく』

『スミレ最高!』

『純愛、素敵やん』


 俺のスマホにも黒山からメッセージが届いていた。


黒山『このライブに行かなかったのは一生の不覚。お前を恨むぞ』


 なんでだよ。自分で行かないことにしたくせに。でも、俺は嬉しくなった。


 スミレはさまざまな雑音を自分のパフォーマンスでなぎ倒したのだ。圧倒的なパフォーマンスの前に、みんなが何も言えなくなった。これが高梨スミレだ。


 その当のスミレは椅子に座り、ぐったりと机に体を投げ出していた

 俺はスミレに近づき、アクエリアスを渡しながら言う。


「お疲れ様、スミレ」


「大樹……私、ちゃんと伝えられたかな」


「ああ。みんなに伝わったぞ」


「そう……良かった」


 そう言って、再び机に顔を伏せた。


「すごいです。スミレは全てのパワーをあのライブで使ったんですね」


 友梨香さんが言った。


「そうだろうね。なかなか出来ることじゃないよ」


 葵さんが言った。


「……じゃあ、そろそろ撮影したものを見るか?」


 俺がみんなに言う。


「「「わーい!」」」


 ミーアたちが喜んだ。ミーアたちは裏からしか見れてないからな。

 俺は早速再生を始めた。だが、スミレは見ようとしない。


「スミレ?」


「恥ずかしいからパス」


 スミレは顔を伏せたままだった。スミレが俺との件を説明するところでは美桜が茶化す。


「このとき、ウチ泣きそうやったもん」


「私、泣いてました!」


 ミーアの沢村蘭が言う。


「……しかし、間の取り方といい、話し方と言い、完璧ね。女優にでもなったら?」


 椿が言った。


「別に演技してないし」


 顔を伏せたままスミレが言った。


 みんなはいろいろ言っていたのに、曲が始まると押し黙った。ただ黙ってその映像を見ている。どうしたんだろう……俺は少し心配になった。スミレもみんなの様子がおかしいことに気がついて顔を上げ映像を見ている。


 曲が終わると美桜が言った。


「これは大変なことになったねえ……」


「うん、確かに」


「夏休みは特訓ね」


「ですね。やらないといけません」


 口々に言い始める。


「み、みんな、どうしたの?」


 スミレが聞いた。


「スミレが一人だけ別次元だからよ。私たちが霞んでしまってる。私たちがレベルアップしてスミレのレベルまで追いつかないとバランスが悪いわ」


 椿が説明した。


「またまた……」


 スミレが笑う。だが、美桜が珍しく真面目な顔で言った。


「ほんとにそう。やばいわあ……久しぶりに危機感」


「はい、私もです。全然ダメですね、私……」


「ボクもだよ。このままじゃいけない」


 そして椿が言った。


「じゃあ、早速練習する?」


「もちろん!」

「やります!」

「ボクも参加させてくれ」


「みんな……」


 普通はライブが終わったら打ち上げなのに、みんなは練習すると言い出した。この負けん気こそがベアキャットを作ってるんだろうな。


 そこから練習は時間ぎりぎりまで続いた。


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