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もし幼馴染に振られた俺が美少女ダンスグループのマネージャーになったら  作者: uruu


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65 調査

 その日の放課後。部室でベアキャットの練習、そして、隣の空き教室ではミーアキャットの練習がいつも通り行われている。テスト前期間で本来は部活動は出来ないが、俺たちは部活動では無いので通常練習だ。


 だが、さすがにミーアたちの試験結果が悪いと困るので1時間で終わるようにミーアには伝えている。先に練習が終わったミーアたち3人が部室の方に入ってきた。


「今日はこれで帰ります」


 宮川紅葉が言う。


「お疲れ様、気を付けてね」


 スミレが答えた。


「はい! あの……リベンジライブのことなんですけど……」


 リベンジライブ。それはミーアキャットの次のライブ予定だ。デビューで上手くいかなかった分をリベンジしたいと3人が提案していた。


「うん、今調整中。予定が決まったら教えるから」


「はい、ありがとうございます。では―――」


 そう宮川さんが言ったときだった。


「失礼します」


 そう言って部室に入ってきたのは眼鏡の女子だ。確かこの人は……


「生徒会副会長の山本芹佳やまもとせりかです。空き教室の使用実態調査に来ました」


「え?」


 俺は驚いてベアキャットのメンバーを見る。メンバーも顔を見合わせている。ミーアの三人も不安そうだ。部室は一瞬にして緊張に包まれた。


 だが、そのとき、スミレが前に出て言った。


「使用責任者の高梨スミレです。使用許可はちゃんと取ってあります」


「テスト前期間もでしょうか?」


「テスト前期間は特別な許可は必要ないはずです。部活動もあくまで自粛に過ぎません」


「そうですか。では使用許可書をお見せください」


「分かりました。大樹?」


「え? あ、ちょっと待ってくれ」


 俺は葵さんから引き継いだファイルを取り出し、スミレに渡す。スミレはそれを生徒会副会長に渡した。


「ふむ。確かに放課後の許可は出てますね。しかし、放課後以外の使用はしていませんか?」


「朝とお昼休みも使用していますが、それは空き教室の通常利用です。音楽も大きな音では掛けていません」


「わかりました。でも、朝は使用許可が出ていない以上、現在のように机を大きく動かしている状態から毎日元に戻す必要があります。それはやっていますか?」


「もちろんです。見回りの先生も確認しているはずです」


 なるほど、そのために俺は毎日机を元に戻していたのか。


「……分かりました。他の生徒から疑問の声が出ていましたので生徒会としても調査しないわけにはいきませんから」


「お疲れ様です。ありがとうございます」


 副会長が笑顔を見せ、部室の緊張感が緩んでいった。


「……最後にお願いをいいでしょうか?」


 副会長は何か言いにくそうに言った。


「なんでしょうか?」


「ベアキャット全員のサインが欲しいのです。うちの学校と言えばベアキャットですし、生徒会室に飾りたくて……」


 そう言って色紙を取り出した。


「もちろんです! じゃあ、みんな書いて」


「はーい!」


 美桜が一番にサインを書き出した。


「それと……」


 さらに副会長が色紙を取り出す。


「これは生徒会長の個人的なお願いですので断っていただいて構いませんけど、スミレさんのサインが欲しいと……」


「私!?」


「はい、個人的にファンだそうで……」


「わ、わかりました……私で良ければ」


「ありがとうございます。会長も喜びます」


 生徒会長か。確か、ちょっとイケメンで女子にも人気があるやつだな。あいつがスミレのファンとは……


 サイン色紙二枚を受け取ると副会長は頭を下げた。


「ありがとうございました。では、また」


 扉を閉めて去って行った。


「はぁー! なんか緊張した! 最初はどうなるかと思ったもん」


 美桜が言う。


「ホントですね。私たちは何が起こったか分からず怯えてました」


 宮川さんが言う。


「でも、さすがはスミレやね。こういうときに対処してるスミレはかっこええわあ」


 美桜が言った。


「ほんとに素敵です!」


 宮川さんも言う。


「そんな……私はリーダーとしてみんなに代わって対応しただけだよ」


「それが普通できんからなあ。スミレは流石よ」


「ほんと、頼りになるわ」


 椿が言う。


「はい。スミレのこと、改めて尊敬しました」


 友梨香さんも言った。


「大樹君もスミレに惚れ直したんじゃないか?」


 葵さんが言う。


「そうだな。惚れ直したよ」


 俺は言った。笑いが起きたが正直な気持ちだ。

 ほんと、こういうときのスミレは肝が据わっている。どんな相手にも物怖じしないのはなかなか出来るものじゃあない。俺なんて逃げ出したくなったけどな。


「みんな、そんなに褒めても何も出ないよ」


 スミレが照れている。


「でも、スミレ。一年生があこがれのまなざしで見てるよ」


 美桜が言った。確かに一年生は目をうるうるさせてスミレを見ていた。


「やっぱりスミレ先輩はすごいです!」


 スミレに憧れてスミレに寄せている宮川紅葉が言う。


「はい、神です! 神!」


 沢村蘭も言った。隣の西崎撫子もウン、ウンと激しく頷いている。


「そんなこと言ってー。紅葉ちゃんはともかく、蘭ちゃんは美桜、撫子ちゃんは友梨香が推しなんでしょ?」


「推しはそうなんですけど、ベアキャットのリーダーにして創設者のスミレ先輩は私たちにとっては近づけないカリスマみたいな感じですから」


「はい、私も同じです」


 沢村蘭、西崎撫子はスミレをそんな風に思ってたのか。なんか神格化されてるな。


「アハハ、そんなことないから。気軽に話しかけてね」


「む、無理です!」

「はい、恐れ多くて……」


 二人は縮こまっていた。


「まあ、スミレはオーラすごいもんねえ。わかるよー」


 美桜が二人に言う。


「オーラって……そんなことないでしょ」


「本人は気がついてないけどねえ。うちらメンバーから見ても凄ッ!って思うことあるもん。ねえ、椿」


「そうね。スミレは私たちの中でも特別よ」


「はい、スミレは私の恩人です」


 椿と友梨香さんは言った。


「もう! 今日は褒め殺しか何かなの!?」


 スミレがそう言ってみんなが笑った。


 そうだ。スミレがどう言おうが、ベアキャットのメンバーもミーアキャットのメンバーもみんながスミレを尊敬している。スミレが自分を卑下する必要は無いのだ。


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