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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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70 決断

 マネージャーを辞めるべきか、結論は出ないまま翌日になった。今日、土曜日はスミレとの勉強会だ。


「いらっしゃい、スミレさん!」


 朝9時、妹の瑠璃の声が聞こえた。スミレが来たようだ。俺は玄関に行く。


「あ、大樹。今日はよろしくね」


「おう、じゃあ部屋に行くか」


「えー! 私もスミレさんとお話ししたい!」


 瑠璃が大声で言う。


「まずは勉強からだ」


「つまんないの……」


「瑠璃ちゃん、後で遊ぼうか」


「うん!」


 スミレの言葉に瑠璃はあっさり機嫌を直した。


 俺の部屋に入り、スミレを座らせる。相変わらず俺がプレゼントしたレッサーパンダ-のラバーキーホルダーが付いた鞄を持ってきていた。


「……大樹の部屋、久しぶりだね」


「まあ、そうだな」


「……前はよく来てたのにね」


 といってもよく来ていたのは中学生の最初くらいまでか。俺とスミレはよくここでアニメを見たりゲームをしたりしていた。


「じゃあ、始めるか」


 いろいろスミレと話したいことはあるが、今日はただ勉強会をするだけ、と既に言ってある。約束を破るわけにはいかない。


「そうだね。何からする?」


 俺とスミレは真面目に試験対策を始めた。


◇◇◇


 お昼が近くなり、瑠璃が部屋に来た。


「お兄ちゃん、お昼どうするの?」


「あ、私が作るよ」


 スミレが言う。


「やったー! スミレさんありがとう!」


 瑠璃が喜んだ。


「スミレ、いいのか?」


「もちろん! いつも大樹にはお世話になってるから」


「別にお世話してるつもりは無いけどな」


 俺の仕事などたいしたことはしていない。


「またまた……大樹のおかげでベアキャットが上手くいってるんだし、これぐらいさせてよ」


 そう言ってキッチンに行った。しかし、スミレの手料理を食べたなんて知られたら親衛隊からボコられそうだ。


 お昼を食べると瑠璃が言った。


「ごめんなさい、スミレさん。友達に呼ばれちゃって、今から遊びに行ってきます」


「そう。じゃあ、また遊ぼうね」


「はい! お願いします!」


 そう言って瑠璃は出かけていった。ということは家には俺とスミレの二人だけだ。思わずお互い顔を見合わせてしまう。


「……スミレ、とりあえず勉強の続き、しようか」


「そうだね」


 俺とスミレは部屋に戻り勉強を始めた。


◇◇◇


 今日は勉強しかしない、と言ったからには俺は勉強しかしないつもりだった。だけど……


「大樹、ここちょっと分からないんだけど分かる?」


「どれだ?」


「これ……」


 そう言って俺のすぐ横に移動してきた。俺に問題を見せてくる。


「これなんだけど……」


 だが、ここまで接近したことは最近では無かった。俺は緊張してしまい、答えられない。


「大樹? どうしたの?」


「い、いや……スミレがこんなに近くにいるから意識しちゃって」


「そ、そうなんだ、ごめん」


 スミレが慌てて俺から離れた。


「いいんだ。むしろ……嬉しかったから」


「そ、そっか」


「ああ。俺はスミレが好きだからな」


 改めてそう言ってスミレを見る。離れたとはいえまだ至近距離だ。


「大樹……ほんとごめん」


「え?」


「そう言ってくれるのに付き合えなくて……私、どうしても自分に自信が持てない。大樹と付き合ってもすぐに飽きられて捨てられそうな気がするんだ」


「そんなことないだろ」


「あるよ。だって、私と一緒にいたって何も楽しいこと無いだろうし」


「あるさ。一緒にいること自体が楽しいんだから」


「今はそう言ってくれるかも知れないけど、きっと飽きるよ。それに大樹がこうして私を好きって言ってくれるのは幼馴染みだからだし」


「それはきっかけって言ったろ」


「それだけじゃない。きっとバイアスがかかってるから。大樹にはもっとふさわしい人がいる、そう思っちゃって……」


「スミレ、そんなことないって」


「ううん、きっとそうだよ。だから、今は大樹とは付き合えない。もっと自分を磨いて――」


「いったい、いつまでだよ!」


 俺はついカッとなってしまった。


「いつになったら自分に自信を持つんだよ! スミレは……もう十分凄いじゃないか!」


「大樹……ごめん……」


 スミレはうつむいて言った。


「い、いや……俺もごめん……」


「今日は帰るね」


 スミレは片付けを始めてしまう。俺はそれを黙って見ているしか無かった。


◇◇◇


 やっちまった……あまりに自分に自信を持てないスミレに対し、俺は我慢が出来なかった。スミレは誰が見てもすごい人物だ。それなのに自信が持てないならこれ以上何があっても自信を持つことは無い気がする。それが向上心に繋がるのはいいことだけど、俺と付き合うことはもう無いってことだ。


 スミレを追いかけマネージャーになったが、さすがに潮時か……俺はそう感じざるを得なかった。まあ、自分としてはここまでよくやったと思う。一時期は何も話せなかったんだから。マネージャーになって、ワンチャンあると思ってここまで来たが、さすがにもう無いな。


 ということはもう未練は無い。あとは、ベアキャットに迷惑がかからないように、やつらの行動を止めるぐらいか。


 俺は黒山にメッセージを送った。


大樹『決断したぞ。だから噂を広めるのはやめてくれ』


黒山『マネージャーを辞めるんだな?』


大樹『ああ。テスト終了時まではベアキャットの活動は無いから、テストの最終日の水曜日に辞任をみんなに伝える』


黒山『いいだろう。男に二言は無いな?』


大樹『ない。そちらこそ約束してくれ』


黒山『もちろんだ』


 これでいい。あとは……少し引き継ぎの資料を整理しておくか。葵さんがまたマネージャー業に復帰することになるだろうけど、一年生にも手伝ってもらえればいいかもな。



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