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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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67 会長

 その日の放課後。いつものように部室でレッスンを行う。


「スミレ、そこ遅れてる!」


「ごめん!」


「スミレ、手が逆!」


「ごめん!」


 相変わらずスミレへの指摘が多い。だけど、別にスミレが調子が悪いわけでは無い。今回のダンスはとにかく難しいのだ。曲はYOASOBIのアイドル。テンポも速い。そして、今回のために考えられたオリジナルダンス。だからスミレは苦戦していた。


「……振り、変えようか?」


「大丈夫。このままでいいから」


「そう。ならいいけど」


 スミレはこの難しいダンスに果敢に挑んでいた。


 その練習のさなか、ドアがノックされた。


「はい」


「生徒会長の戸ヶ崎です」


 入ってきたのはあのイケメンの生徒会長だ。


「練習の邪魔して悪かったね」


「いえ、会長。なんでしょう?」


 スミレが前に出て対応する。


「まずは昨日、サインをありがとう」


「いえ……」


「それで今日はそのお礼も兼ねて少しスミレさんと話がしたくてね」


「……わかりました。それで、話とは?」


「いや、生徒会長としてでは無く、個人的な話なんだ。別の場所でいいだろうか?」


 会長の言葉にスミレはメンバーの顔を見た。美桜は『ダメ』と口パクで言っている。だが、スミレはこう言った。


「みんな、ちょっと抜けるから。会長、じゃあ行きましょうか」


「ありがとう。時間は取らせないから」


 そう言って二人で部室の外に出て行った。しばらくすると椿が小声で言った。


「バカマネ、何してるの。さっさと追いかけなさい。見つからないようにね」


「わ、わかった」


 俺はそっと扉を開け2人を追いかけた。


◇◇◇


 2人のあとを付けていくと、途中から行き先は推測が付いた。生徒会室だ。2人は生徒会室に入っていく。どうやら中に他の生徒はいないようだ。俺は部屋の外から聞き耳を立てた。


「スミレさん、来てくれてありがとう」


「いえ。それで話というのは?」


「……実は僕は君のファンでね」


「ありがとうございます」


「ライブは前から見てるよ。春のお城祭りは良かったね。それに……」


 会長の話が続いているところで近づいてくる足音が聞こえた。俺は慌てて階段の方に隠れる。生徒会室に来たのは山本芹花副会長だ。俺は隠れていたつもりだったがすぐに見つかってしまった。山本副会長は俺を手招きする。近づいていくと小声で言われた。


(一緒に聞きましょう)


 副会長も盗み聞きする気か。俺と副会長は一緒になって扉に耳を付けた。


「……でも、ファンと言うだけでは物足りなくなったんだ」


「はあ……」


「スミレさん、僕と付き合ってくれないか?」


「それは……男女交際という意味ですか?」


「もちろんだ」


「でも会長は美桜と仲良かったですよね?」


「あれは違うから。君のことをいろいろ聞いていただけだよ」


「そうですか……でも会長。せっかくのお申し出ですが、お断りさせてください」


 スミレがそう言うとしばらく会長は黙ったあとに言った。


「しかし、なぜだい? 僕のことが嫌いかい?」


「いえ、私には好きな人がいますので」


 これは俺のこと、と思っていいのだろうか……


「ハハハ。スミレさん。君がいつもそう言って告白を断っているのは知ってるよ。でも、君は男子と話すことはほとんど無いじゃないか。そんな君に好きな人がいるとは思えないんだ。嘘だろう?」


「いいえ、本当です。私には好きな人がいます」


「じゃあ、誰?」


「言えません」


「この学校の生徒?」


「……言えません」


「なるほど。この学校っぽいね。一体誰だろうな」


「言えませんから」


「そうか……わかったよ。迷惑を掛けたね」


「いえ、大丈夫です。では、失礼します」


 スミレが退出するようだ。俺と副会長は慌てて階段の方に隠れた。スミレが生徒会室から出てきてそのまま去って行く。


「ふぅ、なんとか見つかりませんでしたね」


 ずれた眼鏡を直しながら山本芹花副会長は言った。


「そ、そうですね」


「でも、いけませんよ。盗み聞きは」


「副会長もでしょ」


「私は生徒会役員ですから生徒会室の中で起こっていることを知る権利があります。あなたは違うでしょ、ベアキャットマネージャーの坂崎君」


「……俺のことを知ってたんですか」


「もちろん、ベアキャットは超有名グループですからね。そのマネージャーの名前ぐらい生徒会役員なら知ってて当然です」


「そういうものですか」


「そうです。それで坂崎君。あなたが生徒会室を盗み聞きしたことを黙っておく代わりにお願いがあります」


「な、なんでしょう……」


「スミレさんを生徒会長選挙に出ないよう、説得をお願いしたい」


「はあ?」


 スミレが生徒会長選挙? そんな話は聞いたことが無かった。


「ご存じないですか? スミレさんが生徒会長選挙に出ようとしているという噂を」


「そんな話、聞いたことないですね」


「そうですか。デマであればそれでいいのです。ですが、もし本当なら阻止してもらいたい。ベアキャットのためにもそれがいいはずです」


「確かにそうですけど……」


「よろしくお願いします」


 そう言って副会長は去って行った。


◇◇◇


 俺は部室に戻る。もう普通に練習が再開していた。俺が戻ってもみんなは特に何も言わず、そのまま練習が続いた。


 練習が終わり、スミレと葵さんが帰るとすぐに椿と美桜と友梨香さんが俺のそばに来た。


「バカマネ、生徒会長とスミレはどうだったの?」


「……生徒会長が告白してた」


「やっぱり。それでスミレは?」


「断ってたよ。好きな人がいるって」


「そう。良かった。特に絡まれたりはしなかったのね?」


「うん。別に何も無かったぞ。ただ……」


 副会長から言われた言葉を思い出す。スミレが生徒会長選挙に出る。そんなことがあるのだろうか。


「ただ何よ」


「いや、デマに振り回されるのは良くない。確認してから話す」


「そう。何か聞いたのね」


「ああ。本人に確認して報告するから待ってくれ」


「分かった。明日の昼に部室ね」


「じゃあ、明日はウチも行く!」

「私も行きます」


 美桜と友梨香さんが言った。


「わかった。じゃあ、明日話すよ」


 そう言うと、みんなは帰っていった。




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