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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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79 日々

 すっかり俺への独占欲が高まっているスミレだが、練習の時はいつもと変わりが無かった。


 だが、帰るときにはスミレは俺を待ってくれるようになった。


「スミレ、机の片付けは俺の仕事だから」


「でも、黙って見てられないよ。私も手伝う」


「疲れてるんだから無理すんなよ」


「うん、大丈夫」


 スミレと一緒に机を片付け、部室に鍵を閉めてから職員室に向かった。鍵を返し、俺たちは校舎を出た。


「今日からはこんな感じで帰ろうね」


「そうだな」


「今日はお母さんが夕飯用意するらしいから、瑠璃ちゃんと一緒に来てね」


「うん、ありがとう」


「そのあと、部屋に来る?」


「行きたいけど……瑠璃も一緒だからな」


「少しだけならいいでしょ?」


「う、うん」


「じゃあ、楽しみにしてるね」


 そんなことを話ながら電車に乗った。電車は比較的空いていて、2人並んで座ることが出来た。しばらくすると、肩に感触がある。スミレがもたれかかって寝ていた。やっぱり、疲れてるんだな。俺は何も言わずにそのままにしていた。


「あ、ごめん」


 降りる場所が近づいてスミレは目を覚ました。


「別にいいよ。彼氏だし」


「そ、そっか……じゃあ、こんなことしちゃお」


 そう言ってスミレは俺の手を握ってきた。


「う……見られるぞ」


「いいもん」


 そう言ってスミレは手を握ったままだった。


◇◇◇


 家に帰ると、俺は瑠璃を連れてスミレの家に行った。


「「お邪魔します……」」


「いらっしゃい、大樹君、瑠璃ちゃん」


 お母さんが迎えてくれた。付き合いだしてから会うのは初めてだ。


「大樹、瑠璃ちゃん、こっちこっち」


「おう」「はーい」


 スミレの呼びかけに俺と瑠璃はリビングに向かう。だがスミレのお母さんが俺を呼び止めた。


「大樹君、ついに付き合いだしたんだって」


「はい、よろしくお願いします」


「よかったわ。大樹君なら大丈夫だとは思ってるけど、くれぐれも間違いは無いようにね」


「わ、わかってます」


「うん、よろしい」


 そこにスミレが来た。


「大樹、こっちだって!」


 俺の手を引っ張る。


「わかった」


 俺はスミレに引っ張られて椅子に座った。


 夕食は焼き肉だった。俺と瑠璃は家族と一緒に食事をしないからなかなか食べられない焼き肉を楽しんだ。


 その後、瑠璃と俺はテレビを見ていたが、スミレが俺を呼んだ。


「どうした?」


「ちょっとだけ部屋行こうか」


「う、うん」


 俺は久しぶりにスミレの部屋に入った。


「さすがに瑠璃ちゃんいるから長くは出来ないけど、ちょっとだけでも恋人らしいことしたいな、と思って」


「そ、そうだな」


「ベッドでしようか」


「でも焼き肉で服に匂いついてるし」


「じゃあ、立ったままね」


「そうだな」


 俺たちは立ったまま抱き合い、少しの間、お互いを味わった。


 スミレの部屋から帰ってきて何事も無かったかのようにリビングのソファーに座った。


「お兄ちゃん、何してたの?」


 瑠璃が聞く。


「ちょっと打ち合わせだ」


「ふーん……まあいいけどね。恋人同士なんだし」


「だから打ち合わせだって」


「そういうことにしといてあげるね」


 瑠璃は信じてくれなかった。まあ、嘘だからな。


◇◇◇


 翌日も幸せな日々が続いた。朝はスミレが家に来て、昼は部室でみんなで食べて、放課後は練習をし、スミレと一緒に帰り、夕食をスミレの家で食べた。そして、スミレとこれまでできなかったようなことを何度もした。


 だが、ベアキャットとしてはライブが迫っていたし、ミーアキャットもリベンジライブが迫っている。練習は厳しくなり、マネージャーとしての仕事も増えている。


「今週の金曜、やっと中庭の使用許可が取れたよ。これでミーアのリベンジライブは出来るね」


 水曜日。俺は昼休みの部室でスミレと椿、葵さんに報告した。


「時間かかったわね」


 椿が言った。


「少しイレギュラーな予定だからね。ミーアはこの間もライブやったばかりだし先生を説得するのに時間がかかったよ」


「二日後だけど広報は大丈夫かい?」


 葵さんが聞く。


「みんなの許可が出ればすぐにやるよ、スミレ、いいかな?」


「もちろん、お願いね」


「わかった」


 俺はすぐにSNSで情報を流した。


「バカマネにはまた今日から放課後にミーアの方を見てもらった方がいいわね」


 椿が言った。確かにそうだな。前回もデビューライブの時にはそうしたのだ。


「えっ! 大樹、ミーアの方に行くの!?」


 スミレは驚いたように言った。


「それがいいだろ。誰かが見た方がいい」


「で、でも……」


 スミレが言いたいことは分かる。要は俺と一緒にいたいのだ。


「心配かい?」


 葵さんが言った。


「ちょっと……」


「うわあ、前は何も言わなかったのに付き合うとこんなになるんだ」


 椿が言う。


「前もほんとは少し思ったわよ。大樹がいなくなって寂しいって。でも今回はその比じゃないの。すごく……すごく心配で、私……」


「スミレ、俺が信用できないのか?」


「大樹……」


「ちょっと離れるだけだろ。しかも2日だけだ。俺はスミレの恋人だし、ミーアたちと何かあるわけ無いだろ」


「そうだけど……寂しいんだもん」


 そう言ってスミレは口をとがらせた。


「スミレ、かわいいけど、あんたリーダーなんだからね。全体のことも考えないと」


「分かってるわよ。だから、反対はしない。それがいいと思う。けど……」


「何よ」


「休憩中に私もミーアの方をちょっと見に行ってもいいよね」


「はぁ……そこまでして愛しの彼氏に会いたいのね」


「しょうがないでしょ……つきあい始めたばっかりだし……」


「もっと早くつきあい始めたらもっと長い間一緒にいれたのにね」


「う……」


 椿の口撃にスミレが涙目になった。


「椿、それは言っちゃだめなやつだろ」


「あ、ごめん……クリティカルだったか」


「うぅ……」


 泣くのを必死にこらえているスミレの頭を葵さんがなでた。


「別に俺は気にしてないから。俺が振られたからベアキャットが出来たんだし。それについては結果オーライということでいいじゃないか。スミレにとってベアキャットも大事だろ?」


「うん……」


「だからいいんだよ。俺が振られなければベアキャットも、そしてミーアキャットも生まれなかったんだからな」


 それを聞いて椿が言う。


「確かにそうね。バカマネ、振られてくれてありがとう」


「うるせえ、まったく……」


「ふふ」


 ようやくスミレが笑った。


「……そういえば、なんでベアキャットって名前にしたんだ?」


 俺は今まで聞けなかった質問をようやくした。


「大樹なら分かってるって思ってたのに。私が好きな動物の名前を付けただけだよ」


 スミレが軽く言う。


「好きな動物? 熊と猫が好きだったっけ?」


「違うよ。私が好きな動物と言えば大樹は知ってるでしょ?」


「……俺が知ってるのはレッサーパンダだけど」


「そう。レッサーパンダは漢字で小熊猫と書くのよ」


「熊と猫、それを英語にしたのか」


「そういうこと。大樹ならすぐ分かってくれるって思ったんだけど」


「いや、わかるか!」


「バカマネには無理ね」


 椿までそう言う。


「いや、誰だって無理だろ。葵さんは名前の由来は知ってたんだよね?」


「いや、詳しくは知らなかったよ。そのときは確か、この名前にしたら想いが伝わるからとか言ってなかったっけ?」


「う、うん……大樹は私にレッサーパンダのグッズを買ってくれたから。だから、大樹がピンときて、ベアキャットのライブを見に来てくれると思ってた」


「そうだったのか……全然気がつかなかったよ」


 スミレは俺のことを考えてベアキャットという名前に決めたのか。まったく気がつかなくて見に行こうともしなかった俺も確かにバカだったな。



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